更新のあいだが少しあいてしまってすみません。今回のブログでは、一般質問で「高齢者の住まい」について取り上げた時の内容です。

 

高齢者の住まいのことは、秋の定例会の時にも質問しましたが、その後いろいろと調査したことも含めて改めて取り上げました。考えれば考えるほど、様々な課題が見えてきます。

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高齢期の住まいについて伺います。

第三回定例会の決算特別委員会で、現在、低所得の高齢者が対象となる都市型ケアハウスに待機が約100人、生活保護を受給していて都外の老人ホームに入所されている人が217人いらっしゃるという実態をお聞きしました。

また、資料によれば、2018年、住所地特例で練馬区以外の高齢者施設に入居されている人は1465人いらっしゃるとのことです。

(※練馬区の資料を引用すると、住所地特例とは次のようなものです。

「被保険者が、他区市町村の住所地特例対象施設に入所して施設所在地に住所を変更した場合には、変更先の区市町村の被保険者ではなく、引き続き元の住所(練馬区)の被保険者となる。住所地特例対象施設は次の通りである。
①介護老人福祉施設(=特別養護老人ホーム) ②介護老人保健施設 ③介護療養型医療施設 ④養護老人ホーム ⑤有料老人ホーム ⑥軽費老人ホーム(=ケアハウス)

サービス付き高齢者向け住宅に住所地特例が適用になったのは2015年4月から。また、未届けの施設に関しては住所地特例の対象にならないので実態の把握が難しいといえるかと思います。そして、未届けの施設は増加傾向にあると言われています。こちら

 

私は、東京都の介護サービス情報公表システムから、区内のサービス付き高齢者向け住宅の実態を分析しました。ここで検索できる区内16のサービス付き高齢者向け住宅にかかる家賃、共益費、サービス費、食費の合計額の平均は約21万円、最もリーズナブルな施設でも約14万円弱かかることが分かりました。サービス付き高齢者向け住宅は有料老人ホームよりもリーズナブルである傾向にありますが、それでもこの金額がかかるとなれば、生活保護を利用されている方ではもちろん利用できませんし、年金生活をされている方でも厳しい状況にあると考えられます。


そのため、住所地特例で施設入所されている方の中には、年金生活で低所得であり、区内の老人ホームに入れない、都市型ケアハウスもなかなか入れないということで練馬区以外の施設を選んだ方もいらっしゃるのではないかと推測されるところです。

そこでまずお聞きしたいのは、こうした区外の施設に入所されている方はなぜその施設を選択されたのか、どんな生活ニーズによるのか、といった実態把握をされているかを改めて伺います。

一方で、区内のサービス付き高齢者向け住宅の中にも待機が生じている場合があると聞きます。区内の有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の待機の状況をお聞きします。

また、これらの施設に入居される方は、介護以外の生活サポートの必要性のある方も多いと考えられます。

例えば想像できるのは、80代後半以上の一人暮らしの方の見守りを中心とした支援です。練馬区の実態では、2018年3月末の85歳~89歳の要介護認定率は51.1%、90歳~94歳は73.4%なのですが、その中で要支援の占める割合がそれぞれ12.3%、12.5%と、その他の年代よりも多くなっています。

 

これは、80代後半になっても身体的な介護は必要ではないけれど、少しの見守りが必要だからというニーズで要介護認定を受ける人が多いと考えられるのではないでしょうか。


2017年に区が実施した高齢者基礎調査では7割から8割の回答者が持ち家であるという回答をしていますが、施設入所者についても80.4%が持ち家であると回答しています。たとえ持ち家だったとしても、もしその方がお一人暮らしならば、高齢になれば介護とまではいかなくても何かしらの支援が必要と考えて施設に入るニーズが出てくることが考えられるのではないでしょうか。今までの住まいの形態に関わらず、高齢期の住まいのニーズは変わり、施設を利用している人も多いと考えられます。


そこで、どうすれば在宅での生活を継続できるのか、地域支援を充実させるためにも、施設に入居されている人の実態把握をよりきめ細かに行なうことが必要です。

また、サービス付き高齢者向け住宅は本来は高齢者の見守り・生活相談を中心としたサポートのある住まいという位置づけで、介護以外の生活サポートを中心に行なう場であるはずですが、特別養護老人ホームの待機が大きい中で、認知症など、きめ細かな介護を要する人が、サービス付き高齢者向け住宅に入居されている、あるいは介護の状態が重くなっても入居を継続されるケースも増えてきているとも聞きます。


そうした点も含め、区内の有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、また住所地特例や生活保護での都外施設入所の利用者の現在の要介護度や生活ニーズ、各施設の空き状況や待機状況などの実態把握をきめ細かに進め、今後の区の施策に活かしていくべきであると考えます。区の見解を伺います。

 

(区長)

高齢者施策についてです。

段階の世代の全てが後期高齢者となる平成37年までに、介護が必要になっても住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的・継続的に提供される地域包括ケアシステムを確立しなければなりません。

これまで区は、介護保険施設等の整備を進めてきました。特別養護老人ホーム、ショートステイ、都市型軽費老人ホームの施設数は、都内最多です。平成37年に向けて、在宅での生活が困難な方全てが希望する時期に入所出来るよう、特別養護老人ホームの整備を促進します。

地域包括ケアシステムの中核を担う地域包括支援センターは、区立施設等への移転や増設、担当区域の見直し等を行い、より身近で利用しやすい窓口とします。

地域密着型サービスやショートステイなど、在宅生活を支えるサービスを充実するとともに、不動産団体と連携し、高齢者の住まい確保を進め、誰もが安心して暮らし続けられるまちを築いてまいります。

 

(高齢施策担当部長)

高齢者の施設や住まいについてです。

区外の施設入所者については、特別養護老人ホームの入所待機者調査を実施しているほか、生活保護受給者の方については、福祉事務所のケースワーカーが定期的に施設を訪問し、生活状況の確認や本人との面談を行っています。

また、高齢者の所得状況や費用負担についての意向等は、高齢者基礎調査や窓口等で把握しています。加齢による身体機能の低下に対応した住まいへのニーズが高まっており、低廉な家賃、バリアフリー化した住宅、生活支援サービスの提供などが求められていると認識しています。


区は、こうした実態を踏まえ、地価が高い都市部において民間における安定した供給が進みにくい低所得の高齢者向けの住まいとして、都市型軽費老人ホームの整備を都内で最も進めています。

区内全ての施設を対象に行なった調査では、有料老人ホームの稼働率は約8割、サービス付き高齢者向け住宅は約9割です。施設によって利用状況は異なり、満室に近い施設もある一方、10室以上の空き室がある施設も4割近くあり、区全体では施設需要を満たしています。

第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に当たっては、平成37年までに必要となる施設・サービスの需要を、高齢者・要介護認定者の推計、サービス毎の要介護度別の利用者数、利用率、待機者数、高齢者基礎調査の結果などをもとに推計をし、整備目標数を定めています。今後も、計画に基づき、着実に整備を進めてまいります。

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答弁にもあるように、「施設によって利用状況は異なる」のだから、全体としての稼働率を出しても意味はなく、個別の内容をきめ細かに把握すべきと言っているのですが…。あんまりかみ合わない答弁ですね。