その昔、料理の鉄人という下らない番組があった。
出演している料理人達はもちろん本物の大御所で、それ以前から名前だけは知っている人をテレビで観れる事にドキドキしたもんだ。
オレがまだ雇われの身だった頃、その時のオーナーが開店前に神◯川のおっちゃん(故人)を連れて来た事があり、ある一品を試食して『うん、これはゴボウを入れたら良うなるで』と言った時は『んなもん言われんでも分かっとるわクソジジイ!それを任せられる部下の人件費をケチられてるから省いとんねん』と言いかけたが、今となってはそれも良い思い出だ。
北新地本店では金持ち相手にしか料理するのを見た事がなかったが、アッチでも酔っ払って楽しく過ごしてるんだろな。御冥福を。
今日は半年ぶりにお気に入りの食堂へ。
個人的には世界遺産として認定している。
さて、本題である。
オレがまだ小学生くらいの頃というのは、チャーハンという言葉は耳慣れない物だった。
そう、ヤキメシと呼んでいたからだ。
チャーハンという呼び方は、当時ではかなりカッコつけた言い方だったと記憶している。
昔はそういう事が他にも多々あり、例えば【キムチ】なんて呼び方は桃屋が全国区にしたとオレは思っている。
「キムチ?キムチって何?あー、朝鮮漬けかぁ」
そんな時代である。
『染々美味い』という言葉はこの店の為にあり、新幹線を利用してでも食べる価値はあると断言する。
チャーハンという呼び方が一般家庭に浸透すると、次に流行ったのがピラフという呼称だが、こちらは完全に日本人の勘違いから来たものだ。
そもそもピラフは炊き込みご飯のジャンルに入るので、それを知らずに『ご飯をバターで炒めるのがピラフ』と大見得を切っていた当時のインチキオヤジ達にとっては黒歴史となっている(←ピラフは生米をバターで炒めてから炊き上げる)。
三波伸介がビックリして生き返るくらい美味い。
近年ではアホみたいにパラパラチャーハンが持て囃されているが、それと真逆に位置する焼き飯という食べ物がオレは好きだ。
良く言えばシットリ、悪く言えばベッチャリとした、パラパラのパの字も無いあの口当たりが堪らない。
じゃあ、今の40代以下の世代だとどうなんだろうな?
美味しんぼを読んでインチキグルメ病に感染した世代というのは、正にあの周さんがアピってた【玉子とレタスの30秒チャーハン】を作りたがるもんなのだが、そもそも一般家庭にあるガスコンロじゃ少量ずつしか作れない。
そうなると、家族全員分をいっぺんに作る時は、必然的に【玉子とレタスのべちゃべちゃヤキメシ】を食わされて来たんだろうか?(←ウェイパーとか使って)。
何なら弟子入りしたいくらいです。またそのうち。
つか、チャーハンって食い物自体が無駄にセレブ化してる様な気がするな。
黄金チャーハンだの海鮮餡掛けチャーハンだのと色々あるが、オレからすれば『大して美味くもないに名前で誤魔化すな!』としか思わない。
その点、ヤキメシという食い物は【土曜日の昼飯】なんだわな、きっと。
小学生の頃、三時限で終わりだった土曜日の昼飯。
何かモッタリとしたメシをお袋がジャージャー炒めてたアレ。
具材は玉葱とピーマンと人参とカマボコ(←ココ大事)。
何か、異常に美味かったな。レシピ聞いときゃ良かったわ。
『本格的に作ったらダメだな』と思ってクックパッドなんかも見たけど、やっぱ違うな。今時のママさんは上手に作りすぎ。
中にはカオパット(タイのチャーハン)やナシゴレン(インドネシアのチャーハン)まで出てくるしね。それだけ海外の調味料が普通に手には入る世の中になったって事なんだろうけど。
そやけど奥が深いわ、ヤキメシって。
こんな事書いてたら、また食いたくなってきたな。
明日も行くか。