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前回の続きです。
西暦１，３００年に居る御一行。
律法学者のイエヒエリさんの家へ。
どうぞ～
エド ・・・ マイヤー
アス ・・・ アスケット
イッ ・・・ イッチィ
イエ ・・・ イエヒエリ
アス 貴方は多くのものを正確に観察していますね。
エド ここはとても素晴らしい所ですね、アスケット。
アス その通りです。
過去は多くの点で、貴方がたの現在よりも優れています。
御覧なさい。向こうの森の背後に狩猟小屋又は週末別荘（と貴方がたは呼ぶそうですが）があります。
私はそこへ二度行った事がありますので、よく知っています。
それは律法学者イエヒエリ（Ｊｅｃｈｉｅｌｉ）の住んでいる家です。
彼は大自然を散策するのが大好きです。
エド ここは一体何処ですか。
アス 時間と場所を聞いているのですか。
エド そうです。
アス ここはフランスで、時代は１３世紀です。
それはルートウィヒ皇帝の統治していた時代です。
エド これは妙な森ですね。私は歴史は全然詳しくないのです。
アス それは問題ではありません。
さぁ、行きましょう。
（私達は彼方の森をさして進んだ。
イッチィも元気になって私達の仲間に加わった。）
イッ 私は今は不安も疑問も起こりません。私は本当に馬鹿でした。
ここは何処ですか。
（イッチィは正気を取り戻し、顔色も元の正常な状態に返った。
アスケットは彼に、その時代の事情を簡単に説明してあげた。
彼はそれを聞いてびっくりしていた。）
イッ これは本当に素晴らしい。
私は５９才の春を迎えたばかりですが、６００才も若返った事に気が付きました。
アス 貴方の計算は正確ではありませんが、まあ、当たらずといえども遠からずでしょう。
（私達三人は無言で森の中を歩いて行った。
森の獣道を通って１５分足らずの内にその丸太小屋に辿り着いた。）
アス これが律法学者（ラビ）イエヒエリの保養小屋です。
人は彼のことを学者とか魔法使いとか呼んでいます。
しかし後者は全く誤った呼称です。
（裏手に柵で囲まれた牧草地があって、そこに一頭の馬がいた。
それは明らかにラビ（律法学者）の乗物に違いない。
そしてそれは正しくそうだった。
家の中で犬が吠えていた。
髭の男が戸口の前へ歩み寄ってきた。そして辺りを見回した。
すぐに彼は私達を見付けると、自分の目の上に手を当てて足早に私達の所へ駆け寄って来た。）
イエ やぁ、貴方でしたか。あれ以来１年ぶりです。
このお二人はどなたですか。
アス 私の友人です。
二人は貴方の知らない国から来ました。
イエ 貴方と同じような星からですか。
アス 違います。貴方と同じ世界からです。しかも、遠い未来からです。
イエ ああ、貴方はその件について一度話したことがありました。
その男のベルトに付いているものは何ですか。
（イエヒエリは私の腰にかかっている懐中電燈を指差した。）
エド これは電池付きの電気的懐中電燈です。
イエ 私はそれを見た事がありません。どういう仕掛けですか。
残念ながらこういうものをよく知りません。
アスケットは一度も携帯したことがありませんので。
エド これは貴方も御存知のランプの一種です。
これは明かりを付けるもので貴方の時代にも同じものがあります。
貴方がたは動物の脂、植物の油、ろうそくなどを利用して、明かりを付けていると思います。
イエ 貴方の電燈は何処に火を付けるのですか。
エド ここです。見て下さい。
この懐中電燈は火を付けず、このスイッチで明かりを出すのです。
光源は脂、油、ろうそくではなく電気エネルギーです。
私はその知識があまり無いので詳しく説明出来ません。
イエ よく判りません。
イッ エドアルド、私に任せなさい。
私は電気の事は何でも知っているので、私が説明してあげましょう。
エド ありがとう。これで私の負担が軽くなりました。
さあ、どうぞラビ、この懐中電燈を差し上げます。
これが電池の予備品４個です。
使用法はイッチィから習って下さい。
イエ それは受け取れません。それはとても高価なものですから。
イッ （笑いながら）どうぞ、いただいて下さい。
私達にとってはこれは安物です。しかも沢山ありますから。
（イエヒエリはお礼を言って受け取った。
そしてその贈り物をじっと見詰めた。
それから彼はイッチィと話し合いながら、家の中へ入った。
一方私とアスケットは雑談しながら牧草地を散歩した。
私達は雄大な大自然をたっぶり楽しんだ。
５時間以上も経ってから、私達は帰って来た。
イエヒエリとイッチィが専門的な話をしていた。）
イッ イエヒエリはとても賢い。私はラビに動物除けの装置を贈りました。
それから発電機の設計図を作ってあげました。
彼は風力機や水車を利用してそれを動かす事が出来ます。
ラビは戸口に電気安全装置を付けたいと言っています。
人がいつも家を邪魔するのです。
アス （高笑いして）それは大変な事になりますわ。
もしも本当にそんな事をなされば、ラビは歴史上本当の魔法使いとして名を残すことになります。
もっとも今でもすでにそう呼ばれていますが。
イッ 私はフランスの古い本を調べてみましょう。
おそらくその中に戸口の安全装置として、私が贈った動物除けの機械のことが書かれてあると思います。
それから魔法のランプとして、あの懐中電燈も記載されているはずです。
それは悪魔のラビ・イエヒエリの仕業と書かれるでしょう。
これは興味津々な事ですよ。
アスケットに尋ねたいことがあります。
私はラビから物を貰いました。これを私達の時代へ持ち帰る事が出来れば、きっと非常に貴重な古代の骨董品になるでしょう。
私はこの品物を持ち帰ることが出来ますか。
アス 貴方が希望するなら勿論出来ます。
しかし、その品物は貴方の時代へ持ち帰ると、貴重な品物にはならないでしょう。
イエヒエリの贈物は１３世紀からくるのですが、貴方の時代に持ち帰っても、そんなに古くはなりません。
この時代から貴方の時代へ戻る時、ほんの１秒の何分の１かの時間しかかかりません。
従って、私の船の中の全ての物、それにその贈り物も、その瞬間分だけ年を取るのです。
もしイエヒエリの贈り物を骨董品にしたいならば、それを土の中に埋めて、通常の時間で百年経過するのを待つのです。
そうすれば実際に古くなります。
FIGU（www.figu.org）
以上、「セムヤーゼ（５）セムヤーゼ（６）」より引用
この時代にも相手が異星人だと分かっていて、普通にお付き合いが出来る人が居たのですね！
イッチィは電気に詳しい方でしたので良い働きを
このイエヒエリさんについての記録は実際に本に残っています。
私もその本を所有してますので記事に載せますね！
続きをお楽しみに
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