うちのホームの正面玄関に飾ってあるクリスマスツリーは、高さ180cm。
家庭用のクリスマスツリーとしては非常に大きい物だと思います。
いえ、ここは老人ホームなので、一般家庭ではないのですが…
業務用の大型ツリーを購入できるほどの余裕がないので、一般家庭用のツリーなんです。
それどころか、開設時にご家族様からご寄付頂いた物です。
購入すらしていないんです。
それなのに、こんな大きなクリスマスツリーがあることは、本当にご寄付下さったご家族様に感謝です。
この大きなクリスマスツリーはご入居者様にも大好評で。
大勢のご入居者様が見に来ています。
昨年、一昨年と、コロナ対策で、ユニットの外にはあまり出て頂かないようにしていたので、
ご入居者様もツリーを見に来ることが出来ず
病院に行く時とか、何かの用があって玄関に来た方がツリーを見ているだけでした。
今年は、ホームの内部で、ユニットから出ることにはあまり制限をかけていませんので、
大勢のご入居者様が見に来ているんですよ。
今日はA様も見に来られました。
あら、この飾りは去年はなかった物よ。
A様は去年、やはり病院に行く際にツリーを見ています。
それにしても、これだけたくさんの飾りがあるのに、去年なかった物に気が付くなんて凄すぎます。
絵や手工芸など、アートに造詣が深いA様ならではですよね。
A様が気づかれた通り、実はツリーの飾りは毎年増えているんです。
ご家族様がご寄付して下さったり、職員がどこかの雑貨屋さんで気に入った物を買ってきてくれたりという感じで、増えているんです。
そうやって10年間、皆で育ててきたツリー(笑)なので、豪華で美しいんですよ。
今年はきっと、これから大勢のご入居者様が大喜びで記念撮影すると思います。
最後に、老人ホームの事情を少し。
特別養護老人ホームでは季節の飾りって、とても重要なんです。
クリスマスツリーとか、雛人形とか、七夕の笹飾りとかですね。
コロナ禍の前でも、ご入居者様は自由に外出することはできません。
外出禁止にしていたのではありませんよ。
職員、あるいはご家族様の介助を受けないと外出できないので、自由に外出できないんです。
だから、外に行く機会が少ないご入居者様に季節を感じて頂くには、季節の飾りが大切なんです。
そして、ご入居者様に季節を感じて頂くことは、認知症の進行防止に役立ちます。
認知症の症状(正確に言えば周辺症状)の一つに、失見当があります。
日付けや場所、そして季節がわからなくなることです。
失見当の症状を改善するには、季節や社会の出来事を認識して頂くことが必要です。
つまり、季節の飾りを見て、季節を感じて頂くことは認知症の症状を改善し、認知症が進行するのを予防することにつながるんですよ。
だから、うちのホームでも、クリスマスツリーなどの飾りを欠かさないようにしているんです。
決してご入居者様を子ども扱いしてクリスマスツリーを飾っているのではありません。
誤解されたら困るなと思って、余計なことを書いちゃいました。すみません。