本好きの下剋上 女神の化身⑰ヒルシュールの研究室 | 私のみてる世界。

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日々思ったコトやら感じたコトやら。
だらだらと不定期に書いていくつもりです。
まあ主に漫画・アニメについてで、自分用の覚書な最近ですが。

ダンケルフェルガーとのお茶会は遠そうなので。

明日からヒルシュール先生の研究室へ通います。

リーゼレータ「お任せくださいませ。

特に掃除道具の準備は念入りにいたしましょう。

ヒルシュール先生の研究室にローゼマイン様が

入れるようにしなければなりませんから」

 腕が鳴ります、掃除道具の選別を始めた。

「お手紙を書くので隠し部屋に籠ります」

それが有りなら神殿でも書くだけならできるのでは?

数枚に分けてびっしりと書き込んだ。

 「ご加護を得る儀式で最高神のいらっしゃる高みに上りました。ご加護が増えすぎてシュタープの許容範囲を越えてしまい、ちょっとしたことで祝福が溢れて祝福テロが大変です。

解決方法として魔力圧縮を控えめにして、なるべく魔力を多めに使うように心がけていますが、他に何か良い方法はありませんか?

……つ、伝わるかな? フェルディナンド様だったら、きっとわかってくれるはず!」

ライムント経由とフラウレルム経由の手紙で

到着までにどれだけの差が出るのか、

そもそもフェルディナンドまで届くのかなどを

実験するために、もう一つお手紙。

「こちらはフラウレルム先生経由のお手紙です。きちんと届きましたか?」

当たり障りのない内容でカモフラージュしなければならない…

当たり障りのない内容って、どんなのだろう? 難しいね。

フェルディナンド様生きてる?全然出て来ないから心配だよ。

 

 

「では、シャルロッテ。わたくしは研究室へ行ってまいります」

「……とても研究室へ行く準備だとは思えませんね」

ワゴンいっぱい掃除道具(笑

シャルロッテにヒルシュールの研究室の惨状を話していると、

「読書に没頭すると生活を蔑ろにされる姫様がおっしゃることではございませんよ」とリヒャルダに溜息を吐かれた。

今日の同行者はリーゼレータリヒャルダ、ローデリヒ、マティアスとテオドール

おおおなかなかないメンツ。

薬草や素材の香りが複数が混ざり悪臭を放つ文官専門棟(笑)

「そのうちに慣れますよ」

フェルディナンド様のお薬に比べれば可愛いものですよ

なんて物を飲んでいるのですか!?

テオドールの顔が言う。

テオドールはフェルディナンドと接点の薄い珍しい側近になるかもね

優しさが入ってもシャルロッテには嫌がらせだと思われた薬。

原液はとんでもないのだ。

「ローゼマイン様は少し入室をお待ちくださいませ。

入れる状態かどうかを確認してまいります」

「ヒルシュール先生にはオルドナンツで掃除をすると

勧告していますから、大事な物は片付けてあるでしょう」

「リーゼレータ、少々お待ちなさいませ!」という慌てた声が聞こえてきた。勧告されてもヒルシュールは研究を優先していたらしい。

でも押しかけてるのに怒らないの、良い人だよね。

 

笑顔のリーゼレータが入室させてくれる。

きっと大慌てでヒルシュールが床から救出した資料が調合用の机の上に大量の資料が積み上がっている。

ライムントは不在でした。

「最初に目が向かうのが片付けとは、

本当によく似ていらっしゃること」

フェルディナンドが去年、置いておけないと判断した設計図や研究結果などの資料もごっそりと持って帰り、ついでに、ユストクスとエックハルトを使って資料の片付けをしていた。

 ……こんな師匠の面倒を見ていたなんてフェルディナンド様も大変だね。

フェルディナンドの文字が変わっていないのですぐにわかる。

二十不思議の研究。でも、後半、結果が全くない。

地図と、検証したのか○×が書き込んである。

「フェルディナンド様の研究はそういうのが多いですよ。

発表するものでない限り、

結果がわかって自分が納得すれば

資料としては残さなかったり、

残さない方が良いと判断して

敢えて書かなかったりしていました」

領地からお金をもらって研究した分は必ず報告が必要になるが、自分のお金で、趣味でしていた研究に関しては資料を残していないのも多いそう。

 

たすき掛けして片付けの気合を入れました。

「このように腕を露わにするのははしたないことですよ」すぐにたすきを解いてしまった。

座って指示役です。

資料を受け取り、収めるべきところに片付ける。

 ……わたし、ヒルシュール研究室の専属司書って感じ?

 誰に認められなくても、気分だけは

研究室所属の司書である。

図書委員が魔力供給しかできなかったので、ある意味、貴族院に来てから最も司書らしい仕事をしている気がする。鼻歌を止められない。

 ……どうしよう。わたし、今、すごく楽しい!

鐘が鳴りライムントが来た、と思ったら「部屋を間違えました!」と急いで出て行ってしまった。

「部屋があまりにも綺麗になっているので、

間違えたと思ったのでしょう。

そのうちに戻って来ますから」

もって来た昼食の準備が終わると、ライムントがノックをして、恐る恐る扉を開けて顔を覗かせた。

いつもはノックしない?

「ライムント、入って来る前にヴァッシェンで

結構ですから身なりを整えてくださいませ。

そのような姿でローゼマイン様の前に立たないでください

リーゼレータに笑顔で追い払われたライムント。

「やはり間違いではなかったのですね」

昨夜、ディートリンデに、今朝フラウレルムに、

呼び止められ何やら知らぬことを言われ、

知りませんとも言えず、講義が終わると同時にヒルシュールを訪ねた。

「これまでの貴族院では全く接触がなかったので非常に驚いたのですが、

自分の婚約者の弟子だから気になったのか、と思ったのです」

ディートリンデもフラウレルムも、ライムントのこと無視というかそんな人もいましたねみたいな扱いっぽそう。今までは。

中央に対する功績が欲しく、共同研究をフラウレルムから申し付けてきたとヒルシュールが説明。

 ……ヒルシュール先生が焚きつけたんじゃなかったっけ?

「どちらもフェルディナンド様の弟子ですし」

「領主候補生に試作させるなんて畏れ多すぎます」

「適材適所ですよ」

「ローゼマイン様は調合の実技も優秀な成績を収めていますし、

フェルディナンド様に仕込まれているため

実践的な調合に慣れていて

時間短縮の魔法陣を使用する調合ができます。

領主候補生で魔力が多いのでいくら調合しても問題ありません。

研究にかかる時間を大幅に軽減ができるでしょう」

しかしマインにはライムントやフェルディナンドのような設計センスがないらしい。

「この共同研究を成功させ、

二人ともフェルディナンド様の弟子であることが

周知されればフェルディナンド様のためにもなるでしょう」

フェルディナンドの待遇改善のためと言われれば張り切るしかない。

 

きっちりまとまっている資料に感動したライムントから司書仕事を褒められて嬉しい!

ライムントは午後の講義。

マインはライムントにもらった設計図を見ながら次々魔術具作成。

足りない腕力は身体強化で補い、

足りない体力は体力だけを回復させる薬で補って。

 ……うん、この研究室はダメだ。

普通に過ごしているつもりでも薬漬けになってるよ。

護衛や側仕えは黙って見てるの??

講義から戻って来たライムントに胸を張って試作品を見せる。

「どうですか? 注文通りにできていますか? 結構頑張ったのですよ」

 ちょっと褒めてほしくて張り切ったマイン。

ライムントが肩を落として項垂れた。

「……あの、そんなにガッカリするほど出来が悪いですか?」

「いいえ。よくできています。

使用できる魔力の差を目の当たりにして、

少し気が遠くなっただけです

ライムントじゃ一日一つもできないことがあるらしい。

マイン平民なのになぁ。

「これでフェルディナンド様に合否を判断してもらいます」

魔術具と共にフェルディナンドへ届けてもらう手紙と

フラウレルム経由で届けてもらうお手紙の両方を

ライムントに託した。

ライムントもフラウレルムの厄介さはわかってくれてるの?お手紙2つあるとか。

 ……どうかフェルディナンド様からのお返事が届きますように。