大型連休の真っただ中ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
毎週水曜日に連載中の『プリマの条件』シリーズ。
バレエでプリマ(主役)になるために必要なことの中から、“人間力”についてお話しさせて頂いています。
◇
16回目になる今回は、『楽しむ力』について。
“楽しむ”って、良い言葉ですよね。
楽しいことって、そもそも皆好きですよね。
バレエもね、(楽しそう!)って思って習いはじめる人も多いですよね。
楽しいからこそ沢山練習しようって思うし、
楽しいからこそもっと上手になりたいて思うんですよね。
そして、楽しんでいるうちに、バレエをもっと好きになりますからね。
あまり最初から真剣に思い詰めてレッスンするよりも、(楽しもう!)って思ってレッスンすることって、実はとても大切です。
髪を綺麗にまとめて、好きなウェアを着て、綺麗な音楽にあわせて、綺麗に優雅に踊る練習をするのがバレエなので、そういった世界が好きな人は、もうそれだけで楽しいですよね。
サクラバレエでも、本当に楽しそうにレッスンされている方も多いですし、目標に“楽しんで踊る”ということを上げる人も多いです。
「バレエを楽しむ」
「レッスンを楽しむ」
「舞台を楽しむ」
様々なシーンで、楽しみ方もそれぞれだと思いますが、この“楽しむ”ということを目標にしている人に、私はこうたずねることがあります。
「さあ、じゃあ、どうやって楽しもうか?」と。
そうすると、
「え~っと、どうやって、ですか?」と困った顔をされることが多いんですね。
どうすれば、レッスンを楽しめるのか。
どうすれば、ステージの上で楽しめるのか。
どうすれば、バレエを踊ることを楽しめるのか。
色々な楽しみ方があると思いますが、私はバレエにおいて
“楽しむ”とは、ただリラックスするのではなく、夢中になって集中することだと思います。
今日はひとつもミスをしないで完璧に踊る。
いつも間違えるあのターンを、絶対に決める。
今の自分の100%を先生に見て頂いて、注意をもらう。
とにかく、がむしゃらにやる。出来ても出来なくてもやる。
ベストをつくす。
これが今の私にとって最高のパフォーマンスです、というものを出し切る。
熊川哲也さんが、よく“フルアウト”、という言葉を使われるそうですが、同じ意味だと思います。
夢中になって、やりきる。
今の自分に出来るすべてを、出し切る。
これが、普段のレッスンで100%出来ていて、はじめて、舞台の上で出来るし、舞台が成功する。
いつも“ま、こんなもんでしょ”の踊り。
舞台の上でも“ま、こんなもんでしょ”な踊り。
あなたの人生も、“ま、こんなもんでしょ”な人生です。
私がいつも言っている“ベストをつくせ”は、つまりは“楽しめ”と言っているのです。
ただ、楽しむのではない。集中するのです。
集中のないところに、夢中はない。
夢中のないところに、真の楽しさはない。
夢中で楽しめ。
全力でやり切れ。
今できることを、すべて出しつくせ。
リスクをおそれるな。
出しおしみするな。
人生は短い。
好きなことが出来る時は一瞬だ。
ぼやぼやしているヒマはない。
楽しさとは、決断する喜び。
全力を出すことを楽しめ。
出来ることも出来ないことも楽しめ。
本気で挑戦して、本気で口惜しがって、本気で泣いて、本気で笑え。
ズルをするな。
胸をはれ。
自分の成功を信じろ。
自分の成長を信じろ。
私は今、ここにいるんだと、全力で叫べ。
全身で語れ。
音楽と一緒になれ。
自分を表現しろ。
そのために、あなたはバレエと出会うのだから。
自分で自分を本気にしてあげなくては、誰もあなたを本気にさせてはくれない。
自分で自分を楽しませてあげなければ、誰もあなたを楽しませてはくれない。
最も楽しむ人が、最も強いのです。
だから、プリマになるためには“楽しむ力”があることが大切です。
そのためには、普段から集中力を養うこと。
集中力を保つための、持久力を育てること。
自分で選ぶこと。
すべて、バレエのレッスンで鍛えられることです。
プリマの条件。
今回は、プリマになるために大切な、“楽しむ力”についてのお話しでした。