霞晴れ 緑の空も のどけくて あるかなきかに
遊ぶ糸遊
詠み人知らず
(かすみはれ みどりのそらも のどけくて あるか
なきかに あそぶいとゆう)
意味・・春のうららかな日、霞があがり、緑の色に晴れた
空は、淡い陽炎(かげろう)がゆらゆらしてのどか
なものだ。
注・・糸遊(いとゆう)=陽炎(かげろう)。春のよく晴れた
日、地上から水蒸気が立ち、物の形がゆらゆらと
揺らいで見える現象。
出典・・和漢朗詠集・415。
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道とほみ いでへもゆかじ この里も 八重やは咲かぬ
山吹の花
藤原伊家
(みちとおみ いでへもゆかじ このさとも やえやは
さかぬ やまぶきのさと)
意味・・道が遠いので井手には行くまい。井手は山吹の
名所だが、この里だって八重の山吹の花は咲か
ないことはないのだから。
注・・いで=京都府綴喜(つづき)郡井手町。井手の玉
川は山吹の名所として歌枕。
やは=反語。八重が咲かないだろうか、いや咲く。
山吹の花=バラ科の落葉低木、春に黄色の花が
咲く。一重と八重がある。
作者・・藤原伊家=ふじわらのこれいえ。1041~1084。
少納言、従五位下。
出典・・後拾遺和歌集・157。