鎮魂の大杉谷(あとがき) | 柴犬さくらの旅日記

柴犬さくらの旅日記

yahooブログ終了によりこちらに引っ越しました。
九州から北海道まで全国を旅する柴犬のさくらです。
緑豊かな美しい日本の自然探訪と山歩きを中心に
旅で出会った皆さんとの触れあいを綴っています

大杉谷の記事の中で33年前の9月、一日に二度死にかけたと書いたところ、さくらファンさんから二度目はどうしたの?と聞かれていたので
コメントでは少し触れましたが、あらためて顛末を記してみます。面白くは無い話でさくらも出て来ませんので悪しからず



 

イメージ 1
二十歳代前半の私と愛車コロナ2000GT


 

イメージ 3  イメージ 2
当時人気のスカイライン2000GTに対抗して発売されたトヨタ車。スタイリッシュなツードアハードトップに憧れて購入。オートマチックを嫌ってマニュアルミッションにした。新車購入時はこの色だったが、後でシルバーに塗装㊨




 

さて、大杉谷で疲れ果て、冷たい雨にずぶ濡れになって死にそうな体で、どうにか登山口までたどり着き、車に乗り込んで暖房で冷えた体を温めることができましたが、

 

その時になって、右手の指に感覚が無く動きにくいことに気付きました。寒さのせいかな、と思いましたがしばらく温めていても元に戻らず、どうも骨折していたようです
そうこうしているうちに辺りはすっかり暗くなってしまったので、帰り掛けることにしました

 

土砂降りの雨の中、宮川ダム湖沿いの狭い道を左手一本で運転し、湖畔の食堂でようやく見つけた公衆電話から妻に山で右手を負傷したこと、遅くなるが帰宅することを告げて帰り道を急ぎました

 

それから半時間後ぐらい後、宮川村から飯南町へ向かう途中の峠道のカーブで、濡れた路面にタイヤがスリップしてしまい、左手一本のハンドル操作とシフトチェンジが間に合わず、激しく路肩に乗り上げ横転してしまいました

 

勢いが有ったのか道路上を二回も転がって、車は大破
スタイル重視のセンターピラーが無いハードトップだったためでしょう、やはり衝撃に弱く、横転して逆さまになった瞬間に天井が大きく凹み、前後左右の窓ガラスが「バシャバシャバシャ」とすべて砕け散りました

 

この時、時間にしたらわずか数秒間の出来事の筈ですが、転がる車の中からまるでスローモーションフィルムを見ているように、窓ガラスが割れていく様子をはっきり覚えています
一回転がって二回目になると、なぜか余裕も出て来て、車の損害程度を考えていたからこれも不思議です(笑)

 

二回転しましたが、幸いきれいに着地してくれました。開いたドアから車外に放り出されなかったのは、後付したスポーツ用の四点式シートベルトでガッチリ固定していたからかも知れません
ただ、放り出されるのと閉じ込められるのと、どちらがいいか事故の状況によって変わるとは思いますが

 

エンジンを切り、恐る恐る外に出て車体を眺めると、もちろん原形はとどめていないものの、ヘッドライトなどランプ類はウィンカーを除いて点灯しています。タイヤは前後ともハの字の形になっていますが、パンクはしていません

 

再び乗り込んでエンジンを掛けようとすると、へしゃげた屋根が頭につかえて首を傾けなくては運転席に座れません。これで頭や頸椎を痛めなかったのが何とも不思議でしたが

 

ソロソロと動かしてみると、タイヤやスプリングが擦れて嫌な音を出していますが何とか走れそうです。それで、こんな山中で一晩明かすより、できるだけ家に近づこうと走り出しました

 

でも、走り出した途端、窓ガラスが1枚も無い悲しさ、土砂降りの雨が上からだけでなく、ボンネットに跳ねかえった水しぶきが下からも顔に当たって、とても目を開けていられない状況です。しかも天井につかえた首は横に曲げたままの不自由な形でした
水しぶきが両目に入ると全く見えなくなるので、片目ずつタオルで雨を防ぎながらマニュアルミッション車の運転は寒さも感じないほどの忙しさでこれには参りました。
こっちの方も死ぬ思いだったから一日に二度死にかけたでは無くて三度にします(笑)

 

当時はトンネルが無かった高見峠の曲がりくねった砂利道を越えて奈良県に入り一安堵。今にもぶっ壊れそうな音を出す愛車をだましだまし、驚いて道を譲ってくれる対向車に恥じ入り、感謝しながらひたすら我が家を目指しました

 

最後の難関、未舗装の水越峠を越え、大阪の灯りを目にしてヤレヤレ。そのまま馴染みの修理工場に持ち込んで愛車の凄まじい姿を妻やご近所さんに見られることなく済みました。車はもちろん廃車です

 

この事故を経験し、以後のマイカーはすべてオートマチックでガッチリしたボディの4輪駆動車にしました。余談ですが、その後も山や海で何度か死ぬような思いをしましたが何とかしぶとく生きていますし、事故では死なない?という変な自信も付いてきましたよ(笑)