五島さんの苦労 | 【広い心】

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五島勉著者
【ノストラダムスの大予言最終解答編】
1998年6月末発行本より
文章を加筆編集して
五島氏の話を私なりに紹介します
(ご本人からの許可は手紙で頂いています)



初巻が出た1973年、当時の日本は、史上かつてない繁栄を謳歌していた
右上がりの成長を続けていた。

 

その最中に私のノストラダムスの「初巻本」が出たときは、
たまたま第一次石油ショックが重なって、

将来に不安を持った人たちもかなりいた。
しかし、それはまもなく終息。


人々はたちまち危機感を忘れ、狂おしいスピードでバブルがやってきた。
小さな家やマンションが一億円でも飛ぶように売れ、
゛列島改造゛の札束と排ガスが全国をおおい、

より強い快楽とぜいたくを求めて、
全人口の半分より多い6000万台の車が狭い国中を走った。

 

こうなると、「それはかつてない大破局への道だぞ
君らの吐き出している汚染がどんどん上空に昇って、変質して降って、
いずれ君ら自身と子孫を滅ぼすぞ、」
こう訴える私は、不定され続けた。

 

そんなふうに私は「初巻本」の核心部分に書いた。
充分考え、注意して書いたつもりだが、当時の読者には衝撃だったらしく、
「驚いた」「呆然とした」「本当か」「ではこれからどうすれば?」
といった受け止め方が最初は多かった。

 

「滅びない為ための辛口の警告だ」と言ってくれた人もいた。が、
それはせいぜい数週間。
あとは、かつてどんな本にも浴びせられなかったような攻撃が
「初巻本」を書いた私を襲ってきた。


その激烈な代表が、さっき触れた大週刊誌やテレビショーからの攻撃だった。
そのどっちも、コメントした学者や有名人たち、
司会者の攻撃は、おもに私のさきの推理に集中していた。
多くの知識者、とくに科学者がヒステリックなほどの攻撃をかけてきた。
冷笑した著名エコノミストとアナウンサーもいた。
こういう人たちの影響力は強い。彼らが放送や雑談で私を冷笑すると、
翌日から彼らとほとんど同じ言い方で私を攻撃する電話や手紙が届いた。

 

数ヵ月後、「初巻本」ブームが去ると、攻撃も少し落ち着いた。
しかし事態はが変わったわけではない。
その後の長いやりきれない何年かを
追い込まれて死を決意するまでの日々を過ごすことになった。

しかし私は、「初巻本」の最後の結論部分に、
そうした大破局への警告とはまったく正反対のことを書いていた。

 

それは、
「ノストラダムス予言の的中率は高いが、
それは西欧のもともとの未来観
(神の裁きによる終末がいずれ来るという思想)の延長上にあるもの。
日本人はそれとは別の、
゛人間の力で世界は変えられる゛という未来観を持てるはずで、
それさえ持てれば西欧型の大破滅など乗り越えられる。
より小さな部分的な破滅で済む」
というものだった
(『ノストラダムスの大予言』初巻・付章P221~232)。

 

恐怖の大王の推理以上に力を入れて書いた、

この「初巻の結論部分」を、
ちゃんと読んでくれた人は少なかった。

 

その後、私は、ある番組の取材を受け、結論も一生懸命話したが、
放映の時、なぜか結論の部分だけはカットされていた。
同じようなことが何回もあった。

 

バブル時代初期の当時の現実そのものも、

私が当初心配したような危機状況には、
どうにもなっていないように表面的には見えた。
これだけ大量の汚染が吐き出され、

列島全体ゴミと車と地上げでトチ狂っていても、
別に上空から何かが起こるようには見えないのだ。

 

とすると私と「初巻本」は、

読者に無用の不安を与えただけだったかもしれない。
真剣に読んでくれて心配した人たちに対しては、
書き手として責任を取らなければならない。

 

初巻本を出してから8年目ごろ、
どこかの荒海か噴火口に飛び込むことに決めていた。
経過を遺書に書き、家族、本を出すにあたってお世話になった人たち、
読者、マスコミに一通ずつ書いた。

 

トラベル案内を買って死ぬプランを考えていたそんな時、
夜のテレビ・ニュースの最後に、
何が起こったのか理解できていないアナウンサーの口から、
信じられない第一報が流れた。

 

「最後に南極からの少し気がかりなニュースをお知らせします。
実は南極の上空から、ふつうは地上に絶対に降ってこない、
有害な紫外線が降ってきているのが観測されました。
南極観測隊の調査では、おそらく地上か空中にあって
地上の生命を守ってくれている一種のカバーですが……を破壊し、
そこに吸い付けられていた有害紫外線が降ってきているのだろう
とのことです。
この異常現象が、もし強まって続くようだと、
何か未知の被害をもたらす恐れがあります。
そのため各国の南極観測隊・

NASA(アメリカ航空宇宙局)・アメリカ気象局が
チームを組み、早急に解明に当たる予定になっています。
以上、夜のニュースでした。それでは……」

 

私は呆然とこれを聞いていた。
初めて聞くことでよくはわからなかったが、
聞いているうち、(これはもしかして?)
という異様な恐怖が体を貫いて走った。

 

これはもしかして、ノストラダムスの言った
「1999年に降る恐怖の大王」の始まりじゃないのか。

その原因が「上空に昇った何らかの化学物質」によるものなら、
それは私が初巻で書いた推理そのままじゃないか。

 

原因が化学物質だというなら、
どこが作った何という物質なのか?

 

これは半年ぐらいあとにわかった。
今では説明するまでもないが、
それは冷房の冷却やスプレーや半導体の洗浄に広く使われ、
現代産業を支える神の物質とまで讃えられていた
フロン(フレオン)だった。

 

それを年間数百万トンも排出されて上空に昇り塩素に変わり、
上空の大自然の生命保護カバーがはがされてオゾン層を破壊し、
降るはずのない有害紫外線が降ってきている。

 

その範囲と被害予測は想像以上で、
NASAから報告を受けた各国首脳は青くなり、
慌ててフロンの使用と製造を止めることを世界的に決めた。

 

しかし、今までに排出されてしまっている分は停められない。
いずれ最大量に達し、オゾン層が最も大きく破壊される日が来る。

 

今と同じ、有害紫外線のBだけが降るなら、
被害は皮膚ガンや白内障が増える程度ですむが、

オゾン層が破壊され消滅した場合、
そこから太陽の最強紫外線Cが降ってきた場合、
人類は生きていらいれない恐れがある
(少なくても戸外では数分間も)

 

15億年前の地球では、上空にオゾン層がなく、
生命は地上には存在できなかった。

 

その後、海中にいる紫外線から守られていた藻などが、
光合成によって酸素を出して、それが上空に昇って
紫外線に分解されてオゾンになりオゾン層となった。

 

オゾン層が厚くなって、地上に降り注ぐ紫外線B・Cを吸収し、
やっと地上で生物が生きられるようになったのだ。

 

その生命保護膜を、人類発明の化学物質で壊し、
生命の危機に陥れたということになる。

 

しかし、危機に陥れているのはフロンだけではない。
●CO2(二酸化炭素)
●メタン
●地球に衝突するかもしれない惑星
●ダイオキシン
●環境ホルモン

その他にも
●核実験や原発事故の放射能
●酸性雨にアレルギー花粉、
●ディーゼル車からの喘息粉じん、
●飛行機等に運ばれて突発的な対応不能の新ウイルス


どれも「空から降ってくる恐怖の大王」の一種じゃあないのか?


【恐怖の大王には名前がある】に続く