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毎週連載中の『サクラバレエの歩き方』シリーズ。
毎回、サクラバレエでバレエを習い始めると、どんなサポートが受けられるのかをタイプ別にご紹介しています。
今回は少し長くなりそうですので、前編と後編の2回に分けてさせてもらおうと思います。
今回ご紹介するのは、次のタイプの方です。
タイプD
体型や見た目が気になって一歩踏み出せないタイプ。
レオタードを着ることに抵抗がある人。
サクラバレエで一番気になるのは、
「・・・私ぐらいの体重の人はいるのかしら?」
「・・・私の体型でも、発表会でチュチュを着させてもらえるのかしら?」
「・・・トゥシューズって体重が何キロまでなら履けるのかしら?」
「・・・先生に“痩せなさい”って言われないかしら?」
ということ。
バレエというと“細い”“華奢”“手足が長い”“スタイルが良い”“小顔”というイメージがあるため、バレエをはじめるにあたって、“自分の体重や体型”を気にされる方は多いです。
けれど大人のバレエにとって、実はそれはあまり重要なことではありません。
もしあなたが、これから先、欧米でプロのバレエダンサーを目指すのなら、そこは外せませんが、私たち日本人は“アジア人”というだけで、残念ながら、すでに本場のバレエの規定からは外れています。
これは、日本が欧米のコンクールで賞を獲っただけで、ニュースや新聞に大々的に報道されることを考えても、その希少性がお分かりいただけると思います。
「脚が短いアジア人なのに!賞を獲った!すごい!」という扱いなんですね。
それに、体型というのは、体重だけではありません。ただ痩せていれば良いというものでもありません。バレエは“脚を見せる芸術”と言われるほど、美しい脚のラインは重要視されますし、何頭身なのか、もっと言うと、頭や顔の小ささや、顔立ちの美しさ、髪はブロンドなのか黒髪なのか、首の長さ、ウエストの細さ、肌の色の白さやきめの細やかさ、数え上げればきりがありません。
本場バレエの世界では、バービー人形クラスのスタイルの良さでも、「・・・まぁまぁかな。」くらいのレベルですので、日本人であり、一般人である私達がそこを気にしはじめると、誰もバレエを習えない、ということになってしまいます。
もし、バービー人形クラスのスタイルの良さじゃないとバレエを習うことが出来ないのであれば、日本にバレエ教室は1つか2つで十分だと思いますが、実際は違いますよね?日本でもアジアでも、沢山の人が夢や目標を持ってバレエに挑戦しています。
なぜかというと、バレエを踊る上で大切なのは、『どんな体なのか』ではなく、『持って生まれた体をどう使うか』なんですね。
実際に海外で通用している日本人バレエダンサーというのは、体型のハンディを補って余りある、努力とテクニックと魅力と運で自分の人生を切り開いているわけです。
・・・ですから、大人がバレエを習うのに体型は関係ありません。
そりゃ、体のポテンシャルは良いに越したことはありませんが、生まれてくる時代や国や家族を選べないように、自分の体も選べません。それなら、あれがない、これがないと嘆くことよりも、持っているものをどう使うのかが重要です。
今の自分の体型を気にしているなんて、時間がもったいないだけです。
大切なのは、自分の体をどう扱ってあげるのか。
そして、今の自分の体を使って何をするのか、なのです。
それに、脚の長さは変えられなくても、脚のラインは変えられます。
身長は変えられなくても、舞台で自分を大きく見せることは出来ます。
首の長さは変えられなくても、長く見せることは出来ます。
そうやって一人一人が自分の美しさを追求していくのが、バレエなのです。
◇
また、このタイプの人にとって重要なのは、実は“体型”や“体重”ではないのです。
そう言うと驚かれるかもしれませんが、実はこのタイプの人が何を重要視しているのかというと、それは“他人の目”です。
全く同じ体型・同じ体重の人が何人かいたとしたら、自分の体型や外見をものすごく気にする人と、全く気にしない人がいます。
その違いは何かというと、“体型や見た目などの外見を気にする人”というのは、実は“他人の目を気にする人”であり、つまり、“他人の評価を気にする人”であることが多いんですね。
世の中には、自分と全く同じ体型、同じ体重でもそれを一ミリも気にせずに、生活している人は沢山います。それなのに、このタイプの人はものすごく気になる訳です。
それがなぜかと言うと、このタイプの人は“自分で自分のことをきちんと評価してあげられていない”んですね。だから“他人の評価を気にする”のです。
自分で自分のことを、スゴイ!と思えないから、他人にスゴイ!と言ってもらいたい訳です。
言いかえれば、“自分の価値を他人に決めてもらおうとしている”訳です。
これは実はとても危険なことなんですね。
周囲の人が“お前はダメだ”といえば、どんなに頑張っていても、能力があっても“私はダメだ”となる訳です。
周囲の人が“あなたは最高”といえば、とりあえずHAPPYなのですが、根拠がないと、その時だけのHAPPYになってしまって、自信にはならないんですね。
そして、他人にコントロールされやすくなってしまいます。
他人に好かれたり、評価をされたいために、周囲の人達に必要以上に気をつかってしまったり、他人の言うことに影響されやすくなってしまうので、周囲に振り回されて、言動がブレがちになります。自分の中に自分の軸がない状態です。
そうなると不安なので、いつも他人と自分とを比べるようになり、そうやって、ささやかなことで、勝った負けたと一喜一憂してしまうようになり、気分にムラが出来て大変です。
他人に自分を評価させたり、自分の中に軸がない状態というのは、頑張っても頑張ってもそれが評価に結び付くとは限りません。むしろ逆になることの方が多いです。
はっきり言って、これはツライです。なかなか幸せになりにくいです。
このタイプの人は、ものすごい頑張り屋さんなんです。
努力も人一倍してきているんです。
根性もあります。
理想の自分もいるはずなんです。
だけど、どこか自信がない。
頑張っても頑張っても自信がない。
自信がないから自分自身もない。だから、ますます他人の評価にすがりたくなる。
誰かが「Aが良いらしいよ」と言えばAに飛びつき、また違う人が「Bが良いらしいよ」と言えばBに飛びつき、やっていることがブレブレになり、自分ではもはや何をやっているのかさえ、わからなくなってしまいます。
このように、このタイプの人は、知らず知らずのうちに、自分では出口の見えない無限のループにはまってしまうことがあります。
そしてまた今日もなんだか疲れている。その繰り返しです。
その人の周りにはいつも良いコンディションの人ばかりが集まってくれるのなら良いのですが、疲れてネガティブになってしまっていると、同じようにコンディションの悪い状態の人を引き寄せます。中には自分の劣等感から目を反らすために、こういった自信がなく、他人に評価されたがっている人にこっそりと近づいては、(あなたダメよね~。ダメ人間よね~)(あなたが頑張ったところで、しょせんそのスタイルじゃね?)なんて、相手を下に見たり、攻撃して、自分の自尊心を満たそうとすることもあります。こういうタイプの人は、攻撃的な人を引き寄せるのが本当に上手なんですね~。そして、ふと気がつけば周りはそんな人だらけ、なんてこともよくある話です。
すると、このタイプの人は、自分の価値は認めないのに、こういった言葉はすぐに認めてしまって、(はぁ~、そうですね~、私はダメ人間すよね~。)(頑張ったってどうせムダですよね~)なんて、あっさりと簡単に凹んでしまったりするんですね。人としては素直でとても可愛いキャラなのですが、本人はものすごく、しんどいのです。
このタイプの人へのサポートは、自分の外にある軸を、バレエを通して自分の中に移し替えられるように、長期計画で行われます。なぜなら、他人を軸にして生きてきた時間が長いぶん、考え方のクセを変えるためにはバレエと一緒で時間をかけて、繰り返し考え方を変えていく練習をすることが必要だからです。コツコツと基礎を積み上げること。一歩ずつ成長していくこと。自分の中に軸を少しずつ作っていくこと。
自分の中に軸がないと、バレエでも上手に踊れませんからね。
バレエと人生というのは、想像以上にしっかりとリンクしているものなんです。
テクニックだけ磨いてもダメなのです。
だから、バレエの先生というのは、一般的にめったに生徒を褒めないんですね。
なぜなら、“先生に褒められるためにバレエを踊る”のではなく、“先生にどう思われても、私はバレエを踊る”というブレない軸が、バレエが上手になるためには必要だからです。
一般的にはこのタイプの人は『心・技・体』のうち『体』へのサポートが必要だと思われがちです。サクラバレエでも本人が望めば、『ダイエット』や『食事』などの相談にものりますが、それよりもバレエをとおして体のラインを磨いたり、『自分の軸をつくっていくこと』『ブレない心と体をつくること』『コツコツと積み上げること』『自分自身を自分で認められるようになること』『自分の価値を自分で決められるようになること』など『強い心』を育てることに主軸を置いてサポートしていきます。心が変われば、体も自然と変わりますから、この方が近道なんですね。
そして、最終的には自分を低く評価してきたり、攻撃してくる周囲の人に対しても、サラリとかわして、「あ~、この人も色々あるんだろうな~。大変そうだな~。」なんて温かい目で見てあげられたり、先生がなかなか評価してくれないな~と思っても「先生は実は本当は私のことを認めているんですよね?だけど生徒が沢山いるから、今はただ順番待ちなだけですよね?」と思えたり、逆に「先生~、早く私の魅力に気がつかないと、もったいないぞ♪」な~んて思えるくらい、強くなってくれると最高ですね。
次回の後編では、このタイプの人が実際に受けられるサポートについて、具体的にお話しして行きます。
なお都合により、次回からこの連載は毎週火曜日ではなく、毎週水曜日に変更させて頂きますので、ご注意下さい。
次回は6月29日(水)アップ予定です。お楽しみに♪
つづく
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