前回のブログに引き続いて、自殺対策について質問した内容と答弁をご紹介します。

 

今回ご紹介する内容の要旨は以下。

①足立区の「つなぐシート」の取り組みを練馬区でも取り入れるべきではないか。

②生活困窮者自立支援の担当との部署間連携はどのように進めていくか。

③生活困窮者支援に従事する者に対する自殺対策の観点の研修はどのように行うか。

④自殺対策の観点で行なった支援活動のケース検討をし、今後の体制に活かす必要があるが、どのように進めるか。

⑤介護従事者に対する自殺対策の研修の実施状況は

⑥「支援者の支援」はどのように取り組むか。

⑦ゲートキーパー養成講座のこれまでの実施状況の説明を。

⑧ゲートキーパー養成講座を今後どのように充実させていくか。

 

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(かとうぎ桜子)

次に、役所内での自殺対策の観点からの取り組みについて伺います。

 

自殺実態解析プロジェクトチームがご遺族の聞き取りをして実施し、2008年にまとめた自殺の実態調査によれば、自殺に至ってしまった人は平均4つの死に至る要因を抱えているといいます。また、7割の人が自殺に至る前に医療機関をはじめ何らかの相談窓口につながっているものの解決が見えずに死に至ってしまっているようです。

 

例えば親の介護のために仕事を辞めて介護に専念していた人が、生活困窮や自身の体調不良に陥ってしまった場合、親の介護のことを相談する地域包括支援センターなどに行くだけではすべての問題は解決できないため、税金の滞納相談や健康保険のこと、生活保護の相談など、複数の窓口に行かなければなりません。

生活で疲弊した状態の人にとって、複数の窓口に行き、すべての窓口で一から相談しなければならないのは大変なことです。

 

足立区では「つなぐシート」というものを作り、相談者本人の承諾を得られれば1枚のシートにその人が困っているすべてを記載して、次の窓口に行ったときにそれを見せればスムーズに対応ができるようにするという取り組みをしています。

そうすることによってご本人がすべての窓口で一から事情を説明する必要もなくなるし、窓口で担当する職員にとってもその人が何に困っているのかを迅速に理解して必要な支援につなげることができます。

こうした対応は、私が以前質問した犯罪被害者支援にも役立ちますし、生活困窮者支援という点でも有効な方法であると考えます。練馬区でも同様な取り組みをすべきではないかと考えますが、区の考えをお聞きします。

 

生活困窮者支援に関しては、昨年7月に厚生労働省から「生活困窮者自立支援制度と自殺対策との連携について」という通知が出されています。そこで言われている一つとして、自殺対策の担当と生活困窮者支援の担当との部署間連携が必要であるということがありますが、区はその点をどのように考えて進めていくかお聞きします。

 

また、生活困窮者支援を行なう従事者が、相談者のSOSを見逃さないためにゲートキーパー養成講座など、自殺対策の視点を持つために研鑽をつむ必要がありますが、どのように取り組んでいくのかをお聞きします。

 

また、区として自殺対策の観点から行った支援活動についてケース検討を行ない、支援体制の充実を図っていく必要があると考えますが、区の考えをお聞きします。

 

介護の相談を受ける専門職が介護に関わる相談対応をするだけではなく、要介護者とその家族からのSOSを見逃さないための研修も必要です。介護人材・育成研修センターで自殺対策の観点からの研修を実施するなどの取り組みはどのように行なっているかお聞きします。

 

自殺対策の観点での支援にあたる従事者にとって、ときに自殺を防ぐことができなかったという問題に直面する場合もありますので、支援する側の支援も考えていく必要があります。「支援者の支援」についてはどのように取り組んでいくのかをお聞きします。

 

今まで自殺対策についての質問をすると、練馬区が行なっている自殺対策は自殺対策強化月間・自殺予防週間における啓発、保健相談所の保健師による心の健康相談、ゲートキーパー養成講座であるという答弁がありました。

そこで、次に、今まで練馬区が取り組んできた、ゲートキーパー養成講座の実施の状況と今後について伺います。

 

身近な友人知人からのSOSを受け止め、必要な専門機関につなぐための基本的なスキルを学ぶ、ゲートキーパー養成講座は多くの自治体で取り組まれていますが、練馬区でも2007年から実施しています。区の職員や民生委員が受講するほか、区民を対象にして行なわれていますが、これまでの実施の状況をまずご説明ください。

また、昨年度は区立学校の保健担当を対象にしていますが、ゲートキーパー養成講座を今後どのように充実させていくか、考えを伺います。

 

(健康部長)

自殺の要因については、自殺を図る方の多くが複合的な悩みを抱えて心理的に追い込まれた結果、うつ状態になり、正常な判断ができなくなっていることが明らかになっています。

保健相談所や福祉事務所、生活サポートセンター、地域包括支援センターなど各相談窓口では、これまでも、ご本人の同意を得て、個々の状況に応じて職員が関係機関に同行するなど連携して支援しています。

他区の事例も参考にしながら、困難を抱えている方に寄り添って一層円滑に支援が進むよう取り組んでまいります。

 

生活困窮者支援については、すでに平成26年度から福祉・保健をはじめ、税務、産業、教育など庁内の幅広い関係部署が参加する自立支援事業の推進組織を設置し、連携を図っています。

また、生活困窮者支援の担当者は、国や都が実施する支援者養成研修に参加し、自殺対策を含め、相談者の状況に応じた適切な支援が行なえるよう取り組んでいます。

 

自殺対策に限らず、相談や支援に携わる部署では、必要に応じて関係機関が一堂に会して事例検討を行ない、次の支援活動に役立てています。

特に困難な事例については、精神科医をスーパーバイザーとして招くなどして支援の充実を図っています。

 

練馬介護人材育成・研修センターでは、高齢者本人の不安感や家族の負担感が大きい認知症について適切に支援するための研修の中で、うつ病への対応も取り上げているほか、介護家族の声から学ぶ研修などを実施しています。

 

支援を行なう職員については、自身のメンタルヘルスについても学べる研修への参加を促すとともに、担当者が1人で困難な事例を抱え込むことなく、組織全体で対応する体制をとっています。

 

次に、ゲートキーパーの養成講座についてです。

平成19年度から開始し、区民・職員などを対象に28回開催しました。

28年度までに区民や医療福祉関係者など1862人、職員316人が参加しています。

 

職員対象の養成講座については、これまで保険・福祉分野を中心に実施してきました。

今後は、区民に接する窓口の職員など、より多くの職員が受講できるよう拡大してまいります。