障害のある人の働く場、活動する場については、時折質問していますが(直近ではこちら)、今回は特に生活介護事業について取り上げました。

生活介護とは、障害者総合支援法によれば、「入浴、排せつ及び食事等の介護、創作的活動及び生産活動の機会の提供その他の支援を要する障害者で、常時介護を要する者に対して、入浴、排せつ及び食事の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の便宜を適切かつ効果的に行う」ということなのですが、なかなかわかりづらいですね。現在の障害者の通所施設は、就労支援施設と位置付けられているものが何種類かあります。でも例えば自分で電車やバスを使って通えないとか、お金を稼ぐだけ働くのは難しいなどの状態にある人が通う施設として生活介護が位置付けられています。

働けるのか働けないのかと線引きすることはとても難しいことで、どういう側面をもって障害が重い、軽いというのかもとても難しいことだと思います。そういう中で、就労できるか否かという線引きで見ていく現制度に合わせようとするとどうもうまくいかないという場合が生じます。

練馬区内で昔からやっている作業所は、現在の制度上、就労継続支援B型という類型に位置づけられていることが多いのですが、そこで働く人のお給料(工賃)を上げる努力をしないと国から事業所にはいる報酬が引き下げられるというしくみになっています。もちろん、障害があるからといって安い給料しか支払われないという状況は変えていかなければならないのですが、お給料を払うためにはそれだけたくさん働いていただかないとならない。そうすると、障害の状態が不安定だったり、障害が重度化して、あまりたくさん働けない、あまりたくさんの日数働けないという人は、通えなくなってしまいます。事業所から、「ちょっとしか働かなくて工賃が低くなってしまう人が来ると、事業所の報酬が下がるから困る」と思われるからです。現状では、中には短い日数しか通えなくてもこの人にとって必要なのだから、と受け入れをしている事業所もあります。(特に、精神障害で状態が不安定だと休みがちになることもあるので、そういう状態にある人を受け入れるかどうかは、個々の事業所の決断というところが大きいです。)

私は社会福祉士としては、制度がどうあれ当事者が必要としているサービスを提供するのは福祉専門職の責任だと思っていますが、一方で議員としては、制度の不備を個々の事業所の努力で補ってもらってそれで良しとすることは、制度を作る側(議員や行政)としてあってはいけないと思っています。

 

行政としては、B型でも受け入れられていない、生活介護も見つけられないという状態にある障害のある人が働ける場、活躍できる場を、今こそ真剣に考えていかなければなりません。

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【2019年9月20日 保健福祉費の質疑にて】

(かとうぎ桜子)

福祉園維持運営費に関連して伺います。

区立福祉園の定員と在籍者数の資料をいただきました。定員がかなりいっぱいになっていると思います。福祉園の今後の体制について、どのように考えているかをお聞きします。

 

(障害者施策推進課長)

区では、旧高野台運動場用地を活用いたしまして、令和4年度を目途に民設民営方式により福祉園を整備することとしています。この整備によりまして、定員増が図られることから、当面の需要は満たせるものと考えているところでございます。

 

(かとうぎ桜子)

生活介護の課題ということをお話ししたかったのですけれども、時間がないのでまたの機会にお話しします。

 

【2019年9月27日 全款補充質疑にて】

(かとうぎ桜子)

保健福祉費の際に、「区立福祉園の定員に対して、在籍者数がかなりいっぱいになりつつあるのではないか」という質問をしました。

現状を見ると、将来的に福祉園を利用したいと考えている人や、ご家族にとって不安なお気持ちにもなるのではないかと思い、質問したのですけれども。

それに対して、「2020年度を目途にして、高野台運動場の跡地に新たな福祉園を開設することによって定員増を図れるので、当面は大丈夫だ」という答弁がありまして、そこで質問の時間切れになってしまいましたので、今日はその続きで生活介護の課題という点でお話ししたいと思います。

区立の福祉園は、現在の障害者制度の中では、「生活介護」という事業に分類されますが、知的障害のある人が対象になっていますので、生活介護を利用したいというニーズをもっている知的障害以外の障害のある人は利用できないと思います。

一方で、就労継続支援B型で、工賃アップということがかなり言われていますので、B型を利用しようと思うと、週何日以上は通ってほしいとか、休まず来てほしいと言われる場合もあるようにお聞きしますし、障害が重くて、B型では、通うのは難しいかとお感じになる方の生活介護のニーズも大きくなっていると感じるところがあります。ただ、福祉園だと、特別支援学校を卒業後の知的障害のある人の受け入れということだけでも、定員を拡大するといっても、また目いっぱいな状態もあると思います。

 

検索しましたら、区立福祉園以外の生活介護事業所が8事業所あるのですけども、知的障害、身体障害が半々、事業所受け入れとなっています。精神障害については、WAMNETで検索したのですけれども、それを見る限りでは対象にしている事業所がないようです。

 

今後、新たなニーズを踏まえて、生活介護が必要な人の選択肢を増やす方法を検討していかなければいけないのではないかと考えます。民間で生活介護事業を立ち上げる際には、物理的なスペースの確保、特に初期段階での人員確保など課題も多く、簡単にはいけないという事情もあると思いますので、区として幅広い障害種別の生活介護に対するニーズ把握と、支援方法の検討を進めていただきたいと思いますが、考えをお聞きします。

 

(障害者施策推進課長)

今、生活介護などをご希望されるさまざまな障害の方がいらっしゃるのではないかと、そういったニーズを把握しろというご意見だったと思います。それに関しましては、今年度、障害者基礎調査を行いまして、障害者計画の策定に向けまして取り組む状況でございます。基礎調査の中で、さまざまなニーズを伺いまして、全体的に検討してまいりたいと考えています。

 

(かとうぎ桜子)

ぜひ、障害ある当事者の方が、今、どんな活動をして過ごされているかという、当事者のご意見や支援している現場の方の声を聞きながら、ぜひ、いい方向に進めていっていただければと思います。