パブリックスペース考1 ~人もペットも~ | さくらの里山科公式ブログ ご入居者様とワンちゃん、猫ちゃん

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全国初!全国唯一!ペットと一緒に入居できる特別養護老人ホーム
ホームで暮らすワンちゃん、猫ちゃんの日々を綴ってます
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住所 横須賀市太田和5-86-1
電話 046-857-6333

施設長の若山三千彦が書くエッセイです。

 

皆さんはパブリックスペースという考え方をご存知でしょうか?

 

基本的には、住まいに関する考え方です。

めいっぱい単純化してしまうと、パブリックスペースが外の空間、プライベートスペースが内側の空間、セミパブリックスペースがその中間、となります。

 

わかりやすい例はマンションです。

マンションの1階のロビーやエンタランスは、不特定多数の人が出入りする外の空間、パブリックスペースとなります。

プライベートスペースは、もちろん自分の部屋です。

そして、廊下や階段、エレベーター、各階のエレベーターホール等が、セミパブリックスペースとなります。

 

ただし、パブリックスペースのとらえ方は色々です。

1階のロビーまで、セミパブリックスペースと考え、完全のマンションの外の道路をパブリックスペースとみなす人もいます。

それは、人によって、環境によって異なります。

 

一戸建ての家について、リビングやキッチンをパブリックスペース、階段や廊下をセミパブリックスペース、自分の部屋をプライベートスペースと考える人もいれば、家の外をパブリックスペース、リビングなどをセミパブリックスペースとみなす人もいます。

 

ここまで読んで下さった皆さんは、なぜ老人ホームのブログでこんなことを書いているの?と疑問に感じたことでしょう。

実は、セミパブリックスペースは、老人ホームでの暮らしを考える上でとても重要なんです。

 

もちろん、一番重要なのは、プライベートスペースの確保です。

さくらの里山科の様なユニット型特別養護老人ホームの場合は、個室がありますから、プライベートスペースは最初から確保されています。

しかし多床室型(2人部屋とか4人部屋とか)の老人ホームの場合、いかにしてご入居者様のプライベートスペースを確保するかが、重要な課題になるのは当たり前ですね。

 

でもご入居者様が快適に生活するためには、プライベートスペースが確保されているだけじゃ足りないのです。

セミパブリックスペースを用意して、うまく活用することが、とても大切なんですよ。

セミパブリックスペースとは、自分のプライバシーをある程度確保しながら、他の人と交流できる場ですから。

人って、誰かと交流しないと生きていけない生き物ですよね。

 

ちょっと話が抽象的でよくわからないよ、と言われちゃいそうなので、もっと身近な言葉に置き換えてみます。

プライベートスペースとは、自分だけの居場所。

セミパブリックスペースとは、仲間たちで共有できる居場所です。

パブリックスペースは不特定多数の人が出入りする空間です。

ぶっちゃけて言えば、誰でも入れる場所、ということです。

それに対して、セミパブリックスペースとは、限られたメンバー、自分の仲間たちだけがいる場所です。

 

うちのホームでは、ユニットのリビングや廊下をセミパブリックスペースだと考えています。

 

 

この空間です。

リビングでご入居者様は、他のご入居者様と交流できます。

同じ空間で、同じ時を過ごします。

でも、ここにいるのは、同じユニットで暮らす10人のご入居者様だけ。

いつもの同じメンバーです。

ワンズも含めて、皆ユニットで暮らす家族です。

家族だけが共有する空間、セミパブリックスペースです。

 

ご入居者様が快適に暮らすためには、個室だけでは足りない。

セミパブリックスペースが重要、ということがわかって頂けますよね。

 

そして、セミパブリックスペースには段階があります。

ユニットのリビングは、プライベートスペースに近い、セミパブリックスペース・ファーストステージです。

うちのホームでは、ユニットの玄関前の空間を、セミパブリックスペース・セカンドステージ、と考えています。

 

 

ここが2-1ユニットの玄関です。

 

 

そして、お隣の2-2ユニットの玄関の間に、小さなエレベーターホールがあります。

ここが、セミパブリックスペース・セカンドステージです。

長椅子が置いてあり、ご入居者様が寛げるようになっています。

コロナ前は、ここで、2-1ユニットのご入居者様と2-2ユニットのご入居者様が交流していたんですよ。

ホールに面して職員室があるので、休憩中の職員と話したりもしていました。

 

ここで過ごすのは2つのユニットのご入居者様。

ユニットの家族と、お隣のユニットの家族です。

隣近所と交流する井戸端会議の場、みたいな感じでしょうか。

だから、セミパブリックスペース・セカンドステージなんです。

 

そして、ホーム全体の共有スペースである1階部分は、セミパブリックスペース・サードステージとなります。

 

 

ここで、ご入居者様は、隣のユニットだけでなく、あちこちのユニットのご入居者様と交流ができます。

面会にいらしている、他のご入居者様のご家族様とも話したりします。

配達にきた業者さんに挨拶したりすることもあります。

コロナ前の話ですが。

 

色々な人と出会う場所ですが、完全な不特定多数ではなく、全てがホームに関わっている人たちです。

だから、まだパブリックスペースではなく、セミパブリックスペース・サードステージなんですね。

 

ホームの外が、パブリックスペースになります。

 

もちろん、どこをセミパブリックスペースと考えるかは、ホームによって、さらには職員によって異なります。

 

続きます。