小学生の脳の英語処理は音声から「言語」へ | 最適性理論(音のストリーム)で英語を覚える

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  音声英語、つまり英会話、リスニング、発音に関して音のストリーム・ベースで学習するサイトです。

次のような研究結果があり、音のストリーム・ベースの考え方とまったく同じです。



―小学生の大規模研究で英単語を処理する脳活動の基本パターンを解明―



首都大学東京 大学院人文科学研究科の萩原 裕子教授らの研究グループは、光による脳機能イメージング法、光トポグラフィを用いて、小学生約500人の母語・英語復唱時の脳活動を調べる過去最大規模の言語脳機能研究を実施しました。その結果、母語と英語を処理する時の脳活動に顕著な差があること、音声分析の進行とともに語彙(ごい)習得が進み、それに伴って脳活動が右半球(右脳)から左半球(左脳)へと移行する可能性を見いだしました。



まず、実験で言語音として聞き慣れない英語を処理する際は、母語を処理する場合に比べて脳活動が著しく低く、非語(無意味な綴り)と同様の処理が行われていました。これは、小学生の段階で脳はすでに母語にチューニングされていることを示唆しています。次に、一般に、言語を司る領域は左半球にあると言われており、実験でもよく知っている単語の処理では左半球の角回が活発に活動していましたが、逆にあまり知らない単語の処理では、右半球の縁上回が活発に活動することが分かりました。さらに、言語領域としてよく知られているブローカ野においても、右半球のブローカ野に相当する場所が活発に活動していました。これらの結果は、音声言語処理には左右両半球が関与し、特に語彙獲得の初期には右半球が重要な役割を担っている可能性を示しています。子どもたちの脳は、未知の言葉を習得する際には、言語を問わず、音のリズム、アクセント(音の強弱)、イントネーション(抑揚)などを頼りに処理していると考えられます。



本研究結果から、子ども達が新しい言葉を耳から学ぶ時には、脳ではまず音声の分析が優先的に行われ、それが意味を持つ「言語」へと徐々に移行する可能性が示唆されました。本研究は、学齢期初期における外国語習得の基礎資料となるもので、小学校における効果的な英語活動や、脳科学的な根拠に基づく英語学習法の開発へ道を開くものと期待されます。



本研究は、科学技術振興機構(JST) 社会技術研究開発事業「脳科学と社会」研究開発領域(領域総括:小泉 英明 株式会社 日立製作所 フェロー) 研究開発プログラム「脳科学と教育」(タイプⅡ)の研究開発プロジェクト「言語の発達・脳の成長・言語教育に関する統合的研究」(平成16年12月~平成21年11月)(研究代表者:萩原 裕子)の一環として行われたもので、株式会社 日立製作所 基礎研究所および自治医科大学の檀 一平太 准教授らの研究グループの協力を得ました。本研究成果は、2011年2月24日(米国現地時間)に、米国科学誌「Cerebral Cortex (大脳皮質)」のオンライン版で公開されます。



本研究では、安全で計測時の負担も少ない光トポグラフィを用いて、484人の小学生(年齢:6~10歳)について、母語(日本語)および外国語(英語)の単語復唱時の脳活動(脳の血流変化)を調べました。実験は、日本語と英語のそれぞれにつき、出現頻度の異なる2種類の単語(高頻度語と低頻度語)を用意し、合計4種類の復唱課題を実施しました。高頻度語は100万語中50回以上の使用頻度、低頻度語は100万語中5回以下の使用頻度でした。言葉の模倣は言語の獲得にとって重要な行為の1つであり、この能力は、外国語を習得する能力と相関があると言われています。



単語復唱時の脳活動は、聴覚野付近では言語(母語 vs. 英語)や出現頻度(高頻出度語 vs. 低頻出度語)によらず同程度で、左右半球差も見られませんでした。一方、ウェルニッケ野付近、角回、縁上回では、語彙知識(意味知識の有無)によらず、母語処理時の方が英語処理時より脳活動が有意に大きいことが分かりました。聴覚野付近では母語と英語で脳活動に差がないのに対して、これらの脳の場所では顕著な差が見られたという結果は、これらの脳の場所が、「言語音」の認知処理(音韻処理)の座であることを示唆しています。



つまり、小学生の段階ですでに脳が母語の音韻処理にチューニングされており、言語音として聞き慣れない英語は非語と同様に処理されていると考えられます。また、聴覚野付近やウェルニッケ野付近は、音声-言語処理のプロセスの初期段階にあたりますが、脳の活動は左半球と右半球で対称でした。一方、音声-言語処理プロセスの後期段階(角回、縁上回、ブローカ野)では言語刺激の種類によってそれぞれの皮質が異なる反応を示し、高頻度語に対しては左半球の角回、低頻度語に対しては右半球の縁上回の活動が統計的に優位でした。また、ブローカ野では右半球の活動が優位でした。



一般に言語は左半球で処理されており、言語処理の中でも特に音韻処理には左右両半球が関与していると言われていますが、本研究の結果から、新しい単語を学ぶ時には右半球が重要な役割を担っている可能性が高いことが示唆されました。あまり聞き慣れない低頻度語の音韻処理には、右半球の縁上回が深く関与し、聞き慣れた高頻度語に対しては左半球の角回の活動が高いという結果は、音声分析が進むと語彙の習得が進み、それに伴って脳活動が右半球から左半球へ移行する可能性を示しています。また、この傾向は母語でも外国語でも同様に観察されたことから、言語に普遍的な現象であると考えられます。



私は英語学習において脳がどのように機能するかに大変に興味を持っております。それを知る事は学習のための大きな助けになると思っているからです。



1.音声は音素の並びでなく音のストリームで認識
子どもたちの脳は、未知の言葉を習得する際には、言語を問わず、音のリズム、アクセント(音の強弱)、イントネーション(抑揚)などを頼りに処理していると考えられると言う事は、音声は音素ベースで認識しておりません。つまり、単語であれば全体を聞いて知っているかどうかの判断をしております。知らない音は右脳で雑音のような処理をしております。



音声言語の学習は言語を問わず、音のリズム、アクセント(音の強弱)、イントネーション(抑揚)などを頼りに処理していると考えられます。つまり、音声はある意味をなる音の長さにならなければ言語であるとの処理がされません。音のリズム、アクセント、イントネーションが十分に反映できる音の長さ、つまり音のストリームでなければ言語の処理も、学習も進みません。



2.言語の認識は母語も第二言語も同じ
英語学習のために英語脳とか英語耳を獲得を教える本がたくさんあります。しかし、言語の認識は英語も日本語も同じであり、慣れていない言葉か慣れている言葉で違うだけの事です。英語が理解できるのは英語脳や英語耳の獲得でなく、脳が連続的な音を記憶しただけの事です。