施設長の若山三千彦が書いています。
mitsubachi1414さんという読者さんが書いて下さったコメントに、私たちのホームの実情と合っていないご批判が書かれていましたので、このままでは他の読者さんに誤解されてしまう恐れがあると思い、少しだけ説明をさせて頂きます。
さくらの里山科や特別養護老人ホームの現状についてご説明する内容になっていますので、ぜひ多くの読者さんにお読み頂けると嬉しいです。
mitsubachi1414さんお一人のコメントに対するご説明を、メインの記事で書いていい物かどうか悩んだのですが、コメントを削除したり拒否したりはしたくないので、記事で説明させて頂くことにしました。
まず、以前に本ブログで書いた「究極の人手不足」ということですが、これは他の特別養護老人ホームに比べ、さくらの里山科だけが、よりひどい人手不足になっているという意味ではありません。
全国すべての特別養護老人ホームと同様に、さくらの里山科も究極の人手不足に悩んでいる、という意味です。
そして、もう1点。人手不足のために、私たちが目指す介護が困難になっている、という点でも、究極の人手不足と言えます。
私たちにとっては、究極の人手不足なんですが、国が定めている特別養護老人ホームの介護職員の配置数の1.5倍以上の職員が勤務しています。
mitsubachi1414さんは、負のスパイラルに陥っていることをご心配して下さっていますが、その点も大丈夫です。
負のスパイラルは、介護職員が人手不足になる→介護職員の負担が大きくなる→介護職員が退職する→さらなる人手不足になる、というサイクルです。
さくらの里山科での介護職員の退職は決して多くありません。
正職員の退職は、毎年0~2人というところです。
しかし、1人退職すると、その補充に何か月もかかるんです。
いくら求人広告を出しても、応募が少ないのです。
かと言って誰でもいいとは言えませんので、いくら応募が少なくても面接で落とすことはあります。
だから、なかなか1人の正職員が補充できないのです。
それが年単位になり、数名の退職者の枠が埋まらない、という事態になることもあります。
もちろん深刻な事態であり、退職者の枠が埋まっていないユニットでは、介護職員の負担が増えてしまっていますが、職員が揃っているユニットから応援を出し、できるだけ負担増が均等になるようにしています。
職員減少による業務負担量の増大が、さらなる職員の退職につながるような状況ではなく、負のスパイラルには陥っていません。
しかし、このままでは、じわじわと状況が悪化してしまいますので、新たな手を打つことにしました。
来月、インドネシアから、4名の特定技能実習生が来てくれます。
特定技能実習生というのは、要するに国の制度による外国人労働者です。
実は今日、4名の特定技能実習生さん達と、その配属予定のユニットのリーダーたちによるオンライン交流会がありました。
日本語と介護について学び、遠い国から高い志を持ってきてくれる特定技能実習生さん達を、全職員が一体となってしっかりサポートし、私たちの大切な仲間になってほしいと期待しています。
今は、特別養護老人ホームの大部分が外国人労働者を導入しています。
私が知っているある特養では、職員の7割が外国人労働者になっています。
それに比べると、私たちは外国人労働者の導入が遅れてしまいました。
他の特養ホームに比べると職員の定着率が高く、また求人に対する応募も多かったので、ついつい外国人労働者の導入への取り組みを後回しにしてしまったのです。
これは私の判断ミスでした。
今の日本の人口減、労働力減少を考えると、マンパワーに頼っている介護業界では、外国人労働者の導入は必須だったのです。
今回のことをモデルケースにして、特定技能実習生にとっても、私たちにとってもプラスになる形を作り、その後も外国人労働者の導入を進めたいと考えています。
外国人労働者の助けを借りて、究極の人手不足を解消し、私たちが理想とする介護を再び追及したいです。
mitsubachi1414さんは、ココ姫のご家族様がササミを差し入れてくれたことについても、一般的な特養では衛生管理のため手作りの品は受け取らないはず、と書かれていました。この点も少し誤解があるかなと思います。
mitsubachiさんがご覧になった幾つかの特養ホームは、手作りの品はお断りとされていたのだと思います。
確かにそのような方針の老人ホームは多いのですが、他の方針のホームも多いです。
さくらの里山科では、当日加熱調理した手作り品なら、ご入居者様への差し入れとして受け入れています。
売っている既製品の場合は、賞味期限が切れていなければ受け入れます。
お寿司など生ものについては、当日購入して、あまり時間が経っていない既製品に限り受け入れます。
もちろん全て、差し入れ対象のご入居者様お一人だけが食べるという条件で、他のご入居者様に配るのは既製品のお菓子等でもお断りしています。
このルールで悩ましいのが、「お婆ちゃんが大好きな、我が家で漬けた梅干しを食べさせたい」というようなご家族様の願いも断らなければいけないことです。
申し訳ありませんが、この点ばかりは徹底させて頂いています。
梅干し、漬物等は既製品の差し入れで我慢して頂いています。
ご入居者様お一人だけが食べるならOKということで、家で作った物は何でも受け入れているホームもあります。
また、既製品も含め、食べ物の差し入れは全てNGとしているホームもあります。
これは何が正解とは言えず、各ホームの考え方ですね。
うちのルールでは、ココ姫のご家族様が、当日煮たササミを差し入れてくれるのはOKなんです。
犬もご入居者様も、差し入れに関しては同じルールですから。
多くの読者さんは、老人ホームが、ご入居者様への食べ物の差し入れについて、こんなにうるさいと知って驚いていることと思います。
でも仕方ないのです。
コロナの前から、私たちにとって感染症と食中毒は最大の敵でしたから。
このココ姫のご家族様をはじめ、これまでご入居者様が愛犬、愛猫を残して先立ってしまった後、その愛犬、愛猫をホームに託して下さったご家族様は皆さん、決して無責任ではありません。
愛犬、愛猫の幸せと、旅立たれたご入居者様の思いを大切にするからこそ、ホームに託して下さったのです。
ココ姫のご家族様も、ココ姫のために、ささ身を煮たものなど、手のかかる差し入れを定期的に持ってきてくださっています。
動物病院に連れて行くのは全て引き受けて下さっています。
今は虹の橋にいるナナ姫のご家族様は、ご入居者様が亡くなってから一ヶ月ほど、遠方から毎日のようにさくらの里山科にいらして、ナナ姫の様子を見て、ひきとるか、ホームに託すか悩まれていました。
ホームに託すご決断をされてからは、定期的にナナ姫に会いに来て下さいました。
ナナ姫が虹の橋に旅立ってからも、大喜へのご寄付など、色々なご支援を今もなおして下さっています。
ワンズのお節料理は毎年プレゼントして下さっています。
これまでホームに愛犬、愛猫を託して下さったご家族様は皆さん、ご自身も大変な愛犬家、愛猫家でした。
残された愛犬、愛猫を引き取るのに、何ら躊躇する理由はなかったと思います。
むしろ、ご入居者様の忘れ形見である愛犬、愛猫をひきとりたいという思いがあったと思います。
それでも、愛犬、愛猫の幸せを考えてホームに託して下さったのです。
おそらく、その方が辛いご決断だったのだろうと思います。
だから皆さん、ご入居者様が亡くなった後も何年も、定期的に愛犬、愛猫に会いに来てくれました。
動物病院に行くのを手伝って下さいました。
コロナ前は、愛犬、愛猫に会いにきたついでに、他のワンズ、ニャンズのお世話のボランティアもして下さいました。
ご入居者様が亡くなった後、残された愛犬、愛猫をさくらの里山科に託して下さるのは、断じて無責任なことではありません。
それは当事者である私たちがよく知っています。
最後になりますが、ブログトップにココ姫が連続してなるのは不公平とのコメントがありましたが、正直言ってこれは考えてもいないことでした。
私たちにとって、その日のブログトップになる記事というのは、最後に書いた記事なんです。
あ、最後に文福の笑顔だけアップしておこう。
ココ姫のいい写真があったので、最後にこれだけちょっとアップしちゃおう。
なんていう感じの記事が多く、むしろ私たちにとって手抜き記事だったんですね。
それがブログトップになるのは不公平と言われるとは考えたこともありませんでした。
この点は申し訳ありませんが、今後も、その日のブログトップに何がなるかは考えずに、ブログを作成していきます。
ご了承下さい。
長文失礼いたしました。
ここまでおつきあいくださった読者の皆様、ありがとうございます。