所長の伊藤です。
先日の取材旅行で鳥羽のミキモト真珠島に行ったとき、展示で真珠の成分の解説がありました。
真珠は、核に貝を使用し、その表面に真珠層を付着させて作られているので、主成分は炭酸カルシウム(CaCO3)、残りはごく微量のたんぱく質から成っています。
つまり、構成元素としては、カルシウムCa、炭素C、酸素Oがほとんどで、あとは微量の水素H、窒素N、硫黄Sが含まれているようです。
ここでふと、編物に用いられる素材の成分について、ちょっと確かめてみました。
・ウール
主成分はたんぱく質の一種であるケラチンだそうです。
たんぱく質はアミノ酸が縮合してできているので、構成元素としては、C, H, O, N, そしてS。
ケラチンは含硫黄アミノ酸のシステインを含むので、燃やすと硫黄の独特なにおいがします。
これは、ウールとその他の繊維を判別する特徴のひとつでもあります。
・アクリル
アクリロニトリルを主成分とした合成繊維。
ということは、主たる構成元素はC, H, Nですな。
なお、C, H, Oが主成分のアクリル樹脂とは別のものです。
・ナイロン
ポリアミドともいわれるように、アミド結合(-CONH-)で重合した合成繊維。
主たる構成元素は、C, H, O, N。
・ポリエステル
エステル結合(-COO-)で重合した合成繊維。
主な構成元素はC, H, O。
ちなみに、ペットボトルもポリエステルに分類されます。
・綿、麻、レーヨン
主成分はセルロース、つまり糖がいっぱいつながった構造です。
構成元素は、おもにC, H, O。
・絹
たんぱく質が主成分ですので、構成元素はC, H,, O, N, S。
ウールの項で述べたように、化学組成によって繊維の鑑別ができたりします。
あ、繊維の鑑別について、今度ちょっとまとめておきましょうか。
手に取った組成不明の毛糸が「これウール? アクリル?」と見分けがついたら嬉しいですよね。
では、後日。
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