施設長の若山三千彦が書く福祉エッセイです。
コロナ禍が始まって3年間が過ぎました。
さくらの里山科にとって、そして多くの介護施設にとって、失われた3年間です。
この3年間、ご入居者様が楽しめることは大幅に減ってしまいました。
うちのホームは旅行行事に力を入れています。
これまでに、遠方への旅行としては、富士サファリパーク(地元神奈川県の隣の静岡県です。車で2時間以上かかります)、房総のイチゴ狩り(隣の千葉県です。フェリーを使っていきます)、東京のスカイツリーなどに行ったことがあります。
少数ですが、ディズニーランドすら行ったんですよ。
市内の名所、バラで有名なヴェルニー公園、菖蒲園、いちご狩り、みかん狩り、小さな神社の初詣は、各ユニットが毎年行っていました。
レストランでの外食も年に2回以上行っていました。
内部でのイベントにも力を入れています。
色々なボランティアさんにお願いするコンサートは、毎月2~3回実施していました。
年に5~6回は、1階のホールで、ラーメン屋さんや、お寿司屋さんなどのホーム内レストランを開催していました。
夜の居酒屋イベントも、年に4回開催していたんですよ!
ご入居者様皆さん、結構お酒を飲まれたんですよ。
しかしこれらはすべてコロナ禍で中止となりました。
3年間、一回も旅行行事はありません。
大型の内部イベントもありません。
まさに失われた3年間です。
読者の皆さんにとっても失われた3年間だったと思います。
私個人にとってもそうです。
私は3匹の愛犬を飼っています。
全員、今年13歳になります。
コロナ前は毎年夏には、愛犬達と一緒に車で、東北や北海道に旅行していました。
今数えてみたら、愛犬達は16の県(と道)を旅行していました。
しかし、コロナになってからはどこにも行っていません。
どこにも行かない内に、13歳になってしまいます。
もう年齢を考えたら、車での長時間移動は負担が大きすぎるので、旅行には行かないつもりです。
コロナのために、私が愛犬達と旅行する機会は永久に失われてしまいました。
私の場合は、愛犬とのことだからまだましです。
しかも、愛犬の歳を考えたら、どの道、旅行には行けなくなっていたはずですから。
しかし、これが小さなお子さんのいる人だったら、大変つらい事です。
私も子供たちが小学生だった頃、一緒にあちこちに行ったのは、何よりも大切な思い出です。
あれがなかったらと思うと、とても悲しいです。
今、小さなお子さんがいる人たちは、そんな思いをしているんですよね。
小さなお子さんと一緒に過ごす時は2度と帰ってこないのに。
そして、その思いは、ご入居者様のご家族様も同じです。
コロナ禍で面会禁止が続き、ほとんどご家族様に会えないまま亡くなってしまったご入居者様が大勢います。
ご家族様はどんなに悲しかったことか。
コロナで失った3年間はどうやってももどってきません。
それゆえにこそ、私達はコロナ後の時を大切に生きて行かなければいけないでしょう。
ただし、コロナが感染法の第5類になっても、特別養護老人ホームで、感染警戒体制がとかれるのは、しばらく後になると思います。
それでも、いつかは終るはずですから、終わった後は、ご入居者様のご生活が精一杯輝くよう頑張りたいです。