近藤史恵「シャルロットの憂鬱」 | 読後つれづれ

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読んだ本の感想など

 

シャルロットの憂鬱 (光文社文庫)

 

シャルロットは六歳の雌のジャーマンシェパード。警察犬を早くに引退し、二年前、浩輔・真澄夫婦のところへやってきた。ある日、二人が自宅に帰ってみると、リビングが荒らされており、シャルロットがいない!いったい何が起こったのか。(表題作)いたずら好きでちょっと臆病な元警察犬と新米飼い主の周りで起きる様々な“事件”―。心が温かくなる傑作ミステリー。

近藤史恵さんの「バ・マル」シリーズが好きなので、他の作品も読みたいと思い、犬が好きなのでこの本を選んでみました。

6つの短編が終了されています。

 

『シャルロットの憂鬱』

浩輔と真澄夫婦のもとへやって来たシャルロット。警察犬だったシャルロットはとても賢く、吠える時は必ず何かしら意味がある。

しかし、ある日家に空き巣が入ったのだが、シャルロットは吠えなかった・・・。

 

『シャルロットの友達』

シャルロットの友達で、公園でよく会うチワワのミリー。

他の犬に対して火がついたように吠えるミリーを、飼い主の老女は止めることなく近づける。

ある日、とうとうシャルロットが鼻を咬まれてしまった。なぜ老女はわざわざ吠える犬を近づけるのか・・・。

 

『シャルロットとボーイフレンド』

シャルロットがよく行くドッグランに時々来る、柴犬のハナちゃん。

ある日真澄はハナちゃんとおぼしき柴犬を保護するが、本物のハナちゃんは飼い主の女性と家にいた。

ではハナちゃんの首輪をしていたこの柴犬は一体・・・。

 

『シャルロットと猫の集会』

睡眠障害でなかなか眠れない真澄は、早朝にシャルロットと散歩へ行く。

いつもと違うコースを歩いてみると、野良猫がたくさん集まっていた。

ある朝、そこで真澄はバイクに轢かれてケガをした猫を保護する。

ケガをする危険もある道路で、なぜ猫たちは集まるのか・・・。

 

『シャルロットと猛犬』

近所に新しく飼われたという土佐犬のミックス犬。

闘犬の遺伝子を持つ土佐犬を、飼い主がきちんと躾けられるのか心配になる真澄。

ひょんなことでその土佐犬小夏の家を訪問することになる。

そこの家にはまだ小さな赤ちゃんがいて・・・。

 

『シャルロットのお留守番』

庭に侵入者の足跡を見つけた浩輔。

用心のためシャルロットを庭で留守番させることにしたが、何度も足跡を発見するのにシャルロットは吠えたことがない。

誰が何のために侵入するのか。シャルロットはなぜ吠えないのか・・・。

 

 

どれも小さな謎で、ミステリー好きには少々物足りないかもしれません。

でも犬好きな人、犬を飼っている人なら「わかるわかる!」というところが多々あり、心が温まります。

(犬の名前を使って○○ママ、と飼い主を呼ぶことや、顔見知りなのに住んでいるところを意外と知らない、など)

犬を飼っている人の悩み、生き物を愛する人の葛藤なども感じられます。

一点不満は、シャルロットが大型犬だけに、小型犬に対する表現がちょっと冷たいかな・・・と思います。

(冒頭で浩輔が「飼うなら大きい犬がいい。チワワやトイプードルは絶対嫌だ」と発言)

我が家は小型犬を飼っているので、小型犬だってちゃんとしつけてるし、かわいいんだよ・・・と呟いてしまいます。

謎自体は軽いですが、思い出した時に読み返したくなる暖かい本だと思います。

 

 

 

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