施設長の若山三千彦が書く食のエッセイです。
昨日のお昼は、うちのホームの冬の風物詩、アンコウ鍋でした。
うちの12月の定番料理ですので、昔からこのブログをお読み頂いている方は、もはや、よくご存じだと思いますが、
皆さん、アンコウと言うお魚はご存知でしょうか?
こんなお魚です。
外見はグロテスクなんですが、味は上品で、とても美味しんですよ。
しかもコラーゲンたっぷりで、健康にも美容にもいいんです。
こちらは、アンコウの切り身を下茹でした物です。
さすがにアンコウの吊るし切りはしませんが、きちんとアンコウの切り身をつかって調理しているんです。
120人分のアンコウ鍋を作るのですから、厨房も大変です。
ありがとうございました。
こちらはアンコウの肝です。
そうです。
居酒屋でおじさん達に人気の一品、あん肝になる物です。
うちのホームでは、すり潰してタレに混ぜます。
それでお鍋の味がぐっとよくなるんですよ。
アンコウ鍋は江戸時代には、今よりもはるかに高く評価されていたそうです。
西のフグ、東のアンコウと言われていた、つまりフグと並び称されるほどだったんです。
アンコウがフグと同じレベルの高級食材だったなんて、今では信じられませんよね。
現代ではアンコウは高級食材とか、ご馳走とかいうよりも、珍味という感じですから。
江戸時代にアンコウがフグに負けない人気だったのは、産地との距離が影響していたのだろうと思われます。
フグの産地と言えば福岡。江戸から遠く離れています。
交通手段も、冷凍保存の手段も未発達の江戸時代では、江戸でフグを食べるのは困難だったことでしょう。
また、江戸から福岡までフグを食べに行くのも困難でしょう。
それに対して、アンコウの産地は近いです。
皆さん、アンコウの産地はどこかご存知ですか?
それは江戸時代も現代も変わりません。
茨城県の大洗という所なんですよ。
だから、江戸と同じ関東なんです。
もちろん江戸時代では、江戸から茨城の大洗に行くのは簡単ではなかったでしょうが、福岡よりははるかに楽です。
そして真冬なら、氷と一緒に箱詰めすれば、江戸まで運べたのではないでしょうか。
しかも、大洗の近くの水戸でもアンコウ鍋は名物でした。
水戸は言うまでもなく、水戸黄門様の領地です。
つまり徳川家の領地です。水戸徳川ですね。
だから江戸とは繋がりが深いと思います。
それもあって、アンコウ鍋がいっそう身近だったのではないでしょうか。
長々と余分なことを書いちゃいましたが、そんな江戸の冬のご馳走だったアンコウ鍋をぜひご入居者様にも味わって頂きたくて、毎年12月にお出ししているんです。