今回の質問で、介護保険のことは色々なテーマを質問しましたので、テーマごとに分けて、短めに報告していきたいと思います。

 

今回は有料老人ホームの状況について。

このテーマは以前から何度かとりあげていますが、なかなか有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に暮らしている方の生活実態は見えづらいというか、社会で共有されづらいという課題を感じています。

(前に質問した内容はこちら。データも載せているのでぜひご覧ください。)

 

どんな生活ニーズがあって施設を選択するのか、行政としてももっと積極的な把握が必要ではないかと感じており、今回も取り上げました。

 

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(かとうぎ桜子)

有料老人ホームの状況について伺います。

高齢者基礎調査を見ると、有料老人ホームに入居する人の中で要支援1の人は2017年に2.4%だったものが2019年には5.7%に、要支援2の人は2017年に1.3%だったものが2019年には4.4%にと、要支援の人の有料老人ホームの入居が増えています。

先ほども述べたように要支援1、2の人の介護を担う人の多くが高齢で、そこを補う地域生活の支援が不十分であることが有料老人ホーム入居のひとつの理由と考えられるのではないでしょうか。区としてはどのように捉えているかを伺います。

また、今後の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などに関する調査に際しては、どんな生活ニーズがあって在宅ではなく施設を選んだのか、今の生活で大事にしていることはどんなことなのかなど、施設入所者の生活実態がより具体的につかめるような自由記述欄も作っていただきたいと思います。施設利用者の生活実態をより詳しく知ることで、在宅介護の課題も見えてくると考えるからです。区の今後の考えをお聞きします。

 

(高齢施策担当部長)

有料老人ホームの利用者についてです。

民間事業者が整備する介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅など、入居系サービスも増えており、高齢者の住まい方の選択肢が広がっていると認識しています。要支援者1・2の方は、身の回りの動作はほぼ自立していますが、将来介護が必要になったときに備え、早めに対応しているといったことが考えられます。介護者への支援が不足しているとは認識しておりません。

今後の高齢者基礎調査の項目等の設定については、介護を取り巻く状況の変化や課題、これまでの調査との連続性等を考慮しながら、介護保険運営協議会等の場で関係者の意見を聞いて検討してまいります。

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答弁を聞いて思ったこと。

否定されていますが、要支援の人とその家族が、将来を不安に思うという状況はあるだろうと思います。要介護度の低い人への支援のあり方は国の制度としての課題も多く、考えていくべきことが多いと思います。
 

ただ、そうした制度的な問題と、有料老人ホームを選択するかどうかは必ずしも一致しないということもあるかもしれません。

だからこそ、そこはしっかり調査してほしいなと思うわけです。

 

私もいろいろと相談を受けていて思うのは、高齢者であれ障害者であれ、要介護度や障害の度合いの重さだけでは生活上の困りごとは測りきれないなということ。

例えば要支援で、身体的には自分のことは自分でできる力のある方でも、長く家族からの暴力を受けていたことが影響して自分で「今日何をして過ごしたら楽しいか」ということを考えられなくなっているという状況の方の相談を受けたことがあります。その方は物理的にはひとり暮らしもできるかもしれないけど、少しでも安心して楽しい生活をするためにはサービス付き高齢者向け住宅など継続したサポートがあるほうがいいかもしれないと考えたことがありました。

もともと一人を好むのか、みんなといたいタイプの人なのか、とか、自分のやることは自分で決めたいのか、「これをやりましょう」と言われた方が安心して動けるのか、とか、家事が得意な人なのか苦手な人なのか、なども含め、その人の今まで生きてきた人生を見て、その人にとって老後の生活で一番自分らしく暮らせる方法を決めていくことが必要だと思います。

そういう意味でも、施設の暮らしの実態把握は必要だと思います。