ところが、そのグループのリーダー氏がワンコ嫌いだったため、思いも依らず別行動になってしまいました。
「ワイは単独行のさくらパパや、金輪際さくらとだけしか歩けへんで～」と強がってはみましたが北海道の最初の山だっただけに、登山意欲を削がれてしまいました。
それで、しばらく麓の富良野や美瑛の丘で美しい花たちに慰められながら暮らしていました。
夏の北海道の観光地は、今や日本人より中国、韓国からの観光客が多いくらいですが、上富良野町のラベンダー園などは、なぜか香港の、しかも若者たちばかりでした。
彼等は観光バスではなくクルマで乗りつけるので一見日本人に見えます。
さくらと写真に収まった三人の女性は東南アジア系のエキゾチックな顔立ちでした。
よく見るとどうも新婚のカップルも居るようです。
丘の上の鐘を盛んに鳴らしていました。
日本語で夜遅くは近所迷惑になるので遠慮して下さいと書いていても、彼等には通じませんし、気にもしてない様子です。
ある日、ブライダルのパンフレット撮影に何と確認しただけで、三組のスタッフが従事していました。
どうも、北海道の富良野辺りで結婚式を挙げるのが、香港の若者の間で流行っているようです。
彼等を横目に、さくらとボール投げに興じていると、突然モデルを頼まれました。
戸惑いながら、ワシは若く見えるかも知れんが、実はジジィなんや！と言う前に、さくらを指差してます。
やっぱりなぁ…、
さくらは彼等が四足だったら机以外何でも食べる人達とも知らず、ウェディングドレスの女性の傍らに笑顔で寄り添い、カメラに納まっていました。
香港の結婚パンフに載ったさくらも見てみたい気がします。