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009/俺たちの子育て/第二反抗期は子どものチャンスを台無しにする

小学校の入学式を迎えたわが子。式の後いよいよ各教室に集まります。さあ小学校生活6年間の始まりです。

担任の先生のお話しを聞いている娘の表情を今でもよく覚えています。廊下から見える横顔はとても嬉しそうでした。しばらくその横顔を見た私の視線は、カメラのように教室をぐるっと旋回する。――ところで、どんなクラスメートなのか。

後に知ることになる学校名が並ぶ偏差値一覧のわずかな差を気にするのと同じで、無意識のうちに他人と比較してしまう癖があるのです。偏差値一覧の差なんて、紙の上で測るとたった数センチの差です。10センチ違えばそりゃ目に見えて違うのでしょうけれど、1センチや2センチの違いに狂乱する中学受験は、何も特殊事情がそうさせるわけではなく、自然なことなのです。私たち大人は小さい頃から「比較」することを習慣付けされてきたのです。

新芽のような1年生たちを見渡すその目は、自分の娘を基準として見ています。ややあごが上がったり頭が左に傾いたりしながら大まかに全体をチェックする。全員知る必要なんてない。濃い色の子と薄い色の子だけ見れば娘の立ち位置がわかるのです。容姿、あたまの良し悪し、背丈の順に比較する。余程のことがない限り容姿では食べていけないのはわかっているけれど、それでもやっぱり一番気になるのです。

「トロフィーワイフ」という言葉は、この国の文化が積極的に使うことを阻んでいるだけで、成功者の何割かの本音なのでしょう。自分を飾りたいという欲求は女性のアクセサリーにも現れているから、その欲の範囲と本音の兼ね合いなのかもしれません。

子どもはどうでしょう。「可愛い子を連れて歩きたい」と思うことはいけないことなのでしょうか。「トロフィーチャイルド」と言えば文化が許さないけれど、「この子の幸せを願う親心」と言えばまかり通ってしまうなら、ただの言葉遊びに過ぎないと思う。

自分の子の容姿を客観的に見た評価は、かなり怪しい値です。「親バカ」なんて言葉がありますが、もうそこらじゅうバカだらけです。入学式を見渡した私の目から見て、「だってその顔が可愛いわけないじゃん」という子が99パーセント。向こうからはうちの子がどう見えているのでしょうか。

でも、そこそこで良いのです。何も大層なことを望んでいるわけではなくて、端から「雰囲気美人」を目指している。私と妻の顔を溶かして固め直して出来上がるわけだから、雰囲気美人狙いが妥当なのです。美人と違って雰囲気美人は後天的なものだと思うから、よく笑い健康であれば磨かれていくのだろう。――このとき、そこに「自己肯定感を持つこと」が欠かせないことをまだ気付いていなかったのです。

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垢抜けた子というのは、どこか自信を持っているのです。ピアノのコンクールで賞をとった、水泳なら負けない、公文ではかなり先取りしている、よく可愛いと言われる、自信を持つ理由は様々だけど、どこかで自分を褒めているのです。

「自分は結構スゴイ」と。

それが顔に出るとき、嫌味な方向に出る子と、さらに念押しで褒めてあげたくなる子に分かれる。

うちも垢抜けたい。嫌味のない垢抜けた娘を見てみたい。何かに自信を持ってもらいたい。しかし、見渡してもまるで見当たらないのです。ピアノで賞をとるタイプじゃない、そもそもピアノを持ってない。金銭的な面を除いて考えても才能をみせてくれそうな習い事が思い浮かばない、ピンとくるものがないのです。

よく考えると、習い事をしている殆どの子が「それ埋もれるでしょ」というケースだと思うのです。どの世界も先っちょツンツンのピラミッドで、頭3つも4つも抜きん出る子は存在し、差がありすぎてとても敵わない。幼稚園や小学校低学年の子が、自らの意志で毎日努力し続けるなんて考えにくいから、この頃の抜きん出た子は本物なのです。もう少しして強い意志を持つときがくれば、才能に努力まで上乗せされてしまい手がつけられなくなる。習い事も高いレベルになると続けるだけでもかなりのお金が必要だから、お金・才能・努力の三拍子揃った子は、同じような境遇の子と競うのでしょう。下々にはまるで無縁な話なのです。


親は生活を成り立たせることが何よりも優先する。それだけでも結構大変なのに、子どもを健康に育てるだけじゃダメだとなると、もう何も妙案がなくて時間だけがルーズに過ぎていく。

「比較」することを習慣付けされて大人になったからこうなる。垢抜けた子を持ちたいと、子どもをトロフィーにするからこうなる。けしからん話だ。性悪説? 性善説? どっちも関係ない? ――混乱してきた。

そうしてまた誤魔化す。

人生、誤魔化してばかりだったから、慣れたものだ。いや、習慣のようなものだ。

2017.10.20

桜井信一

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