所長の伊藤です。
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昨日は「ターゲットを明確にする」という話でしたが、そのためには、自分の仕事の強み・オリジナリティーがわかっていることが大事である、というようなことも書きました。
そこで、先日の記事にも書きました、昨年8月3日に亡くなったニットデザイナー會津友人さんが遺してくれた文章が思い出されました。
それは、「これからのこと」ということで、「今編み物業界で頑張る人にアドバイス」というタイトルで書かれたものです。
以下に引用します。
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手編みの業界とアパレルのニットデザイナーとは一線を画していますし、アパレルニットデザイナーで手編みをしようとする人は少ないと思います。
ギャラの問題もあるけど、一発でやらなきゃいけないとかね、制約が多いというか、ファッションから遠ざかっているものも多いし。
趣味でやるのは良いけれど、手編みで食っていこうと思うと大変でしょうね。
でも、もしそれでもやるなら器用貧乏にならないようにして欲しい。
今は何でもできる人が求められるけど、「これしかできません」「これなら得意です」って一個芯を持っているほうが長く続けて行けるんじゃないかなって思います。
器用貧乏だとあれもこれもやらされて、使い捨てされてしまったら、かわいそうです。
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あのね、今思うと、會津さんが私に最も伝えたかったことってこれだったんじゃないかなと思うのです。
アパレルニットデザイナーと手編みのデザイナーを両方とも経験した人だからこそ抱く想い。
私が會津さんと出会った頃は、私は毛糸会社の社員として働いていました。
その頃、会社の意向としては、私を管理職にしたかったようで、入社当時は企画の専門職としてデザインや講師をしていましたが、途中1年間営業職になったり、総合職のような立場になったり、いろいろな業務をしていました。
当時は、とにかく業界でいろいろな仕事を覚えるために、必死になって取り組んでいましたが、度が過ぎてしまうと、そう言われると「器用貧乏」という状態になる可能性もあったのかもしれない…(まぁ、会社に属している限りは、給料もちゃんと出るし、捨てられるということもあまりないのですが)
結局、私は「やっぱりなるべく制作の現場にいたいんです」と希望を伝え、会社の期待には沿えなかったんですけどね。
ただ、さまざまな業務に携わった経験は、のちのちいろいろと役に立つことにはなりました。
ここで、「ジェネラリスト」と「スペシャリスト」という言葉があります。
「ジェネラリスト」とは、広い知識や経験をもって全体を見まわし、統括する人で、「広く浅く」活躍するタイプ。
「スペシャリスト」とは、特定分野に深い知識や技能を持ち、一点集中で勝負する人で、「狭く深く」活躍するタイプ。
よく、組織ではジェネラリストとスペシャリストの連携がうまくいくと、業務もうまくいくなんて言われています。
私が前の毛糸会社で上から望まれたのは、ジェネラリストになることだったんだと思うのですが、残念ながら私はスペシャリスト向き。
そして、會津さんが思っていたのは、技術を持っているのであればスペシャリスト(しかもかなり限定した範囲の)になったほうがよい、ということだったんだと思います。
一方で、私はまだこの業界でお金を稼ぐようになってからたった10年ちょっとのヒヨッコ。
何事も経験してみないとわからない、ということで、当初は仕事はなるべく断らずにいろいろやっていました。
それが、ここ数年になって、だんだん自分の得意分野、強みがわかってきて、それに伴って受ける仕事を限定することが出てきました。
つまり、やれるかもしれないけれど自分がよいパフォーマンスをできそうになければ、仕事をお断りすることも出てきました。
幸いなことに、懇意にしてくれている取引先の多くは、私の得意なこと、強みを十分理解してくれていて、それを目当てに仕事を発注してくれています。
そのあたり、もしかしたら、先の會津さんの「器用貧乏にならないように」というアドバイスが頭の隅にあるからなのかもしれません。
でもわからないですけれどね。
これからの時代、編物(手編み)もいろいろなスタイルでなされるようになり、確かにいろいろなことができることが要求されたり、重宝がられたりするでしょう。
そのあたり、立場的にも(報酬の面でも)、いかに自分が主体でいられるか、なんでしょうね。
「器用」でも「貧乏」でないのが理想の形のひとつなのかもしれない。「器用裕福」?
私自身、頑固一徹の職人志望でありながら、いろんなこともやってみたいという欲もあったりします。
そうだなぁ、手編みの世界では、いまの時代における成功例のビジネスモデルというのがあまりないんですよね。
かつての「編物御殿」が建ったような時代とはまるっきり変わってしまっています。
ただ、私がしたいのは、手編みでもちゃんと飯を食っていけるという例に自分がなることによって、同じような志を持つ人を増やして、手編みの世界をもっと盛り上げたい、ということなのです。
いろいろな人に、「やめたほうがいいよ」「無理に決まってる」などと言われてきましたけれど、そこを覆したいと思っています。
ふふふ、ちょっとしたギャンブラーみたいなもんです。
人生を賭けています(笑)
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定員は当面の間6名から4名に変更します。
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9月は3日(金)(午前午後とも満席です)、17日(金)(午前午後とも満席です)です。
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