施設長の若山三千彦が書く犬のエッセイです。
申し訳ありませんが、本日2つ目のエッセイ、連投です。
昨夜、2-2ユニットで暮らしていたワンコのサンタが虹の橋に旅立ちました。
愛犬を亡くした人は皆、ああしてあげればよかった、あれをしなければよかったと悔やむことが多々あるかと思います。
私も同じです。
今年に入ってから、サンタにチュールをあげたことがなかったのです。
私は時々、ちょうど16時頃に仕事がひと段落していたら、2-2ユニットに行って、サンタにチュールと薬を食べさせるのを手伝っていました。
しかし、新年になってからは、ちょっとバタバタしていて、それができないでいたのです。
それどころか、サンタに会うことすら少なかったのです。
普段なら、一日に一回は、短時間でもワンコユニットを訪れて、大喜、ルイ、サンタの様子を見ています。
まあ、ついでに文福やココ姫を撫でたり、ミックの部屋を訪れたりもしますが、とにかくワンコユニットを訪れていたのです。
しかし、年明けは、外部での講演や会議等もあったため、ワンコユニットに行けなかった日も何日かありました。
ワンコユニットに行っても、ちょうどサンタがお部屋でご飯を食べている時だったりして、会えないことも重なりました。
だから、今年に入って私がサンタに会ったのは、数える程しかありません。
これは私にとって痛恨と言えることでした。
こうとわかっていたら、もっともっとサンタに会っていたのに。
外に出かけた日も、遅い時間でもいいから、サンタに会いに行けばよかった。
せめて、今年に一回でも、サンタにチュールを食べさせてあげたかった。
悔やんでも悔やみきれません。
サンタは不思議なことに、私のことが大好きでした。
自慢で言ってるのではありません。
謙遜でもありません。
本当に、なぜか理由はわかりませんが、私のことが大好きだったんです。
サンタがお婆ちゃん(飼い主のご入居者様)と同伴入居した初日、サンタは私を見るなり、キュン、キュン切なげに鳴いて、飛びついてきました。
もちろん、私とサンタは初対面です。
それなのに、サンタはあたかも、長年会えなかった大好きな家族とやっと再会できたかのような勢いで私に飛びついてきたのです。
私も職員も、ぽかんとしてしまいました。
もしかしたらサンタは、お婆ちゃんの息子さんと私のことを勘違いしているのかなとも思ったのですが、違いました。
息子さんは私と同年代ではありますが、背格好が全然違うのです。
それに、息子さんが面会に来た時のサンタの様子は、私とあった時の様子と全然違っていました。
息子さんと会った時は、穏やかに喜ぶ感じで、私と会った時みたいな大興奮はしないのです。
じゃあなぜサンタは私に会うと大興奮して喜んでくれるのか、その理由は謎です。
とにかくサンタは、それ以来、ほとんど毎日私と会っているのに、いつも大興奮して、猛ダッシュで出迎えてくれるのです。
でも、今年に入ってからはサンタに数回しか会っていないので、サンタが大興奮して出迎えてくれたのも数回だけでした。
これも悔やんでも悔やみきれないことです。
もう、あの猛ダッシュのお出迎えが二度と見られないなんて。
大興奮して、ぴょんぴょん私に飛びついてくることが、二度とないなんて。
クークーと声を上げながら私に全身をこすりつけて甘えてくるのを、二度と体験できないなんて。
こんなことなら、どれだけ無理をしても毎日会いに行けばよかった。
本当に悔やんでも悔やみきれません。
しかし、愛犬家の皆さんは、愛犬の死に際して、悔やむことだけではないと思います。
あれをしてあげてよかった、最期にあの顔が見られておかったと、救われる思いや喜びもあるでしょう。
その点も同じです。
亡くなる前日である、一昨日の水曜日の夕方、私はサンタに会っているのです。
サンタは火曜日から何も食べられない、水もほとんど飲めない状態になっていて、かなり衰弱していました。
それでも私を見ると、頑張ってベッドから立ち上がり、よろよろしながら私の所まで歩いてきてくれたのです。
私を出迎えてくれたのです。
そして、しゃがんでいる私の足の間に入り、全身をこすりつけて甘えてくれたんです。
もうサンタは体に力が入らなかったので、弱弱しくではあっても、体をこすりつけて甘えてくれたんです。
理由は不明でも、サンタが私のことを大好きなのは間違いありませんでした。
だから、大好きな私に甘えるのは、サンタにとって、最高に嬉しい瞬間だったと思います。
サンタが自分で動いたのは、私に甘えにきたのが最後でした。
だから私は、サンタにとって最期の嬉しい瞬間を与えることができたんです。
亡くなる2日前に、サンタに嬉しい思いを味わってもらうことができたのは、私にとって大きな喜びです。
そして、昨日の夕方18時頃、私は2-2ユニットに行き、サンタに会ってきました。
その後、サンタは動物病院に行き、そこで亡くなりました。
私はサンタがホームで過ごした最期の時に、まだ命あるサンタに会うことができたのです。
これは、ほんの少しですが、救われる思いになりました。
私はサンタの旅立ちに際して感じた、悔やむ思いも、救われる思いも、一生忘れないだろうと思います。