近藤史恵「サクリファイス」
ぼくに与えられた使命、それは勝利のためにエースに尽くすこと――。
陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。
そしてヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。
アシストとしてのプライド、ライバルたちとの駆け引き。
かつての恋人との再会、胸に刻印された死。
青春小説とサスペンスが奇跡的な融合を遂げた!
大藪春彦賞受賞作。
近藤史恵さんの作品は大好きで、いろいろ読んでいるのですが
この作品は「自転車ロードレース」が舞台ということで、敬遠していました。
が、読んでみたらすごく面白い!
一章ごとにレースの駆け引き、チーム内の揉め事や疑惑などあるので、
軽いストーリーが好きな私は、一章ごとに疲れてしまって
最初のうちは読むのがすごく遅かったのですが。
後半、ヨーロッパ遠征からは一気に読み終えました。
今まで知らなかった自転車ロードレースの世界が、とても面白い。
そして疑惑の解明が二転三転。
ラストは衝撃的ではありますが、後味の悪さはありませんでした。
サクリファイス sacrifice
犠牲になる、犠牲にする
犠牲、いけにえ、損失
なかなか奥深い題名です。
主人公の白石誓は好みですね。
読んでいてイラついたりすることがない、好感がもてるキャラクターです。
ネタバレになるので書けませんが、一見ハッピーエンドのあの二人は
この先の人生うまくいくとは思えません。
お互いの傷をなめ合っても、その関係は一時的でその先は破滅です。
シリーズになっていて、4冊一気に読んだので
またレビューを書いて行きたいと思います。
