サクラバレエがスタートして、今年で5周年になります。
皆さんのおかげで、一昨年の10月には専用スタジオが無事にオープンして、スタジオ生も増え、今ではすっかり立派なバレエ教室になったなと嬉しく思っています。
サクラバレエに入会された方に、入会の動機をお聞きすると、ありがたいことに、
「フィットネスで桜先生のレッスンを受けて、(この先生のレッスンをもっと受けたい!)と思ったので、スタジオに通い始めました。』という方や、
「インターネットを見ていて、先生のブログを読んで、(この先生に習いたい!)と思いました。」という方が多くいらっしゃいます。
それと同じくらい、入会の動機として多いのは、
「サクラバレエは『大人のバレエ教室』ということだったので、気楽に始められるかなと思ったからです。」という方です。
そう、うちのスタジオは、大人の女性ばかりで、ワイワイガヤガヤ、とてもアットホームでお気楽なバレエ教室です。
教師と生徒も、そして生徒同士もクリスマス会などを通じて協力しあうことが多いためか、打ち解けたり、仲良くなったりするのは、一般のバレエ教室よりも早いと思います。
そういうチームワークの良さは、スタジオ生やそのご家族、外部の方からも、「スタジオの雰囲気がとっても良いですね。」という風に、良く言って頂きます。
また、このブログの『生徒さん達の声』シリーズでも、何人もの方が書いて下さっているとおり、教師と生徒もとても距離が近いです。
普通のバレエ教室では、教師と生徒の距離は遠いことがほとんどです。
通常ですと、それが良い緊張感をつくってくれるのですが、逆に悪い面もあります。
生徒が、困っていることを先生に直接伝えにくかったり、イヤなことを理由もわからずにガマンしなくてはいけなかったり、わからないことがあっても質問出来ずに、ずーっと曖昧なままでレッスンしてしまったりします。
また、緊張しやすいタイプの人や真面目な人は、先生が近くに来られるだけで緊張感から萎縮してしまって、上手く踊れなかったりすることも良くあります。
ですから、サクラバレエでは教師と生徒の距離は、通常のバレエ教室よりも、かなり近いと思いますし、気軽に質問してもらいやすい雰囲気を出来るだけ作るようにしており、実際、よく色んな人から質問を受けますし、「サクラバレエは先生に相談しやすい。」と喜んでもらえているように思います。
ですから、新しく入会された方や、小さい頃バレエを習っていて、先生に対して緊張しがちな人に対しても、
「うちは普通のバレエ教室じゃないから、私と話す時に緊張しなくて良いですからね。何でも相談して下さいね。」とお伝えして、必要以上に緊張しないように気を配っています。
けれど、そんなフランクなサクラバレエでも、緊張することが必要な時があります。
それは、レッスン中です。
バレエのレッスンはトゥシューズで踊れるようになることが前提とされていますので、つま先立ちになることが多いです。これは、初心者クラスでもです。
初心者クラスでは、まず、バーにつかまって、両脚でつま先立ちをする練習から始まります。
バレエのレッスンに慣れてきて、脚が強くなってきたら、つま先立ちする時間が少しずつ、少しずつ増えて行きます。
しかも、脚のどの筋肉を使ってつま先立ちをするのか、までバレエは決まっています。
ケガをしないように、脚に出来るだけ負担が少ない立ち方をするように、気をつける必要があります。
そして、筋肉がそれを忘れないように、間違えないよう、慎重に、丁寧に、毎週毎週レッスンして、脚の筋肉に安全な立ち方を教えます。
両手バーで、安全につま先立ち出来るようになると、今度はバーを片手で持ったつま先立ちに挑戦します。
全体重がつま先にかかるわけですから、ケガをしないためには集中力と緊張感、そして、上半身を一瞬で上へ引き上げる意識が必要です。
一瞬でも気が抜けるとケガにつながりますから、安全のために、教師はいつも目を光らせています。
やがて、初心者クラスから基礎クラスに上がると、今度は両脚でのつま先立ちから、片足でのつま先立ちへとレベルアップします。
ますます、緊張感と集中力、そして、上半身の引き上げが、必要になります。
バレエを習っていなければ、つま先立ちということを普段はあまりすることがないと思いますが、バレエのレッスンでは1時間の間に何十回も、このつま先立ちを行います。
クラスがもっと上の初級クラスや中級クラスになると、バーを持たずに片足のつま先立ちになることはもちろん、片足のつま先立ちでポーズを取ったまま、美しく1回転、2回転したり、さらにトゥシューズを履くようになると、片足の指先の1点だけを床につけた状態で、次々にポーズを変えながら、動いて踊っていく訳です。
まるで、綱渡りをしているような状態ですよね。
そのため、ものすごい集中力と緊張感、そして身体全体を上へ上へと引き上げ続けておく必要があります。
一瞬の気のゆるみで、あっという間に身体の状態が崩れてしまう訳です。
ですから、この『身体の引き上げ』というのは、バレエを習う人が、一番最初に教えてもらうことです。
筋肉が無意識に上に引きあがり続けることを憶えるまで、いえ、バレエを習っている間は、ずっと、この引き上げを意識し続ける必要があります。
だから、バレリーナの身体は、引き締まって美しく、重力に逆らうようなプロポーションであり、シャキッとした姿勢になる訳です。
バレエのレッスンというのは、どんなに簡単な初心者向けのクラスでも、ルルベ(つま先立ち)をしますから、バレエを習う全ての人に、この『引き上げ』というものが必要になってきます。
そして、身体を引き上げるためには、どうしても、緊張感と集中力が必要になるのです。
バレエの先生にピリッとした雰囲気の方が多いのは、と良く言われるのは、生徒に緊張感を持たせてあげて、レッスンや自分の身体に集中してもらうためです。
この緊張感や集中力をもって、身体を引き上げることは、トゥシューズを履いたり、美しく踊るには必要なことです。
サクラバレエは『大人のためのバレエ教室』で、レッスン以外の時間は皆さんリラックスされていますし、とてもアットホームなスタジオだと思いますが、レッスン中は緊張感を持ってレッスンすることや、自分の身体に集中することをお願いしています。
それはなぜかと言うと、『大人のバレエ教室』とはいえ、皆さん、レッスン料を払って、毎週レッスンに来られている訳ですから、やはり上手に踊れるようになることだったり、姿勢が良くなることだったり、スタイルが良くなることだったり、トゥシューズを履くことだったり、バレエ以外のダンスにテクニックを活かすためだったり、何らかの『目標』をそれぞれに持っておられると思うからです。
中には『緊張』するのが嫌いだったり、『集中』するのが苦手な方もいらっしゃいますので、そういった方には相談して、『ボディケアクラス』の受講を、お願いすることがあります。
『ボディケアクラス』はつま先立ちになることがほとんどありません。健康と美容のためのクラスですので、特別にレッスン中もおしゃべりOKですし、自分のペースでレッスンして頂けますので、自由な雰囲気がお好きな方や、バレエが上手になることが目的ではない方は、この『ボディケアクラス』の方が、ご本人も楽しめるのではないかと思うからです。
『危ないことは危ない』と伝えるのも、大切だと思っています。
長い目で見た時に、本当にその人のためになる事を伝えるのも、教師の仕事だと思うので。
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『緊張』と聞くと、イヤ~なイメージを持つ人が多いと思うのですが、スポーツを見ていて、息を飲む試合だったり、ピーンと張り詰めた空気の中で見事に披露されるお芝居や歌のステージだったり、芸術的に盛り付けられたお料理のお皿だったり・・・。
緊張感があるからこそ、ハラハラドキドキ、楽しめるものも沢山ありますよね。
『リラックス』と聞くと、良いイメージがある人が多いと思いますが、ずーっとリラックスしていると、生活にメリハリがなくて、ものたりなかったり、リラックする楽しさや幸せを感じる力も薄くなってしまうと思います。
ゆるむところはゆるんで、シャキッと引き締まる時には引き締めて、緊張感を楽しむ。
両方が出来たら、素敵ですよね。
バレエをとおして、そんな楽しみ方も身につけてもらえたら嬉しいなと思います。
今日のレッスンは何をするのかしら?
今日こそバランスをビシッと決める!
ドキドキワクワクしながら、スタジオに向かう。
そんな日々はきっとその人の宝物になると思います。