豊竹咲寿太夫
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チェンソーマンの作者、藤本タツキさんの読み切りマンガ、ルックバックを映画化した作品。
今まで観た原作映画化の作品の中で、突出して原作への愛情が深いと感じた映画でした。
この映画を作るためにどれほどの労力が必要だっただろうと思ってしまうほど、画面の中の全てにおいて藤本タツキさんの線が動いていました。
原作が読み切りの中編マンガなので、補完するための要素というのは多分にあるのですが、その全てが元々の原作マンガの線じゃないのだろうかと思えるほどでした。
また、いわゆるアニメ的な子供描写ではなく、いかにもそのあたりにいそうな子供たちの描写というのは、原作者の藤本タツキさんの物語の描き方のタッチが表現されていて、どれほどまで作品を深く追求したのだろうとうなってしまいました。
物語は原作からの改変や要素の付け足しなどは全くなく、藤本タツキさんファンの皆さまは安心してご覧いただけます。
また、劇中音楽は心を昇華していくような素晴らしい音楽で、エンドロールに至るまで音にもつかることができました。
自分を含め、何かを創作することに少しでも情熱を傾けたことのある人には強くおすすめする映画です。
好きなことがなぜ好きであるかという理由には、「素直な好き」だけではなくて、反骨精神から突き詰めたというとだってあります。
挫折することもあります。
それを諦めてしまうこともあります。
そこから立ち直ってもう一度その山を登ることだってあります。
親しい人を亡くしてしまうこともあります。
あの時あのことに気づいていれば、あの人を亡くすことはなかったのではないか、あの時あの選択をしていれば、あの人と同じ舞台空間を共有できていたのではないかと自分自身も唇を噛み締めて嗚咽したことがあります。
きっと誰もが経験する感情と、そこに少し、ほんの少しのファンタジー要素をスパイスして、きっと観た人の背中をも押してくれる、そんな映画でした。
後ろは振り向いていいのだと、がむしゃらに突き進んでいたって、自分の後ろにある自分が選択してきた道はこれから自分が歩んでいくための道になるのだと、そう感じることができた映画でした。
最後に、この映画は特別興行で1700円の固定の値段です。
割引やポイント鑑賞はできません。
その上で1700円はあまりに安すぎると思ってしまうほどの熱量と作品愛にどっぷりとつかることができました。
鑑賞を迷っている方は今すぐに映画館へ駆け込むことを強くお勧めします。
豊竹咲寿太夫
人形浄瑠璃文楽
太夫
国立文楽劇場・国立劇場での隔月2週間から3週間の文楽公演に主に出演。
モデルとしてブランドKUDENのグローバルアンバサダーをつとめる。
その他、公演・イラスト(書籍掲載)・筆文字(書籍タイトルなど)・雑誌ゲスト・エッセイ連載など
オリジナルLINEスタンプ販売中
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