毎週水曜日連載中の『教えて!サクラバレエ』シリーズ。
今週も、
『サクラバレエ』や『大人からはじめるバレエ』に関する
素朴な疑問・質問にお答えする、Q&Aコーナー
です
Q.
はじめまして。
最近、さくら先生のブログを読み始めた者です。
3歳から20歳までプロを目指して本気でバレエを踊っていましたが、怪我で断念しすっぱりとバレエを辞めました。
が、30代半ばでまた本気でバレエを再開しました。
長年のブランクでなかなか思うように踊れず、大人に本気で教えて下さる先生のありがたさを実感している毎日です。
差し支えなければ、さくら先生の経歴を是非詳しく教えて頂きたいです!
特に、さくら先生自身がどんな先生に師事なさっていたのかを教えて頂ければなぁと思っています。
きっと、沢山の素晴らしい先生に教わってきたからこそ、 こんなに大人バレエの方にも情熱をもってバレエを教えて下さっていると思うのです!
(ブログでしか存じ上げませんが、とても情熱を感じるので!)
既にどこかに書かれていたら申し訳ありません。
どのバレエ教室でも、先生のバレエ団歴や踊ってきた作品、コンクール受賞歴等の記載があるので、 さくら先生もきっと素敵な経歴の持ち主なんだろうなぁと、気になって気になって仕方がありません!
よろしくお願いいたします!
A.
はじめまして。
いつも、ブログを読んでくださって、ありがとうござます!
バレエを怪我で断念しなくてはいけなかったのは、本当にお辛かったことだろうと思います。
バレエが好きな人にとって、一番つらいのは、バレエが踊れなくなることですから!
それでも、またバレエを再開されたとのことで、よかったですね。
文章からも、“バレエが本当に好き!”だという気持ちを感じることが出来ます。
さて、ご質問の私の“経歴”についてですが、そうですね、詳しい経歴は、どこにも書いていません
なぜかと言いますと、まず最初に『私には“本当の意味での師匠”がいないから』です。
質問者さんの言われるとおり、私がお世話になった先生方はすばらしい方ばかりです。
どの先生も生徒さんを毎年コンクールに入賞させていらっしゃいますし、先生ご自身が国内のコンクール審査員を務められていたりもします。
けれど、そういった先生がたのお名前を“師匠”として語っても良いのは、そして“〇〇先生に師事”と書いても良いのは、先生に10年近くかけて大切に大切に“育てられた生徒”だけだと思うんですね。
子供の頃から(多くの場合は4歳の頃から!)毎週休まずレッスンに通い、先生から礼儀を学び、団体行動を学び、バレエを学び、本気で叱られ、本気で褒められ、何かあったらかばってもらい、先生を“第2の母親”のように思える人だけかな、と思っています。
子供からバレエを習いはじめていれば、『ベビークラス』→『小学校低学年クラス』→『小学校高学年クラス』→『中学生クラス』→『高校生クラス』と、レベル別にレッスンが分かれています。
クラスもそれぞれ週2~3回、高校生クラスは週4~5回レッスンがあることがほとんどです。
そこで、先生にそれぞれの時期に段階を踏んでじっくり育てていただけます。
けれども当時、大人からバレエをはじめた私が受けることが出来るクラス、つまり”大人のクラス”は週に2回か3回と、そう多くはありませんでした。
それでも先生を追いかけて、本部だけでなく、車で1時間近くかかる支部まで、曜日ごとに何ヵ所も追いかけて行ってレッスンを受けたり、先生にお願いして、小学生や高校生のクラスに混ぜてもらってレッスンを受け、私ではない“先生が本気で育てたい”生徒への注意を聞いて、自分のものにするべく四苦八苦しながら“先生を見て、まわりを見ながら、自分で勝手に育ち”ました。
それでも、大人からバレエをはじめた割には真剣に教えていただいたし、可愛がってももらいました。けれどどの先生もきっと、大人である私を“育てた”という感覚は持たれていないと思います。
その先生を“師匠”と呼んだり、経歴に書かせていただくのは、やはり違うのではないかなと思っています。(お願いすれば、あっさりOKしてくださるとは思いますが。)
逆に言うと、私に筋道たてて本物のバレエを教えてくださり、生徒として本気で叱り、教師として育ててくださったのは、ロシア国立ペルミバレエ学校の教授法の先生方でした。
ただ、ペルミの先生には教授法は教えていただきましたが、何年にも渡ってじっくりバレエのレッスンをつけていただいた訳ではないので、こちらもやはり本当の意味での“師匠”とは呼ぶものではないと思っています(心の中では思いきり呼んでいますが。)
今の日本に(世界にも?)大人に筋道立てて、理論的に、きちんとしたバレエを教えて、育てようなどという、変わったバレエの先生は私以外1人もいないと思います。(膨大なお金を落としてくれる大人相手になら、一時的にならもしかしたらいるかもしれませんが)
だから私ももちろん、どの先生からもバレエを教えていただいてはいましたが、一人前にするために、順序立てて、理論的にバレエを教えていただいたり、育てていただいた経験はありません。
だから私はバレエの色々なことを、文字通り“盗んで”身につけてきました。
そして、そこに自分で勉強した、バレエのこと、身体のこと、メンタルのこと、すべてを自分の中にプラスしてトータルで今のバレエ教師としての自分があります。
先生に本気で向き合ってはもらえず、共に成長したり切磋琢磨する仲間もおらず、たった1人で武者修行のようにがんばり続ける日々はなんだか悲しく、虚しく、そして寂しかった。
だから、そんな状況で、自分で自分を育てざるを得なかった私が、色々なところで
「大人からはじめた人」
「大人のくせに」
とバカにされながらも頭を下げて学ばせてもらい、寝る間を惜しんで勉強し、自分を磨き続け、心理学を学び、ついには米国のメンタルトレーナーの資格までとってしまい、整体やボディワークを学び、バレエ教授法を本場ロシアの国立バレエ学校の先生方に学び、ついには所属していたバレエ教室でアシスタント、助教師を任されるまでになり、フィットネスでオーディションを受けてバレエを教え、サクラバレエを主宰する現在にいたるまで、どれだけ努力を積み重ねてきたのか、どれだけ苦難の連続だったか、みなさん想像出来ますでしょうか?!
おかげですっかり鍛えられて、強くなりました。
いや~、これ書いていて、“どこまで突っ走るの!?私”と、突っ込みを入れたくなるのですが、もう、本当に全力疾走、アクセル全開で駆け抜けた日々でした。
本当によくがんばりましたよ。
そんな思いや経験をしてきたからこそ、私は『大人に系統立ててバレエを教え、礼儀のことまできちんと言う“大人のバレエ教室”であるサクラバレエ』を開いたのです。
そして2つ目の理由は、(実はほとんどのバレエ教師の経歴はあてにならない)と思っているからです。
スポーツでも何でもそうですが、監督とプレイヤーは違います。
バレエを教えるのと、バレエが踊れるのは違います。でもそれがごちゃまぜになっているのが、今の日本のバレエです。
海外では教授法のディプロマ(資格)がないと、バレエを教えられないのは有名な話ですが、日本には正式なバレエ教師の資格はありません。
だから日本では、バレエを踊るのが上手だった人、運動神経と運の良い人、教室の中で政治力のある人、踊るだけでは食べていけなかった、または歳をとって第一線を退かなければならなくなったバレエダンサー、つまり“名プレイヤー”がバレエの教師になります。
日本のバレエ団は国営ではありません。多くの日本のプロバレエダンサーは、食べるために働かなくてはいけません。
しかし、バレエだけに打ち込んできた人たちの多くは学歴も職歴もない。(もちろんそうじゃない方もたくさんいらっしゃいますが!)
あるのはバレエの経験と華やかな見た目。
そこで、それを武器に、教師資格も知識もない人がバレエの先生になるのが、日本のバレエです。
そこで、夢よもう一度!
私は日本で終わったけれど、海外でプロになりたかった私の夢を叶えてくれる子供の生徒と、私に憧れてお金を落としてくれる大人の生徒、大募集!となる訳です。
(そうではない方もたくさんいらっしゃいますが、こういったケースは実はめずらしくありませんが、“元バレエ団所属”だけでなく、“元○○所属”という方にも多いです。)
海外でディプロマを持っていない人が、日本に来て教師をしているのもよくあるお話。
実は他のダンスが専門で、バレエも踊れます、でも資格は持っていないです、バレエ学校にも行っていないです、でも手足が長く、それなりに踊れるというのであれば、本物を知らない日本人は喜んでレッスンを受けます。
(ダンサーはある程度以上上手な人は、ダンスの種類関係なく、動作1つとっても、しなやかで素敵に見えますからね!)
でもそれは、生け花や空手の資格を持っていない日本人が海外で教えているのをありがたく習っているのと一緒です。
〇〇バレエ団所属(所属したものの、団内オーディションに受からず、コールドを1~2回踊っただけかも)、〇〇先生に師事(クラスを1回受けただけかも)、〇〇バレエ教室の発表会で主要な役を踊る(10年所属のご褒美で1回センターで踊っただけかも)、海外への留学経験(バレエ学校のサマースクールに行っただけかも)などの経歴も、今どきの写真と一緒でいくらでも盛れます。
繰り返しますが、“名プレイヤー=名監督”ではありません。
海外の国立バレエ学校の教授たちのレッスンを受けたことがある人、つまり“名監督”を知っている人たちは、みんなそうじゃないかと思いますが、私がバレエ教師の経歴で信用するのは、
『海外の国立バレエ学校で教えた経験があるかどうか』
『海外のバレエ団で踊った経験があるかどうか』
『海外のバレエ教師のディプロマ(教師資格)を持っているのかどうか。』
つまり“教師”としてどうなのか、それだけです。
他人よりもバレエの素質かあって、運動神経がずば抜けている“名プレイヤー”のダンサーさんが、バレエに身体が向いていない大人を、どうやって教えられるのか、つま先が180度簡単に開く人が、どうやってターンアウトを大人に教えられるのか。
そういった人が万一育てられるとすれば、かつてのその人とおなじように“ずば抜けた素質を持った子供”だけだと思うのですが、いかがでしょうか。
だから教師としての経歴は、私は上記のことしか参考にしません。それ以外にほとんど意味はないと思っています。
あとは、人柄ですね。
そして3つ目の理由ですが、コンクール受賞歴については、28歳でバレエをはじめた私がエントリー出来るコンクールは当時ありませんでした。
今は大人もエントリー出来るコンクールもあるみたいですが、私の嫌いな言葉は、『大人リーナ』『マダムバレエ』などです。(関係者の方たち、ごめんなさい!)
『大人リーナ』って何?
『マダムバレエ』って何?
だって、『バレエ』は『バレエ』だし、『バレリーナ』は『バレリーナ』ですよね?
そして、『大人』は『大人』だし、『マダム』にいたっては、バレエと関連付ける意味さえわかりません。
大人をバカにするのもいい加減にして!って思います。
それを大人自身が口にするなんて、もっと自分にプライドを持って欲しい!って思います。
4つ目の理由です。
“発表会で主要な役を踊る”という経歴、書けないこともありません。
でも、フェアじゃないな~と思っているんです。
なぜかというと、子供の頃からバレエを習っているなら、がんばれば、そしてラッキーなら経歴にかけるような役(全幕物の主役・準主役・ソリスト)を勝ち取ることが出来るかもしれない。
でも、大人からバレエをはじめた人にとっては奇跡に近いことは大人からバレエを習っている人たちならみなさんご存じのお話しですよね。
それが良い、悪いと言っているのではないのです。
でも、あなたが教師でここが子供向けのバレエ教室なら、あなたは『バレエを子供の頃から習っていて将来プロ志望の高校生』と『大人からバレエを習った人(もっと言うと大人)』のどちらに主要な役を踊らせるかというと、答えは明確でしょう?
たとえ同じレッスン回数、同じレッスン年数、テクニックレベルが同じだったとしてもです。
それが良い、悪いではなく、だってそこは子供達のためのバレエ教室、子供達のための発表会なのですから当たり前ですよね。
私の場合も、大人クラス担当の先生が、私を発表会で男性ダンサーと組んでソロを踊らせようと提案してくださったところ、他の教師たちが
「大人をプロの男性ダンサーと踊らせるなんて許さない!」
「大人からバレエをはじめた人に発表会でソリストを踊らせるなんて、ありえない!」
と叫んでいたそうです。
子供のことを思う教師たちがそう思うのも無理はないと思います。
それでも、普通の教師たちと私が同じように経歴にソリスト歴などを書いても、この違い、この苦労が読んでくれた人に伝わる気がしないんです。
5つ目の理由。
よく経歴に書かれる“プロのバレエ団所属歴”ですがプロのバレエ団のオーディションを受けることは、28歳でバレエをはじめた私には不可能なこと。
10年習ったら、子供なら14才(4歳からの場合です)私は38才、完全に年齢オーバーですよね。
そんな私が経歴に、子供の頃からバレエを習って教師になった人たちと同じように経歴を書いて、読んだ人に何かが伝わるのかなと思うのです。
(あ、口調が強いですが、質問者さんに怒っているわけではまったくないですからね。)
そして理由その6『しがらみなど気にせず、自由に発言・行動したいから』です。
私はいつも本音をこのブログでお話ししています。
それは時に、大人からバレエをはじめた人が置かれている現状をまっすぐに伝えていることになります。
今のバレエ界に文句を言いたいわけじゃない。何が正しい間違えているはこのさい横におきます。
でも、大人がバレエを踊る上での、地位向上はしていきたい。
大人の“バレエが好き”だと言う気持ちを、ただビジネスとして利用するだけでなく、大人を、そして大人の“バレエが好き”“舞台が好き”だという気持ちを、もっと大切に扱ってあげられる場所をつくりたい。
だから、私はハッキリとものを言いたい。ここでも本音を語りたい。
それが、色々な繋がりや、しがらみがあると、それに守られる反面、自由にものが言えなくなります。
自由に動けなくなります。
私は、それはイヤなのです。
だから、しがらみはつくりたくない。
バレエの世界を知っている人なら、きっとわかると思います。
この世界の狭さ、息苦しさ。
そして理由その7、私はこのブログに本当のことを書いていますので、もし私が過去に所属していたバレエ教室の名前などを発表してしまうと、それを見て、信用してくれる人もいると思いますが、
「桜先生を、大人を大事にしてくれなかったのは、あの教室のあの教師か!」
だったり、
「桜先生に昔、意地悪をした人がいるのは、あそこの教室のあの人じゃないか」などという憶測が飛んでは、いけません。
それは私の本意ではありません。
みんな、それぞれに正義があって、思いがあって、立場もありますから
最後の理由は、例えば芸能人の中には“親が芸能人”なのに、そのことを“売り”にはせず、素性を隠して芸能界で頑張る人たちがいますよね。
親の名前や力を借ずにどこまでいけるのか、自分の力を試したい人たち。
私も、同じです。
誰かの名前を借りるのではなく、自分の力で勝負してみたかったのです。
経歴をだしていないのは、そういった理由からです。
おかげさまで、サクラバレエは今年で10年になります
サクラバレエをはじめたあの日から生徒たちは来つづけてくれています。
経歴もよくわかっていない、私のところへ。
そして10年続いています。
それこそが、私の経歴です。
うちに来てくれている人たちは、嗅覚のするどい人たちです。
私が経歴をこっそり隠していても、ブログを見つけて、読んで
“なんだかこの先生、気になる”
“この先生、もしかしたら良い先生かも”
“この教室、なんだか新しいかも”と気がついて、教室に見に来て入ってくれた人たち。
ブランドよりも、品質でものを選ぶ、目利きの人たちだと私は思っています。
私の経歴は、今の私と、サクラバレエと、その生徒たちでいい。
それが、すべてです。
あ、そうそう、そういった理由でインターネット上では書いていませんし、自分から言うことはありませんが、スタジオに来て直接会って聞かれた人には細かい経歴、たとえば所属していた教室名やご指導を受けた先生のお名前などもお伝えしていますよ。
ぜんぜん秘密じゃないので。むしろちょっと自慢したいくらいです。
ただ、自分から言いふらすことはしていないということです。
自分では当たり前になりすぎて気がつかなかった、とても新鮮なご質問をありがとうございました。
バレエ、楽しんでくださいね!
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