くまさんパンツ | 瑞目叶夢の小説【台本】置き場

瑞目叶夢の小説【台本】置き場

エブリスタで掲載中の小説の中でもSpoonで声劇や朗読台本として使っていただいても問題ないものを置いています
小説として読むだけでも良いですし
使っていただいてもいいです、使っていただく場合は、聞きたいので教えていただけると助かります

私は小さな頃に夏休みで
田舎に預けられた、仲良しもおらず好奇心で裏山に一人で登っていた日だった。

「あれ?何だろ小さいボロボロのぉ……社?あ!後ろの木おっきー!登ったら景色いいよね!でもスカートなんだよなぁ、うーん、でも周りに人いないし………」

考え込む

「ふふ、登っちゃお!」

「よい、しょ!」

ゴォっと風が吹く

「きゃ!おちちゃう!」

「何やってんるんだよ」

「あれ?落ちてないふわふわって……うわ!いたたたた」

足音

「くまさんパンツがご神木に登るなよ」

「パンツ見ないでよ!」

「見たくもないの見せたのお前だろ」

「なんですって!」

「落ちたの助けてやったのにお礼もなしか?」

「え?あのふわっとしたの、貴方がやったの?」

「ああ、俺だ」

「へ!すごい!魔法!?」

「俺は神様だからな!」

「神様なの!?すごーーーい!」

「そうだぞ、本当は御神木に登ったお前に罰を与えなきゃいけないけど、俺は優しいから罰は与えないんだよくまさんパンツ」

「む!私は友梨佳って名前があるの!」

「お前はくまさんで十分だろ」

「ひどい!パンツで呼ばないでよ!」

「やーだねぇ!」

「意地悪!」

「ん!せっかく御神木の上まで運んでやろうと思ったのにもう運んでやらねぇ!」

「え!あの木の上みたい!ごめんね!謝るからつれてってぇ!神様ぁ!」

「ふ、仕方ねぇなぁ、よっと」

「わわわ!すごい!浮いてる!わーー!一気にてっぺんだぁ!いい景色ー!」

「すごいだろ!くまさんには特別だぜ」

「またくまさんって言う!でも確かに一人じゃ来れなかったや!ありがとう!神様!」

「ま、まぁまた連れてきてやってもいいぞ!」

「ほんと!?」

6時のチャイム


「あ!もう帰らなきゃ!」

「なら下ろしてやるよ」
「神様!また来ていい?」

「え、あ、おう!また来いよ!」

「ありがとう!」

場面展開

「かーみーさーまー!あーーそぼーーー!」

「来たなくまさん」

「もう!私は友梨佳!」

「くまさんはくまさんだ」笑いながら

「もー!まいいや遊ぼ!神様!」

私は毎日遊びに行った。


「あ!うさぎ!」

「俺が捕まえてやるよ、えい!」

「うさぎがポカンとしてる」

「俺が見えないからだよ!ほら抱っこしろ!」

「ありがとう!あ、暴れだしちゃった!あ、逃げちゃったぁ」

「くまさんは生きてるからな」

「そっかぁ」

次の日も

「ねぇ!今日チューチュー棒持ってきたよ!食べよ!」

「俺は香りしか食べれないよ一人で食べな」

「そうなの?神様って不便だね」

「でも腹がすかないし眠らなくていいから無限に遊べるぜ?」

「いいね!それ!私も神様になりた!」

「バカなくまさんには無理だ」

「ひどくない?」

その次の日も

「神様!」

「お前も飽きないな」


呆れて言うくせに神様もまんざらじゃない顔してて
嬉しそうな顔を見て私は・・・神様が好きになっていた。

そして夏休みも終わりが近づいていた。

「ねぇ、神様ってずっとここに居るの?」

「どうだろうな」

「いてくれないと困る!」

「なんでだよ、」

「私!神様のこと好きになっちゃったの!」

「え………」

「だから、来年も………あれ?神様透明になってない?」

「おれさ、本当は神様じゃなかったんだ」

「え、なに、何が起きてるの?」

「俺さ、嫌われて友達いなくて親もいなくて一人で山で遊んでたら死んだんだ、探す人もいなくてさ、ここで誰にも見つからず寂しく、だから誰かと遊びたかった誰かに愛されたかった。ずっと誰か来ないかなって思ってた。そしたらくまさんが来た。いっぱい遊んで俺もくまさんを好きになってたからそう言ってもらえて・・・友梨佳に愛されて・・俺・・・・満足しちゃったんだ」

「まって!いかないで!」

「いつか!いつか生まれ変わって絶対に探しに行く!だから俺の事、俺の事・・・忘れないで!」

「忘れないれない!忘れないから!行かないで!」

「絶対迎えに行くな」

あれから20年、祖父母が死んで私は田舎の家をもらった。縁側でチューチュー棒を飲みながら思い出しているとチャイムがなる。

玄関に出ると懐かしい顔の青年

「友梨佳さん?」

「はい、そうです」

「こんにちわ、迎えに来たよ、くまさん」

「遅すぎ、神様」