みじか夜や 伏見の戸ぼそ 淀の窓
蕪村
(みじかよや ふしみのとぼそ よどのまど)
意味・・夏の夜も明けきらぬうちに、伏見から淀川
下りの一番船に乗る。伏見の町はまだ固く
戸を閉ざして静まりかえっていたが、淀堤
にさしかかる頃には夜も明け、両岸の商家
は窓を開け放ち、忙しそうに往来する人の
姿も見られる。
京都伏見の京橋は大阪の八軒屋との間を往
複する三十石船の発着点であった。伏見か
ら淀の小橋まで5.5キロの下りで、淀の
両岸には商家が軒を連ねていた。
注・・戸ぼそ=家の雨戸。
作者・・蕪村=ぶそん。与謝蕪村。1716~1783。
南宗画も池大雅とともに大家。
出典・・おうふう「蕪村全句集」。