2月25日の都市整備費の質疑では、練馬区が行なっている住まいの支援の事業について質問しました。

 

「住宅セーフティネット法」という法律をもとに、住まいを福祉的な視点から捉える支援が始まっています。

自治体では居住支援協議会というものを設置するところが増えています。

また、住まい探し、入居契約のサポート、入居後の見守りを行なう居住支援法人という団体も増えてきています。「居住支援法人」というのはネーミングがちょっと「一般社団法人」「NPO法人」のような法人格を指すような混乱を招く名前なような気がしているんですが、居住支援法人はそういう法人格ではなくて、どちらかというと相談支援事業所のような事業所のイメージです。要件を満たした団体を都道府県が居住支援法人として指定します。

 

でもこれらの支援制度はまだ始まって数年ですので、それぞれの役割があまり明確ではありません。

自治体の居住支援協議会も取り組み内容はまちまちですし、居住支援法人がどこまでの支援活動を実際にできているかも、団体によって様々だと思います。本当に実効性のある制度に育っていくのか、正直、なんとも不安な限りです。

ただ、来年度の障害者制度の改定の中で、居住支援法人と自立生活援助の連携が明確になりましたし、居住支援制度がなくなることは多分ないんだろうなぁ…というのが現状。

 

それで、練馬区は来年度から居住支援法人に委託しての事業をスタートさせるということでしたので、その詳細について質問しました。また、本当はもうひとつ質問したかったのですが、それは、居住支援における行政の役割をどう考えるか、ということ。

先ほど、自治体の居住支援協議会の役割も自治体によってさまざま、と書きましたが、行政も正直、今まで「福祉的な観点からの住まいの支援」は公営住宅しかやっていない中で、何を自分たちの役割ととらえていけばいいのか、悩むところもあるのではないかと思います。

 

でも住まいの支援は、実はいろいろな相談の中に潜在化していると思います。

制度上想定されている居住支援は、退去を迫られるなどした人の住まい探しからスタートすることを想定されているとは思うのですが、例えば私が相談を受けた方の中にも中途障害で近隣とトラブルが起きるようになってしまった人とか、親子で暮らしていたけど親が亡くなって突然ひとり暮らしになってしまった障害のある人など、「今すぐ出ていけと言われていないけど大家も困っていてこのままだと出ていかなくてはならないかも」というケースなどもありました。そしてそういう状態にある方のことは、福祉事務所や保健相談所や地域包括支援センターと話し合いながら解決を探ってきました。

ということは逆にいえば、福祉事務所や保健相談所や地域包括支援センターには、それとはっきり認識していなくても住まいにまつわる相談というものが埋もれているはずなんです。そして、福祉の専門職は住まいの相談を受けていてもあまり明確に「これは居住支援だ」とは認識していないのが現状だと思います。なぜかというと居住支援制度は厚労省ではなく国交省の管轄なので、福祉関係者の耳に情報が入りづらいからです。

ということは、行政の役割は、新たな支援事業を始めたり、居住支援法人と連携をするだけではなく、今きっと埋もれているはずの福祉相談の中の住まいの課題を拾い出すことなのではないかと思うのです。ぜひ、住まいの福祉という観点からの役所内の横のつながりづくりをしていただきたいなと思います。

 

…とまあ、このことについてもいろいろと言いたいことがあるので前段の話が長くなりましたが、前段の話は議会で質問しきれなかったことだけを書いたので、ぜひ以下の質問もお読みください。

 

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(かとうぎ桜子)

住まい確保支援事業について伺います。

高齢者や障害者、ひとり親家庭への住まいの支援として、2019年6月から実施されてきた、住まい確保支援事業ですが、今度の4月から物件探しや契約入居後の状況確認など、伴走型支援を居住支援法人に委託して実施するということです。4月というともうすぐですが、今の準備状況と4月からの区民への周知の方法をまず伺います。

 

(住宅課長)

まず、現時点の準備状況です。住まい確保支援事業の充実のための方策である伴走型支援を4月からきちんと開始できるよう、相談等に当たる窓口職員向け周知や、伴走型支援を委託する居住支援法人の選定作業に、現在取り組んでいるところです。

次に、区民への周知についてです。これまでも取り組んできましたように、住まい確保支援事業をトータルで、チラシやホームページ等を通じて周知するとともに、伴走型支援については、ご相談を受ける中で、必要に応じここにお知らせしていきたい、そのように考えています。

 

(かとうぎ桜子)

所管の委員会で示された資料では、伴走型支援は、精神障害者や高齢で立ち退きを迫られている世帯などを対象とすると書いてありましたが、住まい確保支援事業に申し込んだ人に対して、支援が必要かどうかの判断はどのように行うのかを伺います。

 

(住宅課長)

この伴走型支援の対象となる精神障害者や、高齢で立ち退きを迫られている方について、住まい確保支援事業の申込みを受け付ける際のヒアリング、あるいは電話等での聞き取りを行う中で、ご本人のご希望というものも踏まえて、支援の必要性をきちんと判断してまいります。

 

(かとうぎ桜子)

委員会の資料に、2019年6月から2020年12月の事業実績が載っていましたが、特に障害者に対する物件情報の提供数が、かなり少ないのですけれども、区としてこの要因をどのように考えているか、また、今後どのように解決を図っていくかを伺います。

 

(住宅課長)

申請書に記載していただきました、例えば精神障害3級などといいました文言だけでは、その方の状況が不動産店や建物オーナーにうまく伝わらず、誤って認識されてしまうことがバリアとなりまして、紹介件数の少なさの一因につながっている、そのように捉えています。

こうしたことを解消するため、まさに伴走型支援の中で、伴走者が申請者の個々の状況を不動産店やオーナーに伝えまして、その不安感を解消していくことで、紹介できる物件も増えていくものと考えています。

 

(かとうぎ桜子)

今回の事業は、居住支援法人との連携で実施するということですが、居住支援法人は、住まいのお困りの方の相談を受けて、物件探しや見守りなどの支援を行う事業所として、都道府県の指定を受けるものです。居住支援法人の仕組みが始まってからまだ数年ですので、まだまだ一般的に知られていないと感じます。

最近も、居住支援法人が同行して不動産屋に協力を求めたところ、居住支援法人というのは聞いたことがないからと不審がられて断られてしまったという話を聞きました。かといって、居住支援法人をご存じの不動産屋だけに限定して同行するのでは、相談された方の物件の選択肢が狭まってしまいますので、ぜひ、より多くの不動産事業者に理解が得られるよう、区としても居住支援制度の周知啓発を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

(住宅課長)

まさに新しいこの居住支援法人という仕組みですが、区がこれまでも区内不動産団体にも参加していただいているの居住支援協議会の場に、まさに居住支援法人を呼びまして、その活動内容を紹介してもらうなど、周知に取り組んできました。

加えまして、不動産団体にはご協力をいただきまして、区内不動産店にも、この住まい確保支援事業のチラシを配布し、周知をはかってきました。

そして現在、区内不動産店に配布する新たな事業チラシを作成しているところです。そのチラシの中には、この住まい確保支援事業の協力に加えまして、居住支援法人についても掲載しておりまして、住まい確保に係る幅広い支援策について、一層の周知に、引き続き取り組んでまいりたいと考えています。

 

(かとうぎ桜子)

幅広く居住支援制度を知っていただくことで、区の住まい確保支援事業への物件情報の提供への協力にもつながると思いますので、ぜひ、進めていただけたらと思います。

それから、居住支援協議会について伺います。練馬区の協議会は、2019年4月から始まって、今では住まい確保支援事業のことや、居住支援法人との連携が協議されていると思いますけれども、自治体によって様々な取組みがあると思いますが、まず都内の他の自治体がどのような取組みがされているか、そして練馬区の協議会の役割は、今後どのような役割を果たしていくのかをお聞きします。

 

(住宅課長)

23区では、昨年末現在、16区がこの協議会を設置しています。この中には、協議会として相談窓口などの事業をやっているところもありますが、練馬区としましては、協議会を住まい確保の支援策についての協議を行う場と位置付け、それを基にこの事業を実施し、さらに事業の実績も報告して、課題解決に取り組んでいます。