本好きの下剋上 女神の化身⑯共同研究の噂 フラウレルムの試験 | 私のみてる世界。

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日々思ったコトやら感じたコトやら。
だらだらと不定期に書いていくつもりです。
まあ主に漫画・アニメについてで、自分用の覚書な最近ですが。

 

文官コースの先生から試験のお願いの返信が来る中、

フラウレルムからの連絡はまだない。

「今年のフラウレルム先生は

一体何をしてくるかしら?」

フィリーネは困ったように頬に手を当てた。

試験内容を多少範囲外のところにしたところで

ローゼマイン様が合格するのは去年でわかったでしょうし、

魔力の多さ、ご加護の量、音楽や奉納舞などでの祝福で

エーレンフェストの聖女という肩書に口を出したところで

ご自身が白い目で見られるようになるだけでしょうから、

フラウレルム先生も

嫌がらせを考えるのは大変でしょうね

ブリュンヒルデが苦笑。

フラウレルムのだけ最終試験日に受ける方法もあるけど、それが原因でフェルディナンドと約束した最優秀に届かないのは困る。

ヒルシュールにどうしましょう?とオルドナンツ。

 

ヴィルフリートとシャルロッテの側近達と一緒にドレヴァンヒェルとの共同研究について話し合い。

「先に父上と相談をしなくても良いのか?」

「一応毎日の報告の中でドレヴァンヒェルと

共同研究を始めることは伝えましたよ。

……でも、貴族院の学生の研究内容に

アウブの許可は必要ないでしょう?」

「相談するほどのことではないと思うのですけれど」

ヴィルフリートとシャルロッテが顔を見合わせた。

「いや、普通は必要ないが、其方がまとめてきた話というだけで、

どう考えても普通の学生の研究とは違う気がする」

「紙の研究でしたら

エーレンフェストの基幹産業と深く関わる研究ですもの。

お父様やお母様に相談しておいた方が良いと思いますよ」

ふむ。だめなのかな。

ドレヴァンヒェルと行うのはイルクナーの魔木から作った紙の使用法の研究で、

紙の作り方を教えるわけではない。

「そうなのか?」

そうなんだ。良かった。

紙自体の作り方は重要な

社交の切り札なるので領主会議案件です。

貴族院の研究では出しません」

イグナーツやマリアンネに話す。

リンシャンだって完全には真似できなかった。

見慣れぬ道具に複雑な工程の紙は尚更できない。

「何より、魔術具のような効果のある紙を

平民が作っているとは思わないでしょう」

イグナーツ「魔術具は貴族だけが作れる物ですから」

工房で普通の紙と同じ作り方でできるのが信じられないらしい。

魔力を帯びた魔術具は調合で作る物だから。

「この共同研究はドレヴァンヒェルを利用して

エーレンフェスト紙の価値を高めるための研究なのです。

平民が作った紙がどの程度の魔術具として使えるのか、

どのように使えば効果的なのか、

魔術具としての品質を上げるために

どうすれば良いのかなどを研究してほしいのです。

研究成果によっては紙の作成方法の価値がグッと上がって、

相応にお値段もグッと上げることが可能になります

「ローゼマイン、其方、ちょっと悪い顔になっているぞ」

商魂が出過ぎちゃった☆

「エーレンフェストの価値を

高めるためにも大事なのですよ」

そこまで考えてるならマイン中心の方が良いのでは?

「わたくしはあまりグンドルフ先生と接しない方が良いのです」

「何故ですか? お姉様に何か嫌がらせでも?

小さなお姉様に仇なす者は斬る!みたいでかっこかわいいぞ。

「いいえ。そうではなく、」

マインだと大事な情報を

ぽろりと溢してしまいそう。

でもイグナーツやマリアンネは

知らないから答えられない。

報告書は読んでても人に説明はできないだろう。

紙の作り方を聞かれたら、

「この共同研究は魔術具の使い方の研究ですから、

グンドルフ先生に紙の作り方を教える必要はありません。

領主会議案件ですから

作り方の研究がしたければご自身でどうぞ、と」

 

 

文官コースの試験を受けつつ

大領地との共同研究について噂が回ってたと知る。

「まだアウブの了承を得ていないので、決定ではないのですよ」と答えていたが、ルーフェンとグンドルフが積極的に広め外堀を埋めていた(笑)

フラウレルムから普通のお返事が来ました。

その直後、ヒルシュールからもオルドナンツが。

大領地とエーレンフェストの共同研究が

噂になっているにもかかわらず、

ローゼマイン様の師であるフェルディナンド様が向かった

大領地であるアーレンスバッハとの共同研究の話が出ないのは、

寮監の行いのせいかしら? と

フラウレルム先生に言っておいたので、

近々お返事が届くでしょう」

はははっ

「フラウレルムの試験ではアーレンスバッハとの

共同研究を餌に講義の合格を勝ち取りなさい。

ライムントとの研究を共同研究として発表すれば良いですよ」

魔力の少ないライムントが設計した物をローゼマイン様が試作するようにすればOKらしい。

「わたくしの研究室で共同研究を行うのですから、

共同研究に関することには寮監の許可が必要です、

と言って適当なところでお呼びなさい。

採点の監視をして差し上げます

 ……ヒルシュール先生がこんなに頼りになると思わなかった!

さっさと領主候補生の授業も終えたので噂に疎いマイン。

寮監が積極的に広めているとは知らなかったけど。

共同研究を行うこと自体は多くの人が知り、完全に決定している雰囲気。

成果が発表されれば、素晴らしい研究だと評価されるのは間違いない。

ヒルシュールには共同研究に参加したいといくつかの領地から申し出があった。

が、大領地や王族との繋がりや研究成果に乗っかりたいだけというのが透けて見えているため、研究のサンプルにならないと却下。

 ……これまであんまり動いてくれなかったからわからなかったけど、ヒルシュール先生ってホントに有能なんだ。

グンドルフもある程度の研究成果や能力がない者はバッサリ切っている。

「むしろ、イグナーツやマリアンネがグンドルフ先生の求めるレベルに達しているのかどうかが心配ですね。

何が何でもローゼマイン様を引っ張り出したいというお考えが手に取るようにわかりますから」

グンドルフはかなり危険な匂いがする。

 ……やっぱりグンドルフ先生には近付いちゃダメみたい。

 

フラウレルムの試験。

よくよく整頓された研究室!

 自分ルールがきっちりとあって、ほんの少しのはみ出しも許さない感じ整理整頓。とてもらしい。

さっそく共同研究の噂の真意を尋ねられる。

「ローゼマイン様はアーレンスバッハとの関係をもう少しよく考えるべきではございません? 貴女の師がディートリンデ様と結婚することでアーレンスバッハとエーレンフェストの関係は深まるはずではありませんか。それなのに、アーレンスバッハを蔑ろにするのは非常識です

「わたくしもアーレンスバッハとの関係についてよく考えたいのは山々なのですけれど、」

 講義に合格できなきゃ相談もできないよ、と。

フラウレルムは忌々しそうな顔を一瞬見せ、試験問題を出す。

 去年のように捻った問題もなかったので、さらさらと答えを書いて提出。

「では、ヒルシュール先生をお呼びしますね」

「え?」

「え?」

アーレンスバッハとの共同研究についてのお話をするのなら寮監を立ち会わせなければ。

 まさかあっさりと受けると思ってなかったのかフラウレルムが目を白黒させている。

この先生は本当に自分の予想から外れることが苦手なようだ。

ヒルシュールにオルドナンツを飛ばせばすぐ来てくれた。

第三者の監視下で採点をお願いする。

ヒルシュールが呆れた顔になった。

「あら、嫌だ。わたくしったら

試験問題を間違えてしまったようですわね。ほほほ……」

「……ローゼマイン様は解けているようなので、

あまり問題はないようですけれど」

「んまぁ! なんですって!?」

「何かあったのですか?」

「……試験内容が五年生のものだったのです。

ローゼマイン様は何故解けているのですか?」

「何故と言われましても、わたくし、最終学年まで

講義内容をフェルディナンド様に叩きこまれましたから、

どの学年の問題でも解けます

「本当にフェルディナンド様は無茶をされるのですから……。

ついて行けるローゼマイン様が不思議でなりません」

「非常識ですわ」と繰り返すフラウレルム。

非常識なのは他の学年の試験問題を出すフラウレルム

それに対抗できるくらいに講義内容を叩きこんだフェルディナンドであって、マインではない。

「講義は合格で良いですか? 

それとも、三年生の試験をやり直しますか?」

「フラウレルム、共同研究の話をするのではなかったのですか? 

試験をやり直しますか?」

空気読まないコンビ強い(笑)

 

ライムントともにヒルシュールの元で研究します。

「それでは、ヒルシュールの研究にされてしまうではありませんか! 

それをアーレンスバッハとの共同研究とは言えません!」

ヒルシュールの研究にされるて。

元々ライムントが主なので発表はアーレンスバッハのところ。

ヒルシュールはフェルディナンドとライムントの師、

ローゼマインはフェルディナンド様の弟子、

研究する場所としてはヒルシュール先生の研究室が一番良い。

そりゃそうだよ。正しい。

フラウレルムにはフェルディナンドへの相談の仲介役をお願いする

監視や検閲が入るのは当然だが、ライムント以外の経路があるのとないのでは違うだろう。

報告を全て検閲できて、領地間の関係を深めるための立役者という立場は気に入ったらしいフラウレルムは唇を吊り上げて笑った

上手く話はまとまったぞ!

「ローゼマイン様、最近お体の調子はいかがですの? 

何か変化がございまして?」

えっなに、なにかしたの、えっ、

「ローゼマイン様はとても虚弱でいらっしゃるから、

共同研究や社交ができるのか、少し気になっただけですわ」

「……少し変化はございます。

その、あまり良くない方向に……」

祝福テロが止まらない。

正直に答えていいの?!

ゲオルギーネとかが断罪されても、ディートリンデやフラウレルムは罪はなく生き残るのかな…

処刑されてほしいわけじゃないけど…