【第一部】


まずは、この写真を見て欲しい。



これは、避妊手術後の
くるみの姿だ。
グルグル巻の包帯。
エリザベスカラーすらしていない。



さくらが避妊手術した病院は、
術後1週間の入院が必須で、
面会も、術後3日経たないと
許されなかった。
面会に行った時、さくらは
エリザベスカラーをしていたものの
包帯なんか巻いてなかった。
他の病院では、このくるみの姿は
普通なんだろうか?私は衝撃を受けた。




これは従兄弟から
送られてきたものだ。
叔母はあんなだが、
従兄弟とは仲がいい。
従兄弟には、叔母がくるみに
何をしたか報告した。
そしたら、この写真が送られてきた。




従兄弟が叔母を訪ねた時、
この姿のくるみがいて、
従兄弟は大層驚いたらしい。
大怪我でもしたのかと思って聞いたら
『ただの避妊手術よ』
と、叔母はシレっと言ったという。
くるみは弱ってるし、
様子がおかしいと感じた従兄弟は、
猫を飼っている友人に見せようと、
叔母に気づかれないように写真を撮った。




後日、従兄弟が
猫を飼っている友人に
くるみの写真を見せて、
猫は避妊手術をすると、
こんな姿になってしまうのか、
と聞いた。
友人は顔を顰め、
介護服にも見えないし、
包帯を巻いただけで
エリザベスカラーもしてないのは
ちょっとおかしいと言った。
傷口を引っ掻いたり、
舐めたりすると良くないので、
エリザベスカラーは
必ず病院で購入させられるし、
介護服ならまだしも、
包帯グルグル巻は無いと思う、
と従兄弟に告げた。
従兄弟は、叔母がくるみを
雑に扱っていることに、
何となく気づいていた。
危機感を覚え、
従兄弟は岩手に向かった。




岩手に着いた従兄弟は驚愕した。
くるみはエリザベスカラーどころか
グルグル巻にしてあった包帯は
ゲージの隅に
ぐちゃぐちゃになって置いてあり、
傷が剥き出しになっている。
叔母に詰め寄ると、

『この子賢いの。本能で分かるのか、
傷を舐めたりしないわ』

と笑った。
従兄弟は嫌な胸騒ぎがし、
叔母が止めるのを振り切って、
くるみを病院に連れて行った。
一応、Google先生に聞いて、
口コミの良い病院を選んだ。
予約していなかったので待たされたが、
無事、診てもらう事が出来た。




先生は眉根を寄せ、

『この子、自分で糸抜いちゃってるね。
化膿してるよ。傷口は開いてないから、
抗生物質1週間分出します。毎日飲ませて。
エリザベスカラーは必ずしてね』

と言った。
しかし、従兄弟は仕事もあるし
1週間くるみに付き添うのは無理だ。
かと言って、あの叔母が、
薬をきちんと飲ませるとは思えない。
そこで、先生に無理を言って
1週間、くるみを
入院させてもらうことにした。




くるみを病院に任せ、
従兄弟は重い足取りで
叔母の元へ帰った。

『あの子をどこにやったの!!!』

発狂する叔母に

『病院に預けた。1週間後、連れてくる』

とだけ言って、
叔母の言葉は聞かず、帰京した。




従兄弟は、叔母のところに
くるみを置いておいて良いのか
苦悩した。
自分のところは、娘が猫アレで
連れてこられない。
心当たりに聞いてはみたが、
引き取り手は見つからなかった。
とりあえず、叔母に説教しようと
心に決めた。



そして1週間後。
従兄弟は、くるみを迎えに行った。
くるみは、すっかり元気になっていた。
躊躇う心を押し殺して、
くるみを叔母の元に連れ帰った。




『この猫泥棒!!!』

叔母は大声で怒鳴って、
従兄弟からくるみをひったくった。
くるみはビクビクしていた。
叔母は、くるみを乱暴に
ケージに放り入れた。

『なんで乱暴にするんだよっ!』

従兄弟もキレた。

『どこの病院で手術したんだか知らねーが、
傷が化膿してたぞ!
エリザベスカラーとか言うヤツ
なんで付けてなかったんだよ!?』

叔母は一瞬怯んだが、

『エリザベスカラーなんていらないって
言われたのよ!勝手なことして!
この猫は私の所有物よ!あんたに関係ない!
もう二度と来るな!』


説教する間もなく、
従兄弟は叔母に追い出された。
従兄弟は何度か
インターホンを鳴らしたが無視され、
仕方なく帰京した。
それからずっと、くるみのことは
気になっていたという。
私から虐待のことを聞き、
やっぱりな、と思ったそうだ。



従兄弟はまる一年ほど、
叔母とは音信不通になっていた。
そんな叔母から連絡がきたのは、

“自分はもう末期癌で助からない。
ホスピスに入って緩和治療
することにした。
猫を姪っ子に任せるから、運んで欲しい“

と、いうものだった。
実の母が癌になったと聞いても、
従兄弟は驚かなかった。
癌系の家系だし、病院嫌いの叔母は
具合が悪くなっても
病院に行かなかったんだろう。
家族として、医者から余命宣告された。

“癌が脳に転移するのも時間の問題。
入院して治療しても、辛いだけで
完治は望めない。緩和ケアが良い"

それが医者の見解だった。
それを聞いた従兄弟の感想は、
"俺も癌で死ぬのかなぁ“
だったらしい。
悲しいとかはなかったという。



叔母は自分の子に手を挙げる人で、
従兄弟は頻繁に打たれていた。
中学生になってからは体格が
逆転したので、返り討ちに
していたそうだが、
叔母が泣きながら叔父に訴えると
叔父が出てきてボコボコにされた。




従兄弟は東京の大学に進学し、
結婚も東京でした。
上京してからは、両親と
必要最低限しか関わらなかったそうだ。




私がくるみを引き取ると聞いて、
従兄弟は心底ホッとしたという。
従兄弟は、我が家が猫好き一家で、
特に私が超長生きの猫を
溺愛しているのを知っていたからだ。




久しぶりに見るくるみは
酷く怯えていて、ケージの中を逃げ回り、
キャリーに入れるのに相当苦労したらしい。




そうして、くるみは
我が家にやってきた。



【第二部】

叔母からは、

"くるみは大人しくて、
とても人に馴れてる賢い子。
抱っこも簡単に出来ちゃうわよ。
すぐにゴロゴロ言うから大丈夫“

と、聞いていた。
到着したくるみは、
抱っこした途端、腕からダイブし、
仏壇の裏に隠れた。



まぁ·····
知らない場所だし、
知らない人だし·····
いきなりは無理だよね·····

正直凹んだし、
釈然としない気持ちを
抱えたまま、くるみは
私の娘になった。



くるみが無事に到着したので、
一応、叔母に連絡した。
叔母は第一声から、

『どう?やっぱり、ケージ
持っていった方が良かったでしょ?
しつけも出来るし、いたずらしないし、
ケージは必要よ!』

大声で捲し立てた。
くるみをお迎えすると決まってから、
私はずっと、ケージの必要性を
叔母から聞かされ続けていた。
しかし、以前も書いたが、
両親が大の猫好きで、私は生まれた時から
猫と一緒だった。その両親が、
ケージを毛嫌いしていて、
うちには絶え間なく猫がいたが、
ケージ飼いした猫はいなかった。
そんな両親を見て育った私は、
当然、ケージ嫌いになった。




叔母の猛烈なケージプッシュを
軽く受け流していたが、
叔母はエキサイトしすぎたのか、
は?と思うようなことを言い始めた。

『ケージに入れれば躾が簡単よ。うるさかったり
言うこと聞かなかったら、ケージの外から
適当な棒で殴ればいいの。大人しくなるわ』

は?

『トイレで臭くなったら、お風呂入れて。
シャンプーの匂いが嫌いみたいで、暴れるし
吐くけど、首根っこをガッチリ掴めば大丈夫。
今までに6回くらい入れたかしら』


は?は?

『あの子は、とにかく匂いなのよ。
今まで4回引越ししたけど、部屋の匂いが
変わる度にパニックになったわ。
私がお風呂から出てきてもシャーシャーいうの。
打つと大人しくなるけど』


ちょ、ちょっと?


『私は2年も、あの子を飼ってたの。誰よりも
あの子のことは分かってるわ。
分からないことがあったら、何でも聞いて。
あ、吐いた時はお仕置きしてね』


···············


途中から
返事を返さなくなった私を無視して
叔母は話し続ける。我慢の限界だった。

『あの!』

叔母の話しを遮った。

『私、生まれた時から猫と一緒で、
でもケージ飼いしたことないんだよ。
ってゆーか、猫をケージに入れるの嫌なの。
いたずらされても気にしないし、
私の子は21歳まで生きたよ。
長生きの最大の要因は
ストレスフリーだと思ってる。
それと、私は猫を飼うんじゃない。
家族と一緒に住むの。猫はトイレさえ
失敗しなければ、躾は必要ないと思ってる。
だからケージは不要だから』


キッパリ言って圧をかけた。
叔母が口走っていたとんでもない
くるみへの扱いは後日、必ず詰める。
今じゃない。今、言い争って、
くるみを返せって騒がれると面倒くさい。


『ま、まぁいいわ。好きにすれば。
ケージが必要になったら、いつでも言って』

しつこい。
適当にお茶を濁して、電話を切った。
くるみが叔母にされたことは、
よろしければ、こちらから⬇️


お陰様で、
くるみは日に日に元気に
楽しそうに過ごしている。
地雷はいっぱいある。
でも、辛い記憶は全部、
幸せな記憶に塗り替えてあげる。
ずっと一緒にいてね、くるみピンクハートラブラブ


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