所長の伊藤です。
Twitterから流れてきたとあるブログを読んで、なるほどと思いました。
それは、時間の森工房 いいづかゆきさんのブログの記事。
いいづかさんは、アパレルに24年身を置いて、現在は関東で編物教室をなさっている講師・デザイナー。
このブログの中で、ファッションとしての編物と手芸としての編物の間の乖離に驚いた、と書いていらっしゃいます。
どういうことかというと、ファッションとしての編物は、基本的に着るために編むので、万人受けするためにどちらかというとシンプルなデザイン・仕上がりになります(もちろんそうでない場合もありますが)。
一方で、手芸としての編物は、編むこと自体に主眼を置かれているため、その糸や模様編み、製図が編んでいて楽しいかが重要になってきます。
ということは、(手芸としての)手編みが好きな人は、編むことが楽しければいいので、ファッションの編物のようなシンプルなものは物足りないし、つまらない。
よく「楽しく編めればいいの。べつに着なくてもいいの」という声が聞かれるのは、編むことが好きな手芸派のみなさん。
その一方で、編むからにはたくさん着て楽しみたいという人たちにとって、魅力的に映るのは、どちらかというとシンプルで飽きのこないデザイン。
そのあたりの乖離が、なんとももどかしいというか、もっと言うと、編物をこれから始めるような人々を阻むひとつの要因になっているのではないか…
もちろん、編むのを楽しむ編物の楽しみ方も、着るのを楽しむ編物の楽しみ方も、それぞれ立派な楽しみ方です。
ただ、近年は「編みたいけれど、編んだからには着たい」という声がとても多く聞かれるような気がします。
そこで、いいづかさんも言及していますが、「自分で構築すること」すなわち「自分で製図や計算、編み図の書き方ができる」ようになり、自分のオリジナルを編めるようになるのが理想的なのではないでしょうか。
すでにあるもの(本やレシピ)では飽き足りず、自分の思ったとおりの作品を編みたい、そして身に着けたいというのであれば、やはりオリジナルを自分で作れるようになれたらいいですよね。
まぁけれど、それができるようになるにはかなりの熟練が必要なので、並大抵なことではないのですが…
すでにあるもののなかでも、作品集を見ていると、何となく「このデザイナーはアパレル出身者だな」というのがわかる作品があります。
実際、知人のデザイナーに何人かアパレルで修業した人がいますが、彼・彼女らの作品は、手芸的方法で構築する作品とやっぱりなんか違うんですよね。
こんな話もありました。
とある編物雑誌で、シンプルなメリヤス編み主体のセーターの特集をしたところ、「よくやった!」「こういう着回しのきくセーターを丁寧に編みたい」という絶賛の声(レビュー)の一方で、「こんな簡単なセーターなんてつまんない」「買って損した」という厳しい声もあったんだとか。
まぁだから、編物の楽しみ方もいろいろということですよね。
ただ、かつては手芸的な編物が主流でしたが、だんだんファッション・アパレルを意識した編物を求める声も大きくなっている、ということ。
私たち編物講師は、その両方の声にも耳を傾け、その受講者が満足するような指導ができるといいのかな…
そもそも私の場合は、手芸的な編物にどっぷり浸かって勉強してきたので、ファッション・アパレル指向の編物をもっと勉強しなければなりません。
さて、どうしましょうかね…
ファッション雑誌、デパートの服、オシャレな街の人間チェック…
いっそのことアパレルで修業するしかない?
いろいろ脱線しましたが、さまざまな編物の楽しみ方があること、そして、もし着ることをもっと意識したければ、自分でどんどん組み立てちゃえ、というようなことを考えてみました。
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編物ワークショップのご案内
1) 渋谷の手編み講習(月2回のフリーレッスン)
西武百貨店渋谷店A館7階「マテリアルショップ」
8月は1日(木)、21日(水)です。
午前の部10:30~13:00、午後の部14:00~16:30
ご予約はご来店のうえカウンターで、またはお電話(03-3464-4500)にてお願いします。
※)毛糸店「マテリアルショップ」でのワークショップのため、原則として講習で使用する毛糸はマテリアルショップでお買い上げいただきますようお願いいたします。
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2) 千葉の手編み講習(月2回のフリーレッスン)
そごう千葉店9階趣味の街「モントリコ」
8月は5日(月)、19日(月)です。
午前の部10:30~12:30、午後の部13:30~15:30
ご予約はお電話(043-245-8091)または店頭で承ります。
※)毛糸店「モントリコ」でのワークショップのため、原則として講習で使用する毛糸はモントリコでお買い上げください。
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