今回ご紹介するのは、釣りキチ三平で有名な漫画家、矢口高雄の作品「北に帰る」です。
と言っても、「北に帰る」という本は売っていません。
ヤマケイ文庫の「爪王」という文庫本の中に収録されています。
ということでメインタイトルではないのですが、
この「北に帰る」は素晴らしい名作です。
犬好きの人なら大感動間違いなしです。
主人公は、秋田県に似た日本犬の一種、高安犬の太郎です。
太郎は、東北で暮らすマタギ一家の猟犬、というより家族として幸せに暮らしています。
しかし、一家のお母さんが病気になり、治療費を得るために、一家は泣く泣く太郎を売ります。
太郎は東京のお医者さんに飼われることになったのですが、珍しい日本犬をブランドとして見ていないお医者さんのもとを脱走して、一路北を目指します。
そうして数々の苦難の乗り越え、ボロボロの瀕死の状態で、マタギ一家のもとにたどり着くんです。
そこで太郎は死にませんので、ご安心を。
大好きな家族のもとに戻った太郎は瞬く間に元気になります。
物語の最後、金儲けしか考えていないように見えた犬の販売業者が、一家の近くまでやってきて、太郎を確認し、一家の娘に、「東京からここまで戻ってくるなんて、太郎は素晴らしい名犬だね。俺はここにこなかったして帰るとするよ」と、背を向けるシーンが印象的でした。
なお、メインタイトルの爪王も素晴らしい名作ですよ。
東北の最後の鷹匠と鷹の絆を描いた大傑作です。
これも伴侶動物を描いた作品です。お勧めですよ。