資生堂が経営するイタリアンレストラン『FARO(ファロ)』。ミシュランガイド東京で2年連続1つ星を獲得し、2022年度版では、最先端でサスティナブルな取り組みにも積極的に取り組間れているレストランに与えられるグリーンスターも獲得しました。

 

 

資生堂ビルの10階にあり天井が高く、青を多用した気持ちいい空間。私はこちらにいると豪華客船で過ごしているような錯覚に陥るのですが、灯台の意味を持つ店名『ファロ』はそんなラグジュアリーな船旅へも誘ってくれるているかのようです。

 
 
『FARO(ファロ)』は、2018年にローマの「bistro64」の能田耕太郎氏をエグゼクティブシェフを迎え、イノベーティヴなイタリアンダイニングとして生まれ変わりました。ヴィーガンへの取り組みも早く素晴らしかったのですが、コロナでさらに強くなったレストランの一つでもあり、料理・チームと共に飛躍的に成長しています。能田耕太郎氏をエグゼクティブシェフは、現在も日本とローマを行き来し、まさに国際的に活躍されるスターシェフです。
 
ショープレートは、新潟のササゲ工業の「海に浮かぶ月」。灯台から見渡す海に浮かぶ月をイメージしたアートなプレートで、ファロの物語がスタートします。ファロでは日本の良いものでお料理が構成されています。日本各地の素晴らしい食材で作られたお料理が日本の職人達が作った器に盛り付けられて出てきます。もちろん空間も。
長年海外にいらした能田シェフだから見直すことのできた日本が表現されています。
 
傍にはおしぼりも。
 
 
ファロの卓上には、いろいろな模様や色のりんごのオブジェが置かれていますが、愛媛県 天草薫『十陶十食』の作品も添えられています。小さくても存在感のあるテーブルオブジェです。
ファロのお料理は、「ヴィーガンガストロノー」「ガストロノミー」の2種のコースがあるのですが、ファインダイニングでウィーガンをいただけるところは皆無ですし、能田シェフのパッションを傾けているものでもあります。また最初にいただいたヴィーガンがとても素晴らしかったので、ついここではヴィーガンをオーダーしていたので、今回初めてガストロノミーを体験しましたが、これぞ真骨頂ともいうべき素晴らしさでした。
 
 
サンセット
今回はノンアルコールペアリングでお願いしました。沖縄ティーファクトリーのラインナップです。香りや味わいなどが控えめで、何にでも合う万能な琉球紅茶サンセットからスタートです。
 
 
熟成生ムハとニョッコフリット
エミリアロマーニャの郷土料理です。空洞に揚げたパンに生ハムを挟んでいただくお料理ですが、ファロではカマチ陶舗の器でスタイリッシュに、まるでアートのように登場しました。生地を軽〜く揚げ、スライスした30ヶ月熟成のパルマ産を贅沢に乗せています。舌の温度でハムの脂が溶け出し旨味に変わります。とろける生ハム!!魅力的でしょ♪贅沢すぎるニョッコフリットにご満悦素敵なスタートとなりました。
 
 
 
八寸
日本の伝統工芸文化の残る北越の小京都とも言われている加茂。その加茂の組子を使ったお皿には、可愛らしい小さなアミューズが並べられていました。
 
原木椎茸をシュエし、檜の香りを纏わせポルチーニの出汁で煮揚げた黒米のチップスと合わせています。力強いきのこの香りと味わい、二つの食感が楽しめました。
 
可愛らしいのは、金柑の昆布茶マリネ金美にんじんのマリネ。華やかな金柑やにんじんの味わいに、発酵させた黒ニンニクのペーストで華やかなパンチを加えていました。
下には軽い食感のチップス。八寸のお料理には覚醒が添えられていましたね。
 
カカオの香りを抽出した寒天でコーティングされたまるでボンボンショコラのようなお料理。ほろ苦い風味の後には、甘く火を入れた下仁田ネギの味わい広がりました。アクセントにはピーナッツとカカオニブ。甘味とほろ苦さの一口でした。
 
細かく刻んだ辛子なと水菜を合わせクロレラパウダーのアクセント。これまた薄〜い生地に味噌とチコリのジャムを添えて和風の香りが花開くような味わい。
 
 
逗子産イバラガニと赤カブのマリネ
「タラバガニ科」のカニですですが、甲羅にトゲがありイバラという植物に見た目が似ていることから「イバラカニ」というとか。私も初めていただきましたが、とても珍しい蟹で、タラバガニより味わいが濃厚で身もしまってるように感じました。
 
菜の花が添えられ春らしいですね。赤かぶのマリネを合わせ、表面を橘のゼリーで覆い、トマトやディルの爽やかな酸味や苦味、そしてマイクロディルでイキイキとした華やぎも加えらています。ゆっくり春の足音を感じるようなお料理でした。
 
 
ダージリン
軽い味わいのダージリンは柑橘やハーブの華やかさと合わせて。
 
 
パンは表面はそんなに厚くないんですがパリっと香ばしく、中はモチモチな仕上がりです。小麦粉の風味も高く、何も付けなくても美味しくいただけるパンです。添えられた昆布バターの味わいとも相性ばっちり。めっちゃ美味しい♡
 
 
じゃがいものスパゲッティ

能田シェフが「テイスト・ザ・ワールド(アブダビ)」の最終コンペティションにローマ代表として出場し見事世界一に輝いたお料理です。揚げたジャガイモのカリカリ感とシャキシャキ感の残るジャガイモが印象的。ビーツのパウダーとロックチャイブを合わせています。発酵バターとコラトゥーラでちょっとしたニュアンスをだしたソースでいただきます。シェフはいつもちょつと違う形で出してくれますが、前回はトリュフと。そして今回はキャビアと共に。こちらもカマチさんの器です。

 
 
ヌワラエリアにほんの少しお砂糖を入れて持ってきてくれましたが、ジャガイモのパスタと一緒にいただくと、口の中が軽くなりジャガイモの甘さを引き出されます。ヌワラエリアによって油分がさっぱりと流され、微かな砂糖がさらにジャガ芋の甘さを引き出した感じ。わからない程度に入れたお砂糖など、絶妙のペアリングでした。
 
 
タリオリーニ 黒トリュフ パルミジャーノ
トリュフで麺が覆われているって凄くないですか?!ほんの少しパスタが見えることでやっとパスタだとわかります。卵と相性のいいトリュフは卵を使ったタリオリーニと合わせて。ソースはパルミジャーノとペコリーノで作られています。チーズやクリームの濃厚な香や味わいと共にトリュフの香りを纏いより香り立つように口の中に入ってきます。
 
 
ウバ
サロメチールの香りのするウバは、チーズが口の中で固まらないように温かな状態で持ってきてくださいました。木製の器で持っても熱くありません。
 
 
メジナのソテー 泡立ちミルクと芽キャベツ
新潟県村上市の高橋喬士氏の器に盛り付けられて登場しました。
 
メジナは皮を香ばしく焼き、肉質のしっかりしたものが登場しました。旨味も強くして、しっかり堪能しました。ソースにはリコッタチーズとモッツアレラの柔らかな味わいでしたが、泡になっていたので口当たりも優しいく香りも広がりました。加賀蓮根や芽キャベツがスパイスオイルを使い良いアクセントに。甘い野菜がソースとも良くあっていました。
 
 
アールグレイ
アールグレイは、無糖のものと、大豆の煮汁で甘さを加えたもののダブルペアリング。
大豆の煮汁を入れたペアリングなんてとても面白いですね。
 
福井県の高村刃物製作所のステーキナイフは好きな色を自分でチョイス。今回は赤をチョイス!
 
 
茨城県産かすみ鴨ロースト 里いもとごぼう
どっしりとした風合いでありながらも不思議な存在感のあるプレートは、岐阜は美濃焼の丸克陶苑のジェダイプレート。圧倒的な存在感ですよね。
 
このお肉が素晴らしかった!!ナイフを入れる前に少しお肉を移動したのですが、それだけでしなやかさがわかります。「柔らかっ!」とびっくりしてしまいました。食べた瞬間に感じる柔らかできめ細かな肉質と香ばしい焼き上がり。お肉の旨味にごぼうの甘さが良くあいます。ガルニチュールはバターでソテーした里芋と黒トリュフという豪華版。フォンドボーとイタリアンパセリの2色のソースでバリエーションが広がります。
 
 
月夜の香り
お肉にはタンニンの強い月夜の香りが力強いお肉とも良く合いました。
 
 
ミルクからあふれる赤い果実のかおり
奈良の路地栽培のいちごに岩手県場の中洞牧場牛乳を合わせたデザートです。とろけるようなメレンゲと優しいミルクの味わい。ほのかに感じるいちごの香り。真っ白ないちごのデザートですが、可憐な乙女な味わいの残る優しいデザート。
 
 
日本の里山 花のタルト
最後は、パティシィエの加藤峰子産のトレードマークともいえるお花のタルト。40種類ものお花が使われていて、どんな風に盛り付けたんだろうと感心してしまうタルトです。見た目も美しいですが、花に近づけると華やかなお花の香りがします。
 
 
チーズケーキプリマベーラ
3月8日の「国際女性デー(International Women's Day)」は、イタリアでは「ミモザの日」と言れ最近日本にも浸透していますが、そのミモザをイメージした作られたデザートです。豆乳のクリームチーズのムースと野菜とかぼちゃのスポンジにタルト生地を敷いて。峰子さんは『銀座百点』にこのミモザの日に関して、イタリアでの過ごし方や次世代につなぐ女性の生きた方、どんな風にバトンを引き継いだらいいのかななどの考え方などにも触れられていました。私も会社で女性ということでさまざまな差別を受けてきましたし、また女性差別を感じます。「国際女性デー」が特別な日が浸透するのもいいですが、女性に真の平等と活躍の場が増える日が来るといいですね。
 
 
月夜の香り
こちらの紅茶は油との相性もいいのでミルクを入れていただくのもおすすめです。
 
 
最初の食べたヴィーガンコースがとっても面白く、今まではヴィーガンをいただいてきましたが、今回初めてガストロノミーコースをいただきました。ヴィーガンは色々規制がありますし、工夫という点がかなり面白く、ヴィーガンでここまでできるとは!という驚きがあるのですが、ガストロノミーコースでは、素のチームファロの技術力とクリエイティブが楽しめ、まさに能田耕太郎シェフの真骨頂ともいうべきコースです。空間はもちろん、サービスのクオリティも高く、どんな用途でも安心して胸を借りられる頼もしいレストラン。銀座で日本各地への旅気分が楽しめるレストランです。
 
 
 
東京都中央区銀座 8-8-3 東京銀座資生堂ビル 10 階
0120-862-150(フリーダイヤル)/03-3572-3911
日曜日/月曜日/夏季(8月中旬)/年末年始定休

FAROイタリアン / 新橋駅銀座駅東銀座駅
夜総合点-