新国立劇場バレエ団のジゼル、初日の翌日は金曜日のマチネで、ジゼルが木村優里さん、アルブレヒトが渡邊峻郁さん、ゆりたかコンビのジゼルは8年ぶりなのでした。
前のような純愛カップルにはしないだろうとは予想しましたけど、今年の峻郁さんのアルブレヒトは、なんというか、何度めかの逢瀬なのでもうとっとと目的達成したいという感じというか、貴族らしい傲慢な表情も隠さずジゼルは当然わがものにというか、まあミもフタもない役づくりでした。びっくりしました(笑) 振付もマイムも変えずにこんなに違うものができるんですね。
優里さんのジゼルはそういうアルブレヒトを相手に、透明感と神秘性があって、村娘がただ騙されていて哀れ、というのとは違っていました。1幕のあの有名なヴァリエーションは踊りのすべてが語っていて、ヒドい男アルブレヒトの心も動かしたように見えました。そこからの急展開、錯乱したジゼルはアルブレヒトに一瞥もくれずに去ってしまうんですよね。
傲岸不遜なアルブレヒトが一気に崩れ落ちる幕切れまで、ヒラリオンの小柴富久修さん、ウィルフリードの中島瑞生さんのお芝居も素晴らしくて見ごたえありました、すべてが凄いスピードで、スキのない展開、暴れる峻郁さんと抑えようとする瑞生さんとかオトク…。
婚約者バチルドは内田美聡さん、ペザント・パ・ド・ドゥは李明賢さんと花形悠月さん。切っても切っても美男美女が出てくるというか、若さの花というか、たいへんご馳走でございました。長身のゆりたかコンビには、周囲も大型の若手が並ぶことが多くて、毎回楽しみです。
2幕は強いウィリたちと静謐なジゼルとアルブレヒトのコントラストが美しかったです。ミルタ根岸祐衣さんの一周ジャンプとかテクニックの見どころもたくさん。峻郁さんは高くしていくアントルシャから、クラシックのラインを外れるような動きも見せて、ちょっとバランスが?の場面もあってドキドキ💦 優里さんの腕の美しさにうっとりでした。
峻郁さんのファンになったのはジゼルからなんですが、今また表現も技術も充実して素晴らしかったです、ただアルブレヒトの解釈にホントに驚いた春のジゼルでした。