藤宮さらです。

いつも、嵐さん、ニノちゃん記事を見に来てくれてありがとうございます。

 

実は私、元小説家(副業)で、アイドルものの小説を出版しておりました。

kindleなどいろんなWEB書店で販売してきたアイドル小説があります。

この度、出版元の扶桑社さんとの契約を修了しましたので、

こちらで公開できることにしました。

前編に、たくさんのいいね、ありがとうございます笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

タイトルからして、誰かさんをイメージして書いているのは

お気づきかと思いますてへぺろ

つーか、当時、こんな恋愛映画みたいなのも演じてほしかったなぁと。

12年前の作品になりますが、みなさんに読んでいただきたくて、

年末年始、短期連載をすることにしました。

 

お時間あったら、読んでくださいねウインク

「彼の裏切り」という回です。

 

 

 

①はこちらから。

 
元カレは小悪魔アイドル
 
彼の裏切り

数週間後。

モデル事務所で、偶然、ミカと出会った。

ちょっと話したいことがあると、お茶に誘われた。

ミカにはあの一件で、わだかまりがあったけど。
今思えば、ハルキとつきあうきっかけを作ってくれたキューピッドだ。

わたしは彼女の誘いに応じた。

事務所のそばにある、オシャレなオープンカフェに入った。

「ごめん。
 あのクラブでのこと、最初にあやまっておく」
 ミカは潔くあやまってきた。

ミカは、わたしをだましてから、ずっと心の呵責に悩んでいたらしい。
そんな自分がイヤなので、すっきりしたかったと言う。

「でも、まさか、あのハルキと本当につきあうとは思わなかったけど」

わたしはびっくり。

「な、なんで知ってるの?」

だいたい当のわたし自身が、
先日やっと、あれはつきあっていたんだと自覚したばかりなのに。

なぜ周りの人間が知っているのか。

「ハルキは有名人だからね。
 しかもワンナイト派だし」

「ワンナイト派って?」

わたしはミカの言っている意味がよくわからなかった。

いろんな顔を持つハルキのこと。
自分の知らない世界が、まだまだあるのは想像していたけど。

「そんなことも知らないでつきあってるの? 
 アイツ、女の子に深入りしないから。
 一夜の遊びしかしないって噂があるのよ。
 だから、一人の女の子にハマってて意外だって、噂が広まったのよ」

「・・・・・」

わたしは言葉を失っていた。

ハルキの一番そばにいるつもりで、彼のことを何も知らない。

「結衣のために教えとく。
 ハルキはやめたほうがいいよ。
 あんたの手に負える相手じゃない」 

手に負えない相手って・・・
やめた方がいいって・・・。

あんなに優しくて、
わたしのことをわかってくれる人なんて、他にいないのに。

「なんで、そんなこと言うの? 
 わたしたちのこと何も知らないくせに」

ミカは、ため息をつく。

「きっかけをつくっておいてなんだけど。
 アイツ、またクラブで遊んでるよ。
 しばらく全く姿みせなかったのにね」

「うそっ」

わたしはナイフで胸をさされたような衝撃をうけた。

あの夜以来、『トモダチ』のまま、何回か会っていた。 

そう、『トモダチ』のまま。

心が一つになって、恋人になったはずなのに。

ハルキは、わたしに指一本、触れようとしなかった。

そんなハルキが、他の女の子を抱いているなんて、考えたくもない。

「ほら、結衣が傷つくだけだって。
 現実を見ないと」




その夜。

わたしはミカに連れられるまま、あのクラブにやってきた。

あの日の、イヤな思いがこみ上げてくる。

見てくれだけカッコをつけた男女が、今夜の収穫を求めて駆け引きをくりかえしている。

そんな中で、ハルキを見つけた。

二枚重ねのツケマをした、派手なギャル系の女の子と話している。

顔は笑顔なのに、冷めた瞳。

初めてこのクラブで出あったときの瞳をしている。

チャラチャラした感じで、しきりと女の子の髪や頬に触れている。

女の子は、うっとりした表情で、ハルキにもたれかかっている。

「今夜の商談は、成立って感じね」

ミカは投げやりに言う。

わたしは、いたたまれなくて、その場から逃げようとした。

「待って、結衣っ」

ミカに腕をつかまれ、止められる。

その声に、ハルキが気付く。

こっちを振り向いたハルキと目が合った。

「なんで・・、結衣が」

声にならない言葉が、彼の唇の動きで伝わる。

わたしは固まったまま、動けない。

ハルキが・・・

わたしの方へやってくる。

ミカに向かって

「また、おまえかよ。
 結衣をこんなトコに連れてくんじゃねーよ」

こんな怒りをむき出しにするハルキは、初めてだった。

「・・・どうして?」

わたしはハルキに向かって、それ以上、何も言えなかった。

本当の彼女なら、浮気現場を押さえた立場から、もっと戦えるはず。

「チッ」

ハルキは、顔をそむけて舌うちをする。

ハルキは苛立ちを露骨に顔に出し、

「・・・どうしてって・・。
 おれは、おまえに飼われた子犬じゃねぇんだよ。
 飼い主にお預けくらっても、
 餌をくれる女はいくらでもいるんだ。
 なんで、がまんしなきゃなんねーんだよ。
 無理に決まってんだろ。
 おまえ、男を知らなすぎる」

そう、言い捨てて、ハルキは踵を返した。

ヒドイッ!

こんなの、耐えられない!

わたしはその場から逃げだした。

ハルキの吐き捨てるように言った言葉が、心に突き刺さる。

なんで、わたしがいけないの?
あの夜、ハルキを拒んだから?
なんで、なんで、逆ギレされなきゃいけないの?
わたしの気持ちを踏みにじったのは、
ハルキなのに。

店を飛び出して、ヒールの追い駆ける音に気付いた。

ミカだった。

ハルキは、追いかけてはくれない。

あのまま、ギャル系のコといるのだろうか。

追いついたミカが、わたしの肩に手をかける。

「アイツがキレたとこ、初めて見た。
 それだけ、アイツもショックだったんだね」

「ミカは誰の味方なの?」

わたしは、ハルキに同情しているミカの気持ちがわからなかった。

女の子は、女の子の味方じゃないの?

「味方って・・・。
 わたしは、客観的に言っているだけよ。
 まさか、あのハルキとまだしてないなんて、そっちの方が驚きだわ」

ミカはわたしに呆れた顔をする。

「ハルキはね、望まなくても、女の子がほっとかないんだよ。
 男の頭なんて、アレしかないんだから。
 やりたい盛りにお預けさせて、遊ぶなっていう方が無理」

ミカは、男目線で説教する。

わたしがハルキを拒んだから、浮気をされてもしかたないと言う。

「・・・そんな・・。
 だって、待つって・・・
 優しく言ってくれて・・・」

わたしは、そんなことが理由だなんて、悲しくて涙が止まらない。

「だから・・、結衣には無理じいしないで待ってくれたんでしょ。
 それだけ大切に思ってるってことだよ。
 男は遊びと本命は分ける生き物だから」

ミカは男でもないのに、知った口をたたく。

わたしには、よくわからない世界だけど・・・。

ハルキとの今までの関係が壊れたことは事実だった。
 


わたしはミカと別れて、家に帰った。 

でも、ハルキのことが脳裏を離れない。

ずっとスマホを握って、ハルキの電話を待ったけど・・・。
かかってくる様子もない。

あの優しいハルキは、どこに行ってしまったの?

わたしがこんなに傷ついているのに、
こんな時に手を差し伸べてくれないなんて。

わたしへの気持ちは、本当ではなかった?。

わたしだけのひとりよがり?

時間が刻々と過ぎていく。

ハルキからの電話はないと、確信に近い想いがこみ上げてくる。

それと同時に、さっき一緒にいた女の子と仲良くしている想像にかられる。

彼のあの部屋に行って、
彼がキスして、
抱きしめて。
そして・・・。

イヤッ!

胸が焼かれるように苦しくなる。

こんなに、いてもたってもいられない、
嫉妬に苛まれたことはない。

わたしはいたたまれずに、ハルキのスマホにかけた。

ハルキの着信音が聞こえる。

着信表示で、わたしだとわかるのに、

出ない理由・・・。

だれかといるから。

わたしは、苦しくて、

苦しくて、

耐えきれずスマホを切ろうとした。

その時。

「もしもし・・・」
 
続く