9月28日、9月29日の決算特別委員会の「全款補充質疑」は、それまでの質疑を補充することのできる日です。

 

質問した順番としてはちょっと順不同になりますが、9月20日の区民費・国保会計に関する部分と、それを補充した9月29日の補充質疑のことを報告します。

今回は少し長くなりますが、いっぺんに書かないと分かりづらいのでご了承ください。

 

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(2017年9月20日 決算特別委員会にて)

〈かとうぎ桜子〉 

国民健康保険事業会計の、出産育児一時金について、伺います。

出産育児一時金は、出産の際に42万円の支給がされるということで、手続を取って医療機関に支払われるか、あるいはご本人の口座に支払われるというしくみです。

まず、妊娠が判明した後、具体的にどのような手続を取れば、出産育児一時金の支給の手続が完了した状態になるのかという基本的な仕組みをご説明いただけますか。

 

〈国保年金課長〉 

制度としては二つございます。

「直接支払制度」というものは、事前に受診のとき、医療機関に保険証を提示して、直接支払制度の利用の手続を行うことによって、出産費用から42万円を引いた額で済ますことができます。

もう一つの「受け取り代理制度」についてですが、これは医療機関で証明をもらった申請書を国保へ提出することによって、窓口の支払いを42万円引いた額で済ますことができるといったものです。

 

〈かとうぎ桜子〉 

医療機関に直接払う場合も、二つのしくみがあるということでした。

出産育児一時金は、妊娠85日以上で死産、流産であった場合でも支給されるということです。

出産の場合と死産、流産で支給を受ける場合とでは、手続として異なる部分があるように聞いたのです。その点をご説明いただけますか。

 

〈国保年金課長〉 

死産、流産の場合です。

今ご説明しました直接支払制度、受取支払制度、どちらかご利用いただきまして、医療機関から請求がございます。差額が発生しない場合には、特にそれ以上、手続はございません。差額がある場合には、その差額を区へ申請いただいて、受け取り代理性の場合には、自動的に口座へ振り込みをするといった手続になります。

 

〈かとうぎ桜子〉

出産の場合と比べると、死産、流産だと、かかる費用が少なかった場合、42万円より低ければ、その差額分を受け取れるのだけれども、それには手続が必要だということです。

ただ、受け取り代理制度の場合だと、手続を最初にする段階で、本人の口座も書くので、改めて死産、流産だからといって、何かの手続をする必要はないということです。

流産、死産を経験し、心身がつらい状態の中で、手続をしなければならないということは、改めて、そのプロセスで死と向き合わなければいけないということで、ご本人にとって負担になる部分もあると思います。

確認したいのは、受け取り代理制度の場合のように、直接支払制度であっても、口座に振り込むことにできないのか。改めての手続を取らないという方法は難しいものなのかどうか。その辺のしくみをお聞かせください。

 

〈国保年金課長〉 

42万円までいかない場合につきましては、後から、区から振り込むことができます。

 

〈かとうぎ桜子〉

直接支払だった場合は、ご本人は何もしないという方法は取れないわけですよね。

 

〈国保年金課長〉 

ただし、区に口座の申請をしていただく必要がございますので、それは窓口においでいただいてもいいですし、郵送でやらせていただいても、どちらでも大丈夫です。

 

〈かとうぎ桜子委員〉

区民の方から、手続で区役所に行かれて、改めて死産に関する診断書などの書類を出さなければいけないのがつらくて、対応も事務的だったのでつらかったというお話を伺いました。

そういうつらいときに、区の職員の方が、どのように対応したら一番いいのかは、なかなか難しい部分もあると思います。

例えば手続の書類、事務的に必要な書類をお渡しするのに合わせて、例えば保健相談所のメンタルケアのできる場所のわかるご案内をするとか、何かしら、ご本人に対するケアについての工夫ということも考えるべきではないかと思いますので、これは今後の検討課題としていただければと思います。

 

関連するものでもあるのですけれども、区民費の戸籍事務費について、伺いたいと思います。

死亡届を出された方に対して、手続の一覧がわかるものを渡しているということなのですけれども、これは税とか年金とか、死亡に関係する手続が必要なものの一覧です。

これをお渡しする際には、メンタルケアなど、ご遺族のケアに関する情報などは、お渡ししているのでしょうか。

 

〈戸籍住民課長〉 

例えば保健相談所でお配りしているリーフレットのようなものは、私ども戸籍住民課の戸籍の窓口では、お渡ししていません。

私どもといたしましては、今後、区政改革計画に掲げている発行物をより区民に役立つものにするという取り組みの一つの形といたしまして、現在、戸籍住民課でお渡ししている手続一覧表に健康部とか、福祉部の相談窓口に関するご案内を加えて、充実することを考えています。

 

(2017年9月28日)

〈かとうぎ桜子〉

先日、区民費や国民健康保険についての質疑の日に、死産、流産の場合の出産育児一時金のことを質問しました。この手続の部分がわかりづらいので、改めて補足的に質問をしたいと思います。

 

出産された本人が、その費用と一時金の差額分だけを支払えば済むようにする方法として、医療機関への直接支払制度と受け取り代理制度の二つの方法があるということでした。大多数の医療機関が直接支払制度の方法をとっているそうです。

もし、死産、流産によって一時金に残額が生じる場合は、ご本人に残額分は支給されるのですが、直接支払制度の場合は、診断書などの提出が必要になるので、それがご本人にとってつらかったという話をさせていただきました。

制度上、直接支払い制度が国民健康保険団体連合会を通すこともあって、制度そのものの課題とも言えると思いますけれども、一定期間を経て、医療機関から区への連絡があれば、手続上、診断書は不要になるという対応は区としてされているということなので、その点を少し詳しくご説明いただけますか。

 

〈国保年金課長〉

区では出産費用が42万円未満で差額支給の申請を済ませていない方に医療機関からの情報が区に届いた時点で勧奨通知を送付しています。勧奨後であれば、お支払いに必要な情報の確認が可能になるため、診断書は必要としないで手続を進めています。勧奨前に申請される場合には、お支払いに必要な情報の確認ができていないため診断書が必要になります。

 

〈かとうぎ桜子〉

そういった対応をされていることを「国保のしおり」であるとか、ホームページでわかりやすく周知するという工夫もしていただけると、当事者の方にとってもっと負担軽減につながるのではないかと思いますので、ぜひ工夫していただけたらと思います。

ただ一方で、国民健康保険の広域化によって、このしくみそのものも国民健康保険制度の区民への周知の仕方も影響を受ける部分もあると思われます。その点はどう捉えていらっしゃるのか。

また、広域化の議論の中でも流産、死産における対応方法に課題があることをぜひ区としても取り上げていただきたいと思います。現状と今後に向けてということでご答弁いただければと思います。

 

〈国保年金課長〉

事務処理の基準については、広域化に伴い、可能な限り統一的な取り扱いをする方向性になっています。

今、自治体によってはさまざまな対応もされているところですが、区としては被保険者へのサービスの観点から、必要な検討を行い、丁寧な対応を図ってまいりたいと思っております。

 

〈かとうぎ桜子〉

利用される方にとって、よりよい方向に行くように話し合いをしていただければと思います。

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遺族支援については、一般質問で自殺対策について聞いた際にも取り上げました。(こちら

その際に、「港区では、死亡届の窓口で遺族の方向けの冊子を配っているので、練馬区も同様の工夫をしては」と言ったところ、「練馬区も案内は配っている」という答弁がありました。

その後、さらに調べたところ、港区の冊子は28ページ立てで詳しく分かりやすいものであり遺族のケアにもページを割いているのに対し、練馬区の配布物はA4の1枚だけのものであることが分かりました。必要最低限の電話番号等の一覧ですが、もう少し分かりやすいものにすることと、特に遺族ケアについては充実させるべきであると考えています。

遺族のケアの観点からの取り組みをすることは、今回取り上げたように、自殺対策のみならず様々な事情を抱えていらっしゃる人のケアにつながると思います。