マイヤー事件７３

解説－－１９６４年９月１０日　インド、メールアウリにて。

私の頭では、アスケットの説明したことはよく理解出来なかった。
私は彼女に無言でついていった。

船の側まで来ると、私達は目に見えない輸送力によって船内に運ばれた。
私は長い間、休息ソファーに横になって、まんじりともしなかった。
そしてアスケットの教えについて思いめぐらしていた。

何もかも、途方もない大変なことに思えた。
私の頭の中は大混乱していたが、それを無理に静めてやっと眠る事が出来た。
朝早く目を覚ますと少し疲労を覚えた。

突然私は何処かで銃声を聞いた。
アスケットもソファーから飛び起きて、窓の側にいた私の所に走り寄って来た。

宇宙船から２０メートル離れた所に、一人の男がニコニコして銃に寄りかかって立っていた。
明らかにこの男が、私達の注意を引く為に発砲したに違いない。

この男こそ、私達が数日前の夜、宇宙船の近くで出会った男だった。
私達二人は船から自動的に地上に降りて、彼の方に歩いて行った。

彼は私達を喜んで出迎えた。
彼は自然に右手を伸ばして笑った。

予期しない訪問客

　　これは全く意外なことです。これは、これは。
　　皆さん、ようこそ。・・・・驚きました！

　　皆さんがわざわざ私の野営所へ尋ねて下さるとは、何とお気持ちの優しい方達ではありませんか。
　　全く意外でした。

　　私はイリイッチ・ウスティノフです。
　　簡単にイッチィと呼んで下さい。
　　お二人が来るとは思いもかけませんでした。

　　（彼はまずアスケットと力強く握手し、次に私と握手した。）

＋　　・・・　マイヤー

アス　・・・　アスケット

イッ　・・・　イッチィ

アス　　こうして会えるとは予想しませんでした。

イッ　　同感です。
　　　　思いがけない事です。

　　　　もともとここへ来るつもりではありませんでした。
　　　　私の心の中で何かに駆り立てられて、この付近までふらふらと歩いて来ました。

　　　　すると前方にこの物体が見えたのです。
　　　　初めは幻覚かと思っていましたが、そばに寄って確かめてみると、私は決して気がおかしくなったのではないとわかりました。

　　　　私は今までいろんなものを見たり、体験したりして来ましたが、こんな代物は初めてです。
　　　　しかも、私の頭は狂っていません。

　　　　と言うのは、アメリカや他の国で同じような事件があったと聞いています。
　　　　貴方がたは一体何処からやって来たのですか。

　　　　金星か火星からですか？　この世のものと思われません。
　　　　不思議なことです。

解説

１９７５年８月２８日。ヒンヴィル・チューリッヒにて。

１９６４年にインドでアスケットの助けを借りて記録した報告書の中で、私は自分の名前にエドアルドを使った。
１９７５年以来続いているセムヤーゼとの会見記の中で、私は自分の名前の代わりに十字の印を使用している。

そうしたのは安全上の理由があるからだ。
しかしこの安全の理由は、指令とアスケットとの新しい会見のために無効になった。
そこで今後、アスケットの指令に従って、実名を使用する事が認められた。

私の昔の名前「ファントム」はもはや過去のものになった。
しかし、セムヤーゼとの会見報告では今後も「＋」を私の代わりに使う。

＋　　　私は金星や火星から来たのではありません。
　　　　私は貴方と同じように地球人です。

イッ　　そんなはずはない。
　　　　そこの”箱”は宇宙船でしょう。

アス　　宇宙船と私に関しては正しいのです。
　　　　しかし、この友人は貴方と同じ世界の人間です。

イッ　　なるほど。
　　　　すると、貴方は世間でいう会見者ですね。

＋　　　世間ではそう呼んでいるのですが。

イッ　　そうです。よく使われる言葉です。

＋　　　よく知りませんでした。

アス　　（少し考え込んで）この会見は実際予定していませんでした。
　　　　どうしたらよいでしょう。

＋　　　私にもわかりません。
　　　　イッチィ、どう思いますか？

イッ　　貴方がたは私が居ない方が良いのですか？

アス　　誰もそんな事を言っていません。
　　　　貴方が突然現れたことがいささか問題なのです。

イッ　　それは相済みません。
　　　　私は天使の仕事に口出しするつもりは無かったのです。

アス　　その表現は間違っています。

イッ　　間違い？
　　　　判っていますよ、貴方がたは天使の様な方で、神の使いでしょう。

アス　　一体誰がそんなことを言ったのですか？

イッ　　それはいろんな所から聞いています。
　　　　私は貴方がたに会えて大変嬉しいのです。
　　　　信じて下さいな。私は信心深いキリスト教徒ですよ。

　　　　私は無骨者で銃を持って世界中を回っていますが、根は正直な方で。
　　　　ほら、・・・・私はいつもこの小さな聖書を肌身離さず持っているのです。

アス　　残念ですが貴方を失望させることになります。
　　　　つまり、私は天使でもなく、神から遣わされた者でもありません。

FIGU（www.figu.org）

以上、「セムヤーゼ（５）セムヤーゼ（６）」より引用

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