原作・綾辻行人 漫画・佐々木倫子「月館の殺人」
電車嫌いだった母親の影響で、今まで一度も電車に乗ったことのない女子高生・空海。
その母が2か月前に死去し、天涯孤独になった彼女のもとに、ある日、北海道から弁護士の中在家が訪れる。
彼は空海に祖父が健在であること、北海道まで会いに来て欲しいことを伝える。
手渡された切符は、稚瀬布駅20時40分発の特別急行〈幻夜〉号。
まだ見ぬ祖父に会うため〈幻夜〉に乗り込んだ空海。
ところが、彼女以外わずか6名の乗客はあまりに奇妙。
しかも初めての北海道・雪・列車と、沖縄育ちの空海はただただ混乱するばかりなのだが、そんななか事件が起きて…!!
●主な登場人物
- 雁ヶ谷空海(かりがや・そらみ)沖縄の女子高生。17歳。唯一の肉親である祖父に会うため〈幻夜〉に乗り込む、
- 日置健太郎(ひおき・けんたろう)空海が駅に来る途中、偶然知り合った〈幻夜〉の乗客。会社員。26歳。鉄道考古学テツ?
- 杉津治彦(すいづ・はるひこ)フリーター。30歳。乗りテツ?
- 竜ヶ森集(りゅうがもり・しゅう)大学生。23歳。模型テツ?
- 今福健至(いまふく・けんじ)獣医。35歳。コレクションテツ?
- 沼尻孝一(ぬまじり・こういち)市職員。24歳。時刻表テツ?
- 中ノ郷清(なかのごう・きよし)エンジニア。40歳。撮りテツ
原作は、「十角館の殺人」の綾辻行人さん
漫画は「動物のお医者さん」の佐々木倫子さん
両方とも好きな作家さんで、随分前(20年近く前!)に購入して読んだのですが、
引っ越しの際に手放してしまいました。
面白かったという記憶はあり、もう一度読んでみたくて、図書館にあったので借りてみました。
読んでみたら、内容をほとんど覚えていなくビックリ。
当時の一番の感想は、
「鉄道オタク」って怖い。。。
その後、マスコミでも報道するようになった撮り鉄の迷惑行為、
コレクション鉄?の泥棒行為もありましたね
そんな印象しかありませんでしたが、
改めて読み返してみるとなかなか面白かったです。
「月館」というのは、「つきだて」と読みます。
綾辻行人さんの「館シリーズ」系かと思いきや、舞台は列車で「館」ではありません。
特別急行〈幻夜〉は、荷物車以外はオリエント急行の車両です。
それを引く機関車は、伝説のD51。
最初に読んだ時より今の方が鉄道に興味があるし、「オリエント急行殺人事件」を再読後なので、とても興味深かったです。
こんな列車、私も乗ってみたい…
上下巻にわかれていますが、上巻は主に鉄道オタク話。
下巻は怒涛の展開に。
一番大きなトリックだと思っていた部分、上巻のラストと意外と早く出てビックリ。
そして後半の凄惨な殺人は、綾辻さんらしいなぁ~と思います。(「時計館の殺人」を思い出しました)
佐々木倫子さん特有のギャグやテンポのせいで、綾辻行人ファンからは賛否分かれるらしいですが、
私的には佐々木倫子さんのおかげでシリアスになりすぎず
そして綾辻さん特有のちょっと現実離れした設定も、違和感なく入り込むことができました
肝心の推理の方は、「怪しいな」と思う人はかなり予想ができましたが
「みんな本当に死んでいないのでは?」
という疑問がなかなか消えなかったのは、漫画だからこそ、かも・・・。
(描写はすごく上手なのですが、顔色などはわからないので…)
でも漫画だからこそ、伏線がきちんと描かれていて
後で何度も戻って確認してしまいました。
面白かったです。
最後に「テツも結構いい人達だよね」、、、
とはならないところが、佐々木倫子さんの味ですね~。
※レビューで「綾辻行人のあとがきが読みづらい」と書かれていたので
さがしたら、予想外の部分でしたね
そして確かに、読みづらい