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毎週水曜日連載中の『サクラバレエの歩き方』シリーズ。
私でもバレエ習えますか?と題して、先週からは、“バレエ以外の目的のためにバレエを習いたい方”がサクラバレエでバレエを習うと、どんなサポートを受けられるのかについて。
前回は、その前段階として、“バレエ以外の目的”についての説明で、『ジャズダンス』と『それ以外のダンス』は別だと考える、というお話しの途中でした。
『バレエ』と『ジャズダンス」の深~い関係について。
つまり、当初は、『クラシックバレエ』の枠を飛び出して、型をくずしたものが『ジャズダンス』と呼ばれた、ということです。
それに比べて、『フラダンス』や『ヒップホップ』、『ベリーダンス』に『フィギュアスケート』や『新体操』などは、『クラシックバレエ』をくずしたものではなく、全く別の成り立ちや性質をしていますので、 『ジャズダンス』と『それ以外のダンスや競技』は『クラシックバレエ』との関連性が全く異なる、というお話しでした。
そこから紐解くと、『バレエ』を“くずす”というくらいですから、『ジャズダンス』のために必要な『バレエ』というのは、意識してくずさないと、くずれないくらい、しっかりと『バレエ』が身体に入っている必要があります。
少なくとも、この『ジャズダンス』というスタイルを確立させたジャズダンサー達は、みんなプロとしてのクラシックバレエダンサー又はその卵だった訳ですから、10年近く、毎日毎日、何時間も『バレエ』の訓練をした人達であり、全員バレエ教師になれるくらいの知識と経験はあったはずです。
だから、『ジャズダンス』の世界で言われる、“ジャズダンスの基礎としてのバレエ”は、そのくらいのレベルである、ということです。
ジャズダンスを習いはじめてから、慌てて週1回バレエを習った程度では、とてもじゃないけど、追いつきませんし、その人にとっての基礎にはなりません。
子供の頃にバレエを習っていたとしても、趣味の習い事として週1回程度レッスンを受けていたくらいでは、ジャズダンス教室で「あの人すごい!」と言われるほどの差にはならないと思います。(全くやっていない人よりは、踊りやすい面もあると思いますが、それだけでは、先生やお客様の目を惹くほどではないと思いますし、逆にシャープさの面で課題が残ります。)
ジャズダンス教室で「あの人すごい!」と言われるような人は、バレエ教室でも、本気でバレエをレッスンしていたはずです。そういった人達は、子供の頃に習っていたバレエを趣味の習い事ではなく、本気のお稽古事として習っていたはずです。年齢の近いライバル達と役を取り合って競争したり、コンクールで勝負した経験があったりして、悔しくて泣いたり、嬉しくて飛び上がって喜んだりした過去を持っているはずです。そして、バレエだけをただひたすらに、毎日のように休まずレッスンに通っていた人であるはずです。(お稽古事のバレエの世界で休まない、と言ったら、本当に何があっても休まないのです。)
そこで、挫折をしたり、自分を活かす道を見つけて、「今度こそは!」と本気でジャズダンスをレッスンしている訳です。
だから、ジャズダンスの先生達も、目をかけて本気で教えるのです。
そこに、軽~い気持ちでジャズダンスを習い始めた人が、「やっぱりバレエを習っていた人は違うなぁ。」「バレエを習っていた人は先生に可愛がられていていいなぁ。」「私も上手になりたいから、ジャズダンスのためにバレエ習おう。」と、“週1回ほど”“乗り気じゃないけど、ジャズダンスのために”バレエを習ったところで、基礎の『き』にもならない、というのが現実です。(もちろん、軽~い気持ちでダンスを楽しむことも、とても大切なんですよ。それが全てのダンスの本当の意味での基礎だと言っても良いくらいだと思いますから)
よく、バレエ教室に行って、「ジャズダンスのために、バレエを習いたいんです。」と言うと、バレエの先生にイヤな顔をされた、という話を聞きます。
それは多分、“イヤな顔をする”というよりも、バレエの先生は“この現実”を知っているからです。
ジャズダンスを習いはじめた後で、週1回程度、バレエを習ったところで、気休めくらいにしかならないことを知っているからです。
けれど、(せっかくダンスをやる気になって、バレエまで習うと言っている人に水を差してもね・・・。)という思いがあります。
それに、「ジャズダンスの先生にバレエを習えと言われました!」と言ってバレエの世界に飛び込んで来る人も多いです。
ジャズダンスの先生がそう言われているのに、バレエの先生が「それは違~う!」「それはあんまり意味なーし!」とバッサリ切る訳にもいきません。人にはそれぞれ違った考え方や環境や立場、メンツもありますから、狭い世界ですから、そう言う訳にもいきません。
だからどうしても、「まあ、やってみればいいじゃない?」や「じゃあ、がんばってみる?」という感じの反応になってしまいます。
それが、時として(バレエの先生、感じ悪い・・・)(イヤな顔された・・・)という受け止め方になるのかもしれません。
本当に『ジャズダンス』の基礎として『クラシックバレエ』の基礎を習うのであれば、まず最初に『クラシックバレエ』を少なくとも週に2~3回は5~6年本気で習います。(この時の先生は、もちろん本気で教えてくれる先生である必要があります)
その後に、『ジャズダンス』を習い始めて、好きなだけレッスンするのが、今の私が考えつくジャズダンス上達のための最短ルートです。
けれど、「趣味でジャズダンス習ってみようかな」というテンションの生徒に
「もし、将来本気になるかもしれないなら、まずはバレエを5~6年習っていらっしゃ~い!」というジャズダンスの先生はいないと思いますし、いたとしても、本人がバレエの段階で挫折する可能性もありますし、いざジャズダンスを習ってみたら、違っていた、となる可能性もある訳です。
だから、「ジャズダンスを習いたいんですけど」と門を叩いて来た人は、受け入れるのが普通だと思います。
そして、そこでバレエの基礎が出来ている人を見て「はぁ!やっぱりバレエ!」というエンドレスループが続くのです。
なぜ、バレエが先である必要があるのかは、後ほどお話ししますが、
ともかく、これから何かダンスを習おうとしていて、『バレエ』を習うか、『ジャズダンス』を習うかで迷っている人は、どちらでも良いのであれば、またはプロを目指すくらい本格的にやりたいのであれば、理論でお話しするなら『バレエ』が先です。
ところが、最近は『ジャズダンス』もものすごい勢いで進化しているので、『バレエ』を基礎としない(例えばヒップホップ寄りの)ジャズダンスも沢山出て来ていますし、先生がそもそも『バレエ』をあまり踊っていない、というケースもあります。
その場合は、迷わず『ジャズダンス』です。
また、趣味のためにダンスを習いたい人も、すぐに楽しめるのは『ジャズダンス』です。
むずかしいことに挑戦するのが好きな人や、きちんと基礎をおさえておきたい人、長期計画で自分を育てようと思っている人や、本気でダンスに打ち込みたい人は『バレエ』が先の方がルートとしてはおすすめです。(理由については、後日お話しします。)
『バレエ』を本気で何年かやってみて、「やっぱり他の道に進みたい。」というのであれば、全力で応援しますし、「やっぱり『バレエ』一本でいきたい!となれば、トゥシューズを履いて踊れるところまで案内してあげることは出来ます。(ジャズダンスを踊っているうちは、バレエでは使ってはいけない外側の筋肉をつかう〔この筋肉は膝を曲げる〕のです。また、外側の筋肉が強くなると、身体が重くなって軸をとって回ることがかえって難しくなり、結果として、トゥシューズを綺麗に履くことが難しいのです)
いずれにしても、自分がダンスに対して“本気”なら、『バレエ』にしろ、『ジャズダンス』にしろ、自分ときちんと向き合ってくれる先生を探すことが大切だと思います。
つづく
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