ANAインターコンチネンタルホテル東京の「水スイート」に滞在した時、ホテル内にある日本料理店『雲海』にて粋な初夏のコースを楽しんできました。
▼今回は今春に完成した最新スイートルーム「水スイート」に宿泊しました▼
『雲海』は、1986年6月のホテル創業時から営業している日本料理店で、ANAインターコンチネンタルホテル東京の歴史と共に歩んできました。ホテルのの3階に位置し、多くのVIPに愛されてきた名店は、今もなおその輝きを放っています。
▼雲海での食事はインスタグラムのリールでもご紹介しています▼
エントランスにはクリアな造作のモダンなつくばいがあります。今回訪問した時には、金魚のカタチをした愛らしい山車燈籠が迎えてくれました。
金斗雲のようなモチーフの燈籠も。
日本料理『雲海』は、旧芝離宮の恩賜庭園を模した四季とりどりの草花が奏でる風情を指す「四季八方見」という思想を取り入れた360㎡の人口地盤庭園に隣接して建てられています。若い頃雑誌で見た景色は、昔も今も憧れの光景となっています。
池には錦鯉が約50匹ほど放たれ、その優雅な姿を見せてくれます。以前食事をしていた時に亀がいたこともあったんですよ。溜池山王という東京のど真ん中だというのに、この自然と共生した景色が見られるのはまさに贅沢の極み。
個室の座敷だけでなくもっとカジュアルに利用できるテーブル席もあります。
席からお庭も見えて素敵です。書や絵画などもお高そう💦
ホテル内の日本料理ということで敷居が高そうなイメージがありますが、数量限定ではありますが「彩り膳&和スイーツディナープレート¥ 8,850」からあるって嬉しい。その他「想会席 ¥11,000」「恵会席 ¥16,500 」「悠会席 ¥19,800 」「愛会席 ¥27,500」があり、幅広い用途で使えそうですね。今回は「悠会席」をいただきました。※それぞれ別途13%サービス料がかかります。
今回は吉安健料理長が出張中とのことで、西本広史副料理長が丹精な料理を作ってくださいました。お話したところ知識も豊富で、料理長が厨房を任せるのも納得です。
先付三種
茅の輪飾り 夏越祓
わぁ〜、やはり和食は一歩先の季節感を大事にしていますよね。今回は5月末に訪問しましたが、6月の行事にちなんだ料理もいくつか登場しました。代表的なのはこれ。茅の輪くぐりで夏の汚れを落と無病息災を祈ります。
氷室玉蜀黍 秋田新じゅんさい とまと 美味出汁餡
輪っかを外すと、中には玉蜀黍で作った豆腐のゼリー寄せが登場しました。じゅんさいと共に、つるるんとした喉ごし良い豆腐は、最後の玉蜀黍の風味が広がります。甘さも優しい。涼やかなガラスの器も良いですね。
名残蕨と蓮根 あすぱら 葛素麺 ひばり和え
「ひばり和えって何ですか?」とまず聞いてしまいました。 雲雀(ひばり)がなく頃に空豆が旬を迎えることからこのように言われるそうで、そら豆を使った和えたものを指すそうです。蕨やアスバラなどが入っていました。
白魚と牛蒡のかもじ
揚げた白魚・牛蒡・揚げ春雨がゆかりで和えられていました。それぞれ違った食感、味わいの3種の前菜で季節感も明快。良いスタートです。
御椀 梅雨仕立て
牡丹鱧と青梅 揚げ豆富 根由がり竹の子 口、梅肉
旬の短い根曲竹の子はこの季節限定。ふわっと骨切りされ花開いた鱧も優雅です。
梅肉でさっぱり味わいを整え、初夏にぴったりの出汁が優しく体に染み渡ります。梅雨仕立てなんていうのも粋ですよね。和食は日本人の叡智が込められている感じで、食べながらいつも勉強になります。
吉安料理長は普段からかなり器にもこだわっておられていますが、ちょうど季節のテッセン柄の輪島塗でした。美しい。
造り
お造りは氷を張った器に盛られて登場しました。涼しげな演出ですね。
本鮪 初かつお 障泥烏賊ととりゅふ濃厚玉子
酢メかます焼霜 利休鯛の粽寿司
芽物いろいろ 有東木の山葵 土佐醤油
お造りもそれぞれ違う料理法で丁寧に作られ、ここまで凝って出してくださると本当に嬉しい。それぞれのお魚の最も美味しい食べ方でいただけた感じです。かますはふわっと焼霜で仕上げられ、お酢で締めて爽やかな味わい。粽寿司の笹を自分でむいて食べるのも、なんか風流。酢のきいたお寿司がさっぱりでいいですね。
焼物
最近はフランス料理などでも鮎を出すようになりましたが、やはり和食の鮎はいいですね。夏の風物詩とも言える鮎は炭火焼きにし、仕上げにヒバで燻して香り付け。
活け鮎炭火焼き
燕生姜 岩手蔵出し味噌 蓼酢
自分で器に取り出しましたが、味噌には燕の型をした生姜が添えてあるというなんとも粋な取り合わせ。またこの蓼酢が美味しく、たっぷりつけていただきました。
進肴
蝦夷蒸し鮑と無花果北海道ばたー焼き 焼き檸檬
鮑は柔らかく蒸してバターで風味よく焼かれていまいした。レモンは火を入れると少し酸味が優しくなるのかな。濃厚なバターと爽やかな酸で夏の鮑に。下にはいちじくが入っていて、これまた甘く濃厚な鮑と融合していました。
鮑の肝あえには日本酒もちょっと欲しくなる。ガラスの器がこれまた涼しげです。
ホテルオリジナルラベルの日本酒なんていうのもあるので、雲海にいらしたら是非飲んでみてください。かなり飲み口のいい日本酒でした。
伊万里の可愛らしい器で登場したのは焚き合わせです。
炊き合わせ
麦藁蛸柔らか煮 新じゃが 南瓜 浮き人参 千石豆 木の芽
麦藁蛸は柔らかく、しっかり出汁の味や甘味が入っています。甘味がしっかりした田舎風とでも申しましょうか。しかしながら、味わい深く日本酒ともよく合いました。じゃがいもの味は出汁と反対に優しく、南瓜は絞って最後に盛り付けられ、味の強弱があって美味しくいただきました。こういう味が美味しいって思える日本人に生まれてよかったと思った一品。
食事
近江牛と九条葱 肉吸い茶漬け 薬味
土瓶に関東出汁茶 香の物
これまた料理長のちゃめっ気たっぷりの遊び心が生んだお茶漬け。肉吸いって大阪のあのソウルフード。私も並んで食べた千とせの名物です。まさか雲海で登場するとは!!
そば出汁のようなしつかりした味わいの出汁が注がれると、器の中に入ったサーロインに優しく火が入ります。あ、ソウルフードと言いましたが、やはり雲海では素晴らしい近江牛で登場し、お肉と出汁の美味しさに唸りました。
水菓子
雲海自家製抹茶かき氷
あんこと白玉 季節のフルーツ
そして日本料理の最後に出すだけでは勿体無いくらい完成度の高いかき氷。宇治抹茶を使った特製抹茶ミルクソースのバランスが良くて、これを目当てに来店する方もいらっしゃるのも納得です。あんこの美味しさもさすが。夏季限定でいいんですが、雲海カフェをやってほしいくらいの美味しさでした。
都会の夏の庭を愛でながら、目の前には丹精で時には遊び心のある日本料理を、風情たっぷり楽しませていただきました。
【ANAインターコンチネンタルホテル東京関連記事】
東京都港区赤坂 1-12-33 ANAインターコンチネンタルホテル東京3階
TEL: 03-3505-1111
アクセス: 東京メトロ銀座線・南北線「溜池山王」駅下車徒歩約 5 分