施設長の若山三千彦が書く犬のエッセイです。
今日もアーミーさんが、大喜をお散歩に連れて行ってくれました。
いつもの通り、キャンピングカーとに乗って出発です。
正面玄関を出ると左に向かいます。
目的地は、ホームの通用口。
つまり、ホームの前の歩道を歩くだけなんです。
歩道に出たら、アーミーさんが大喜を抱き上げて、道路に降ろします。
アーミーさんは力があるので、軽々と大喜を持ち上げていますが、
大喜は寝たきりになっても頑張って、体重15kgをキープしています。
男性でも、ちょっと大変な重さです。
アーミーさん、ありがとうございます。
アーミーさんに体を支えられて、ゆったりと歩きます。
こうやって支えてもらえば、大喜は自分で足を前に出せるんです。
自分で歩こうとするのです。
歩くことは生きることです。食べることもですが。
大喜はまだまだ生きる意欲があるんです。
頑張っている顔です。
大喜は頑張って10m以上歩きました。
そこから先はカートに乗っての移動です。
このわずか10mばかりの散歩が、大喜の生きる喜びにつながっているんです。
散歩の後の大喜は、とても満足そうな、そしてとてもやわらかな表情になります。
この顔が見たくてアーミーさんは頑張って散歩をしているのだなと実感します。
今思うと、アーミーさんの、そして犬ユニットの職員全員の、老犬介護の献身的取り組みは、昨日ご紹介したジロー翁の晩年の介護の経験から生まれたように感じます。
晩年の大喜の、目が見えなくても、耳が聞こえなくても、鼻が利かなくても、頑張って生きようとする姿には、生命の尊厳すら感じられました。
そして私から見ると、ジロー翁を介護するアーミーさん達の献身的姿にも、生命の尊厳を感じられました。
ここから、アーミーさん達の献身的な老犬介護が始まったのです。
もちろん、それまでにも老犬はいました。
2014年に亡くなった福島原発エリアに残されていた被災犬のむっちゃんは、享年推定15歳でした。
ジロー翁の享年よりも上です。
しかし、むっちゃんは亡くなる直前まで比較的元気で、介護はほとんど必要ありませんでした。
2016年に亡くなった保護犬のプーニャンは、享年推定13歳。
病気で亡くなったので、やはり介護はほとんど必要ありませんでした。
だから、老衰で弱り、長年介護をしたのはジロー翁が初めてだったのです。
ジロー翁の介護経験を通して、アーミーさんは、今、大喜に行っているような介護体制を作り上げたのです。
今年の1月に旅立ったチロ。享年15歳。
2-2ユニットのリーダーのオニちゃんが中心となって、2年近く、献身的な介護を行っていました。
そして、今、大喜とルイが介護を受けながら、懸命に生きています。
きっと、アーミーさんやオニちゃんの献身的な介護によって、幸せな老後生活を送っているはずです。
大喜とルイを見ていると、老犬とはとても愛らしい存在だと思えます。
心の底から愛おしく感じます。
昨日のブログ記事で、アーミーさんがつけてくれたタイトル、ジロー君、愛しさは永遠に…
その言葉が実感できます。
文福にサンタ、サリーちゃんも、老犬介護が必要になるでしょう。
きっとアーミーさんとオニちゃんのおかげで、幸せな老後を過ごせるでしょう。
願わくば、世界中のすべての犬が、幸せに人生を全うできますように。
すみません。とりとめのないエッセイになってしまいました。