所長の伊藤直孝です。
◎お知らせ
・記事末尾の講習案内に残席数を表示するようにしました。特に狙い目の枠をピンク色で示してありますので、ぜひご受講ください。
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「講習シートについて」、「ご協力ください」、「スケジュールについて」
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「つぎこれ編みたいんですけど」
教室で、生徒さんが持ってきた棒針編みのトップダウンプルオーバーのキット。
「わかりました。では、ちょっと編み図を…
なになに、『ジャーマンツイステッドキャストオン』で編み始め…」
えっ? じゃーまんついすてっどきゃすとおん?
キャストオン(Cast On)というのは作り目のことですから、何らかの作り目をして編み始めることはわかるのですが、ジャーマンツイステッドキャストオン(German Twisted Cast On)って何だっけ?
編み図にはそれ以上の説明は書かれていません。
日本の編み物では、作り目と言われて真っ先に思いつくのが、おそらく「指でかける作り目」とか「一般的な作り目」などと言われるものだと思われます。
棒針を2本そろえて持って(2本だとゆるくなるから1本、あるいは少し太い1本を使うなどする場合があります)、親指の糸の輪を下からすくって人さし指の手前の糸を上からかけて親指の輪から抜く、アレです。
これは、英語では「ロングテールキャストオン」(Long-tail Cast On)と言うそうですが、日本ではよほど英文パターンなどに親しみがある編み手とかでない限り、ロングテールキャストオンと言われてもピンとこないでしょう。
それでも、最近の編み図、特に比較的小さな会社やお店、個人でリリースされているキットや本などの編み図では、特に説明もなしにあまり聞き慣れなかった作り目や止めの言葉を目にするようになってきています。
親切なところが出している編み図であれば、文章や写真の説明が載っているのですが、今回のように当たり前のように説明なしに書かれてしまうことがあります。
このようなことを、日本の大手手芸出版社や大手毛糸メーカーが出す編み図でやったとしたら、おそらく問い合わせやクレームが多く寄せられるでしょう。
「ジャーマンツイステッドキャストオンって何ですか?」「何を見ればやり方が載っていますか?」「こんな知らない方法を書かれてもわからないじゃないの!」
大手から出されている編み図は比較的丁寧で、基礎本に載っていないレベルの技法についてはたいていは補足説明があって、わざわざどこかで調べたり聞いたりしなくてもおおむね編み図だけで編めるようになっているのが多いです。
今でこそネットですぐ調べることができますが、そういった調べ方に慣れていない方も中にはいらっしゃいます。
だから、先の生徒さんも私に尋ねたかったのでしょう。
で、早速スマホでネット検索すると、すぐにいくつものYouTube動画による解説が出てきました。
いい勉強だからと、ほかの生徒さんと一緒に見てみると、なんだこれ、結構難しいな。
「あーこれ、たぶん去年出た作り目のハンドブックに載ってますよ。今度持ってきますので、気に入ったら本買ってください」「そうね、別に急ぎませんから」
そう、昨年10月に出版された西村知子さんの「棒針編みの作り目&止めハンドブック」(小学館)には、ありとあらゆる作り目や止めが写真つきで詳しくそして簡潔に掲載されています。
特徴的なのが、それぞれの技法に難易度や装飾性、丈夫さ、伸縮性などの程度を表すグラフが載っていることです。
だから、作り目や止めにどういう特徴を持たせたいかによって、どの技法を用いるかを探しやすくなっています。
えーと、ジャーマンツイステッドキャストオン…あった、あった。
あぁ、なんだ、これは日本で言う「ガーターの作り目」のことでしたか。
とは言っても、「ガーターの作り目」自体が日本ではあまりメジャーでありません。
そうなると、やっぱり編み図に何らかの説明が欲しいところだなぁ。
ちなみに、ジャーマンツイステッドキャストオンは指でかける作り目(一般的な作り目、ロングテールキャストオン)に比べて伸縮性があるため、トップダウンのプルオーバーであればちょうどネックの部分の縁になるので好適。
なるほど、ちゃんと意味があるわけですね。
今回の経験で、「なんだ、ちゃんと書いてくれないとわからないじゃないの!」と憤るか、「これを機にいろんな作り目について学んでみよう」と前向きに捉えるか。
まぁ、理想は後者ですよね。
今後も、海外の編み物技法がどんどん日本にも入ってくるでしょうから、これからも何の補足説明なく聞き慣れない技法が突然出現することがあるかもしれません。
もちろん、ネット検索など調べる術がある人はその都度調べて学べばいいですが、そうでない人は本など何らかの資料を集めて学んでいくしかないですね。
作り目とか止めとかは、原則としてひと作品では編み始め・編み終わりの数度しか出てこないので、忘れちゃうんですよね。
だから、いちいち覚えるのは理想ですが、がんばって覚える必要もなく、忘れても正しい手順を参照できればいいんじゃないでしょうか。
ただ、このジャーマンツイステッドキャストオン、なかなか難しいですぞ。
まず操作を正しく解析するところから始め、そしてちょうどよい加減できれいに作れるように練習が必要そう。
もしダメでも、伸縮性が必要ならゴム編みの作り目にしてもいいし(「イタリアンテュービュラーキャストオン」(Italian Tubular Cast On)という名前があります)、別鎖で初めてあとで衿の縁編みを編んでゴム編み止めなどの伸縮性のある止めをしてもよいし、好きにしてくださいませ。
改めて、編み物はいろいろな技法がありますね。
まだまだ知らない(慣れない)技法が世の中にはいっぱい。
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1) 銀座の編物教室(金曜日月2回、日曜日月2回)
銀座の会議室を借りて講習をします(最寄り駅:銀座一丁目駅、京橋駅、宝町駅、銀座駅など)。
この記事をアップした時点での残席状況
5月12日(日)(午前2、午後1)
5月17日(金)(午前満席、午後2)
5月26日(日)(午前1、午後満席)
5月31日(金)(午前満席、午後1)
6月9日(日)(午前1、午後満席)
6月14日(金)(午前満席、午後3)
6月23日(日)(午前1、午後満席)
6月28日(金)(午前3、午後3)
金曜日は午前の部10:15~12:45、午後の部14:00~16:30
日曜日は午前の部10:00~12:30、午後の部13:30~16:00
詳しくはこちら
2) 東京都区内の編物教室(月2回程度)
この記事をアップした時点での残席状況↓
5月11日(土)東新宿教室(午前満席、午後満席)
5月25日(土)東新宿教室(午前満席、午後3)
6月8日(土)東新宿教室(午前3、午後5)
6月22日(土)東新宿教室(午前2、午後5)
午前の部10:00~12:30、午後の部13:30~16:00
基本事項は銀座教室と同様です。
※)東新宿会場は靴を脱いでスリッパで入室していただきます。
※)16時完全退室厳守のため、午後は可能ならば少し早めにお越しください。
※)東新宿会場へは必ず東新宿駅A3出口のエレベーターからアクセスしてください。ここからなら横断歩道も交差点も渡らずに済みます。これ以外の出口から出ると道に迷いやすいです。
3) 佐倉の編物教室(月2回程度)
地元・佐倉の貸しラウンジで編物教室を開講します。
「さくら住建」のSAKULOUNGEまたは別館リビングで行います(最寄り駅:京成本線志津駅)。
この記事をアップした時点での残席状況↓
5月22日(水)ラウンジ(午前1、午後1)
6月5日(水)ラウンジ(午前満席、午後満席)
6月19日(水)ラウンジ(午前満席、午後満席)
午前の部10:30~13:00、午後の部14:00~16:30
※)別館2階リビングは靴を脱いでスリッパで入室していただきます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。