何か微妙にシリーズ化してる気もするが、あくまでもダメなオッサンの偏った価値観による独り言です。

悪しからずご了承下さい。





王道の家庭料理をやたらと飾り立てたがる行為に嫌悪感を隠しきれないオレだが、その最もたるメニューがオムライスじゃないだろうか?



巷では、焦げ目の無い真っ黄色なフワフワ系が幅を効かせ、何ならチキンライスの上でオムレツを割る【裏オム】が持て囃される様になった世間の風潮に、自分を含む世のオッサン達は更に肩身の狭い思いをしている事をご存知だろうか?



そうでなくとも、オムライスというのは注文しづらいメニューである。




「いらっしゃい、何にしましょ?」



「……オムライス下さい」




女子供が注文するのは許されても、オレみたいな年代のオッサンがそれを言うにはかなりの勇気が必要だ。

例えそれが馴染みの食堂でも、お冷やを持って来た婆さんは、一瞬『え?オムライス?』という顔になり、その顔には『本当にオムライス食べるの?アンタ歳いくつ?』と書いてある(様に見える)。

そう、オムライスというのは暗黙の年齢制限が存在する食べ物なのである。





「………オムライスね~」





厨房の旦那にそう伝える声にも違和感があり、それを聞いた旦那の顔にも、『はぁ?この忙しい時にオムライス!?アンタ歳いくつだ?状況見て注文しろよっ、日替りにしとけ日替りにっ!!』と書いてある(様に見える)。






オムライスに付いてくるスープと言えばコンソメだが、家庭のオムライスが好きなオッサンは味噌汁一択である。
大きめの煮干し、混合節を合わせた出汁は最強。




こういう下町の食堂で食べるオムライスの旨さは、『いけない事をしている』という気持ちから起こる幻想から来ていて、冷静になって味わってみれば総じて不味い。


じゃあ、たまに見掛ける専門店のそれはどうなのかと言えば、【旨いには旨いが癪に障る】という感情が邪魔をする。
中には【白いオムライス】等と言うノスタルジーの欠片も無い様なメニューがあったりして、思わず『オッサンの出自を全否定するつもりか!』と怒り心頭に達する事もしばしば。
大体、デミグラスソースだのホワイトソースだのと選ばせておきながら、肝心のケチャップが置いてないとはどういう事だ!?
オムライスというのはケチャップで味付けしたメシをケチャップで食うと昭和30年初頭から厳格に定められているのである(様な気がする)。
そんな大事な事を無視した上、彩りに水菜を乗っけて誤魔化そうなんざ言語道断。オレが保健所の頂点にいる人間なら、即刻営業許可を取り消すところだ。






豆腐は小さく切るほど美味くなる不思議。
騙されたと思って一度試してみてほしい。





という訳で、オムライスが食べたくなったらもっぱら自炊である(←小心者)。


その場合、『焦げ目の無い綺麗なオムライス』を作るという選択肢は無い。


オムライスの卵は、少し焦げ目が付いてるくらいが丁度良い。



「わあ~、めっちゃきれ~い♪」



と、アホな女子が感激しそうなオムライスに用は無い。
アレはどうも食欲が湧かんというか、事前に焼いた卵を後で巻いたオムライスくらい味気が無い。
そこはやはり、フライパンで『トン、トン、トーン』とチキンライスを包んだヤツが美味いのだ。




下手でもブサイクでも構わない。




オムライスは自炊に限る。









作っている最中に、今日は税理士事務所へ行く日だった事を思い出してパニックになるオレ。
おかげで形が崩れたが味に問題は無し。
チキンライスにカレー粉をちょっとだけ入れるのだけは忘れずに。