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これは昨日のつづきになります。

 

中学受験をやめて、高校受験にした子たちのはなし①

 

公立中に通う高校受験を目指す子(中3)の指導をしていたとき。

その子は私立の附属校(早慶マーチではない)志望でした。正直成績はあまり振るわず、学校推薦が取れるかどうかの内申点がギリギリ。あと1あげないといけないけど、上げるどころか落ちちゃうよ~という状態で、個別に入塾してきました。

 

とっても性格がよく、先生にも友達にも好かれる明るく素敵な子でしたがいかんせん、勉強しない。。。ゲッソリ

英語を担当していましたが、宿題を出しても出しても、やってこない。宿題といっても学校で提出する課題のワークとかです。プラスアルファを課しているわけではありません。

 

やる気がないわけではないのですが、部活とか、友人とのラインとかの誘惑に弱く、「やろうと思ったんですけど」と毎回言い訳から始まる感じでした。

 

仕方がないので私と授業中に課題を進めたりしていたのですが、私は作戦を変えて、授業点を稼ぐため、英語スピーチの指導をすることにしました。私が一緒に内容を考え、暗記するまで一緒に練習したり、想定問答を作ってそのスピーチにこう質問されたらこう返す、とかの練習を授業でやったのです。

 

加えて、教科書を先取りで解説しました。

英語がわからないうえに、日本語でも内容がわかっていない絶望。環境問題とか、世界の国の文化などが英語の教科書(公立なので検定教科書です)には載っていますよね?そういうとき、雑学というのか、教養というのかわかりませんがそもそもそのような「社会問題」に関心が無いし、知識として知らないから「英語の教科書が面白くない」わけです。

 

なのでそれらの社会問題の解説をしたり(私の専門中の専門は、本当は社会系なので)して、予備知識をつけていくようにしていました。すると彼女は授業中に発言できるようになり、例えば「マザーテレサ」が取り上げられていたりしたときも、どんな人だったのかとか、出身地とか、豆知識も披露できるようになったそうです。

 

最後、内申点の評定が出るという時期。私もひやひやで結果を待ちましたがなんと、見事に英語で上げてクリア!

そこでミラクルな採点が起きていたのです。。。

問題がある可能性もあるので、はっきりは書けないのですが、点数としてあり得ない点数がスピーチと授業点(意欲のところ)で加算されて、上がっていたのですポーン

 

マジですか!と思いましたが、本人にもご両親にも大変感謝され、彼女には文法力を上げるよりもそうやってスピーチなどで平常点稼ぎをした私の作戦は成功だったと思っています。

 

一方で、「これ、やっぱり不公平だよなー真顔」とも強く思いました。

当時、もう1人高校受験対策の同じ中学の子の国語を見ていたのですが、その子の英語の評定と私が見ている子の評定が同じだったからです。どう考えても素点としては圧倒的に私が英語を見ている子のほうが低く、これが同じ評定になるってちょっと納得いかないよなーと思ったのです。もちろん本人たちには言いませんが。

 

私の主観になりますが、正直、私が英語を見ている子のほうが圧倒的に先生にも友達にも好かれていたと思います。クラスの中心でお笑いキャラというか、天性の人を笑顔にする魅力のある子で、心根も優しいだろうなと感じさせる子でしたので。。。。

なので、やはりそういう「好かれる子」が得をするのではないか??と思った次第です。

 

それと並行して、もう一つその子を通して思ったことが。

 

それはその子も中学受験を途中で辞めた子、だったのです。最初はもちろん知らなかったのですが指導していくうちに、「先生、自分て日能研に通ってたんだよねー。6年の夏まで(夏前、だったかもしれません)」と言ってきました。

 

「え?そうなの?なんで辞めちゃったの?」と(関係性は築けていると思っていたので)聞いてみたら「もう、なんか嫌になっちゃって、めんどくさくなって。」と。続けて「だけど、なんであの時辞めちゃったんだろう、ってすごく後悔してる。戻れたらそのまま受験、チャレンジするだけは絶対する。」と言ったのですポーン

 

「日能研の先生も、もったいない、って言ってくれて、親も受けるだけ受けなさい、ってすごい言ってくれてたのにもうやだ、勉強したくないって言って辞めちゃったんだよね」と。

 

私は「でもその時、辛かったのなら仕方ないよ、今後悔しないで前向きにいこうよ」と言ったのですがそれに対してその子は

「違うんだよね、あの時なら簡単に入れた中学がさ、高校になったら今自分には絶対受けることも出来ないようなレベルになってるの。それが悔しくて。」と言ったのです。

 

あ、それか!と私は思いました。

日能研の中でも決してトップではなかったそうですが、どこも受からないような偏差値ではなかったそうです。

彼女が「安全校」と出来るような学校の高校が、高校受験となると推薦でも一般でも高レベルとなりそもそも当時の彼女の偏差値では受けることは出来ないレベルとなっていました。。。

 

そういう現象はかなりあります。

 

例えば、日大系、東海大系、専修大系、・・・中学受験での偏差値は40台のところもありますが、高校受験となるとぐっと上がります。先日の日本女子大付属も今は中学からのほうが入りやすいでしょう。

 

これが中央大系もかなりです。まあ中央大横浜や中央大付属などは中学受験でも人気なので高めですが、高校から入ろうと思うと各中学校で生徒会、部長は当たり前、オール5のような子たちも受けてきます。

進学校では桐蔭、桐光の場合も中学受験のほうが断然入りやすいです。

 

慶應、早稲田は中受がかなり厳しいので学校によっては高校からのほうが入りやすい場合もありますが、それでもそもそも高校受験で早慶を受ける子は開成や都立県立トップなどと併願していたりするのでこれまた選ばれたトップ層の子のみが目指す話。。。

 

高校からの募集の無い私立高校も多く、高校受験となると一気に選択肢が無くなっていくのが首都圏の現状だと思います。

 

もちろん、本当に出来る子、というのは別にどこからでも力を発揮するので関係ないのですし、中学から入ったら入りやすいとはいえ、高校から入った優秀な子に抜かされてしまう可能性もあるので先に入ればいいというものではないのですが、でも理不尽な内申点と闘い、併願優遇などの受験システムも熟知して組み合わせで作戦を立てるのは大変だなと思っています。

 

高校入学生のいるある高校の内部進学生から聞いた話ですが、

その学校では中学から入っている子は先生ともすっかり仲良くしていて、フレンドリーな空気があって冗談が飛び交う空気なんだとか。しかし高校入学生が混ざると、最初のうちは高校から入った子たちが先生のふとした質問などにも「はい!」と返事をしたり手を挙げて、授業態度が抜群に良い。先生たちには「お前たちも見習えよ~」と言われるそうです。ニヤニヤ

「ザ・優等生」「内申点を稼ぐ方法が染み付いてしまってる」のを見た感じ、とその子は言ってました笑い泣き

 

もちろんそれが全てではないはずですが、空気感の違いがあることもあるんですね。

 

公立中ですと、大半の学校のテストやレポート課題には「これは何を評価するものか」生徒にも親にもわかるような項目名がついていたりして、先生方も内申点に文句を言われないために、数値化に腐心している様子が見えます。

しかし私立中高で、先生の趣味に偏った自由で楽しい授業を受けてきてしまった私には「なんてつまらない授業、課題なんだろう」と感じてしまうのも確かでして。。。。

 

中には、お、この先生すごい革新的!みたいなテストを作っている先生もいるのですがそういう先生がどう評価されているかは難しいところだと思います。

 

話を戻しますと、その子は「中受しとけばよかったなー」と中3になって後悔し、さんざん日能研の先生と親に言われた「高校受験だともっと難しくなる学校があるぞ」と言われたことが本当だった、と実感した、ということです。

 

これが、私が中学受験をしたら、させてどこかに合格したら、そこへ進学させるほうがいい、と思う理由の1つです。

 

6年まで勉強して辞めてしまうのももったいないし、精神的に辛くなってしまったのならペースは落として志望レベルも下げても別にいいと思います。もちろん、心と身体が一番大切なのでそれが壊れないように撤退することも時には必要ですが。

 

ただこの子の場合には、もうひと踏ん張り親がなだめすかして続けさせても良かったのかなと思います。

本人も、「6年で受験勉強辞めたけど、中学入ったらどうせすぐに高校受験になるし」と言っていました。

 

何がその子、家庭にとって一番良いのかは本人たちにしかわからないというのは大前提として、私個人が「高校受験より中学受験を勧める」理由の1つのエピソードでした。

 

明日、もう1つ別のエピソードを書きたいと思います。