最期の一ヶ月 | さくらの里山科公式ブログ ご入居者様とワンちゃん、猫ちゃん

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施設長の若山三千彦が書く福祉エッセイです。

 

昨日アップした2つの記事、「奥様のお誕生日に駆け付けて!」と「ご主人のお誕生日にお花見ドライブ」でご紹介したご入居者様のご夫婦のご主人が今朝がたご逝去されました。

 

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

ぎりぎりでしたが、ご生前に昨日の2つの記事をアップできてよかったです。

 

ぜひ大勢の方に見て頂きたい内容でしたので。

 

 

今朝ご逝去されたご主人が先にご入居されて、

 

先月初めに奥様がご入居されました。

 

コロナ禍のために、直接お会いできる対面式面会は中止中で、ご入居しているご主人に奥様は会うことはできませんでした。

 

それが、ユニットは違えど、同じ屋根の下で、お互いに会いに行きながら、一緒に過ごすことができたのです。

 

この一ヶ月がなかったら、ご夫婦が一緒に過ごすことは永遠になくなっていたのです。

 

何よりも貴重な最期の一ヶ月となったのです。

 

 

昨日ご紹介した、ご主人のお誕生日のお祝いに、お花見ドライブに出かけた時の写真です。

 

 

同じく昨日ご紹介した、奥様のユニットで開催されたお誕生日のお祝いイベントに駆け付けたご主人です。

 

肝心のご主人のお顔が写っていないのですが、奥様のお顔がとても素晴らしいのでアップしました。

 

 

3月には奥様とご主人、お二人のお誕生日があったのは、本当に幸運でした。

 

コロナで引き裂かれたご夫婦が、再び同じ屋根の下で暮らし、お互いのお誕生日を祝うことができたのです。

 

何よりも、何よりも貴重な一ヶ月になったことと思います。

 

奥様には、ご主人と過ごした思い出がたくさんあることでしょう。

 

2人であげた、結婚式の思い出。

 

子供が生まれ、大喜びするご主人の顔。

 

一緒に出掛けた家族旅行。

 

子供の結婚式に両親として参列したこと。

 

「お祖父ちゃん」「お祖母ちゃん」と呼ばれて、孫に囲まれた日々。

 

そんな素敵な思い出がたくさんあっても、

 

ご主人がご逝去される前の最期の期間、コロナに引き裂かれ、会えないままだったら。無念の思いが強かったろうと思います。

 

そうならず、最期に共に過ごした一ヶ月という、素敵な思い出がもう一つ積み重なったことは、素晴らしいことだと思いませんか?

 

ご主人がご逝去される一ヶ月前に奥様にもご入居頂けたこと、その一ヶ月にご夫婦お二人のお誕生日があったこと、全ては偶然の出来事です。

 

私達が意図してできたことではありません。

 

それでも、何か、生きることの素晴らしさみたいなものを感じてしまいました。

 

ご主人様がご逝去されたことは寂しいのですが、私達に希望を残して下さいました。

 

 

最後に一言付け加えさせて下さい。

 

ご夫婦お二人のお誕生日があったのは偶然ですが、そこでお誕生日イベント&お誕生日ドライブを実施したのは職員の意思と努力によるものです。

 

それらのイベントに、ご夫婦お二人でご参加頂いたのも職員の意思と努力によるものです。

 

残された時間があまり長くないことはわかっていたので、職員達は非常によく頑張っていたのです。

 

実は文福の看取り活動が大きな力を発揮しているのも、このような職員達の姿勢があるからなんです。