記号図派? 文章パターン派? | 佐倉編物研究所 公式ブログ

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編物をあらゆる角度から研究し、広く普及することを目指します。
所長は手あみ師範のアラフォー男性です。

所長の伊藤直孝です。

 

 

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編み物の編み方の説明のしかたには、いろいろな形式があります。

大きく分けるとしたら、記号図による編み図と、文章による説明(文章パターン)でしょうか?

 

記号図は、JIS(日本産業規格)によって編み目一つ一つに定められた編み目記号(JIS記号)によって図示されたものです。

たとえば、以下のようなものです(棒針編みの例です)。

この編み目記号の基礎は日本で作られたと言われています。

明治生まれの江藤春代さんが、編み物の指導に邁進する過程で、昭和の初め頃に今の記号図の元となったものを考案して普及するようになったそうです。

そういうこともあって、日本の編み物教育は編み目記号を用いた記号図によるものが伝統的で、今もその流れが続いています。

 

一方で、記号図によらない編み方説明の仕方もあります。

その筆頭は、文章パターンです。

たとえば、先に示した記号図を、文章で表現すると以下のようになります。

(4模様作った場合)

 

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1段め 作り目を35目作る

2段め すべての目を裏目で編む(以降、偶数段はすべて裏目で編む)

3段め 表目2、[かけ目、右上2目一度、表目3、左上2目一度、かけ目、表目1]を4回繰り返す、表目1

5段め 表目2、[表目1、かけ目、右上2目一度、表目1、左上2目一度、かけ目、表目2]を4回繰り返す、表目1

7段め すべての目を表目で編む

9段め 5段めと同じ

11段め 3段めと同じ

13段め 7段めと同じ

15段め以降 3~14段めを繰り返す

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これは日本語で書きましたが、もともと文章パターンというのは海外の編み方説明でもっぱら取られてきた形式です。

ですから、おそらくもっと目にするのは、以下のような英文パターンではないでしょうか(先の日本語パターンを英語にしたものです。いろいろ間違ってると思いますが)。

 

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Row 1(RS):  CO 35 sts.

Row 2(WS):  Purl to end of row. 

(Every WS rows: Purl to end of row.)

Row 3:  k2, *yo, ssk, k3, k2tog, yo, k1*, rep from * to * three times, k1.

Row 5:  k2, *k1, yo, ssk, k1, k2tog, yo, k2*, rep from * to * three times, k1.

Row 7:  Knit.

Row 9:  Rep Row 5.

Row 11:  Rep Row 3.

Row 13:  Rep Row 7.

Rep Rows 3-14 x times.

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この英文パターンを見てわかるように、結構略号が使われています。

たとえば、kはknit、つまり表目で編むことの略号、COはCast on、つまり作り目のこと。

そんな感じで、外国では編み方説明をなるべく簡潔に文章で書き表していました。

 

かつて、インターネットなどもなかったころは、日本に外国の編み物(英文パターン)がそのまま入ってくるのはまれで、長らく記号図による編み方説明(編み図)が日本の編み物のスタンダードでした。

それが、昨今はインターネット、SNSなどが発達し、また洋書が容易に入手できるようになったため、外国の編み物の文章によるパターン(英文パターン)も多く日本に入ってくるようになりました。

以前より編み物をしている人の多くは、記号図による編み図に慣れているため、文章パターンはわかりにくと思う人が大半だったと推測されます。

それが、初めて編み物に触れるのが英文パターンからという人が徐々に増えてきて、むしろ記号図ではわかりにくく英文パターンでないと、という人も多くなってきました。

 

あくまで個人的な話を言うと、私は記号図による編み物どっぷりなので、やはり記号図がわかりやすいです。

それでも、仕事で英文パターンを記号図による編み図に翻訳したり、講習で英文パターンの作品に取り組む生徒さんがいたりするので、英文パターンとは無縁ではいられなくなりました。

 

そうですねぇ、ここで文系理系を引き合いに出すのは適切かどうかわかりませんが、記号図がわかりやすい人は、視覚的に編み物を理解する回路が発達していて、どちらかというと理系寄り、文章パターンがわかりやすい人は、言葉から編み物につなげる回路が発達していて、どちらかというと文系寄り、なんていうことができるでしょうか、どうでしょうか。

私は理系出身で、編み物を形で(幾何学的に)理解するほうが容易なので、記号図のほうが慣れ親しんでいます。

 

記号図による編み図、文章パターンの両方にも対応できるといいのですが、私もそうですがどうしてもどちらかでないとなかなか理解しづらい、という人が大半だと思います。

そうなると、編み図や本、キットなどを提供する側は、記号図による編み図と文章パターンの両方を用意しないと、広くユーザーに親切とはいえなくなってしまうかも?

ただ、編み図を作るだけでも相当骨が折れるのに、両方用意するとなると、かなりの労力がかかることになります。

うーん、その分コストがかかるため、もし両方求められるとなると単価が上がるかなぁ。

すでに、あるサービスでは両方の編み図・パターンが用意されているものもあるので、今後それがスタンダードになるかどうか。

 

編み図vs.文章パターンだけではありません。

たとえば、編み方を視覚的に説明するには、かつてはイラスト(カット図)が標準でしたが、いつしか写真が多用されるようになり、今は動画による説明が多くなってきました。

ただ、これも、慣れ親しんだものによってイラストが一番わかりやすいという人もいれば(私もです)、動画でないとわからないという人もいます。

さらには、動画の視聴方法についても、付録にDVDを付けてもDVD再生機器がないからスマホでQRコードを読んで動画に飛ぶようにしてくれという要望があったり。

もっと細かいところでは、アメリカ式で編んでいる人はフランス式で編んでいる動画ではわからない(特にかけ目が関わる操作はわかりにくい)など、編み方によるギャップの問題もあるようです。

右利きと左利きというのもあります。

かつては、左利きの人は編み物だけは強制的に右利きに直されてしまったようですが、今は左利きの人は左利きのまま編むということが普通に見られます(右利きといくつかの点で出来上がりに差異が出ますが)。

 

編み物のしかたの多様化。

さまざま多様性が叫ばれている昨今の趨勢と呼応するようですが、サービスする側がそれにフォローできているかというと、まだまだ課題があるようです。

いろいろな形式に対応できる人材が求められるわけですが、一朝一夕に身に付くものではないから、なかなか大変でしょうね。

そのあたり、当面いろいろありそうな気がします。

 

 

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1) 銀座の編物教室(金曜日月2回、日曜日月2回)

銀座の会議室を借りて講習をします(最寄り駅:銀座一丁目駅、京橋駅、宝町駅、銀座駅など)。

この記事をアップした時点での残席状況

6月9日(日)(午前満席、午後1)

6月14日(金)(午前満席、午後満席)

6月23日(日)(午前満席、午後1)

6月28日(金)(午前2、午後1)

7月7日(日)(午前満席、午後1)

7月12日(金)(午前満席、午後3

7月21日(日)(午前1、午後1)

7月26日(金)(午前3午後2

 

金曜日は午前の部10:15~12:45、午後の部14:00~16:30

日曜日は午前の部10:00~12:30、午後の部13:30~16:00

詳しくはこちら


2) 東京都区内の編物教室(月2回程度)

この記事をアップした時点での残席状況↓

6月8日(土)東新宿教室(午前1、午後満席)

6月22日(土)東新宿教室(午前1、午後3

7月6日(土)東新宿教室(午前1、午後5

7月20日(土)東新宿教室(午前3午後4

午前の部10:00~12:30、午後の部13:30~16:00

基本事項は銀座教室と同様です。

※)東新宿会場は靴を脱いでスリッパで入室していただきます。

※)16時完全退室厳守のため、午後は可能ならば少し早めにお越しください。

※)東新宿会場へは必ず東新宿駅A3出口のエレベーターからアクセスしてください。ここからなら横断歩道も交差点も渡らずに済みます。これ以外の出口から出ると道に迷いやすいです。

 

3) 佐倉の編物教室(月2回程度)

地元・佐倉の貸しラウンジで編物教室を開講します。

「さくら住建」のSAKULOUNGEまたは別館リビングで行います(最寄り駅:京成本線志津駅)。

この記事をアップした時点での残席状況↓

6月19日(水)ラウンジ午前2、午後1)

7月3日(水)ラウンジ(午前満席、午後2

7月17日(水)ラウンジ(午前1、午後満席)

午前の部10:30~13:00、午後の部14:00~16:30

※)別館2階リビングは靴を脱いでスリッパで入室していただきます。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。