豊竹咲寿太夫
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素浄瑠璃の会
今日は文楽劇場で上演の素浄瑠璃の会で、兄さん方の舞台を勉強させていただきました。
素浄瑠璃とは、太夫と三味線の「浄瑠璃」のみの舞台のこと。
文楽を聴きに行く、という言葉が存在しますが、舞台上の物語を構築する役割を担う太夫と三味線の浄瑠璃、義太夫節は唯一無二の芸能です。
人形遣いの三人遣いのように、ひと目見てこれは人形浄瑠璃にしかないと分かるような派手さがないため、平成以降の現代ではなかなか浄瑠璃という芸能の特異さに気付いてもらえません。
戦争が起こるくらいまでは、浄瑠璃の稽古屋は至る所にあって、浄瑠璃が趣味という人はびっくりするほど大勢いました。
上方落語などでは素人浄瑠璃の人たちの噺もたくさんあります。
もちろん現代でも浄瑠璃を習いに通えるところはあって、文楽の中では若太夫兄さんの教室が大きいですし、女流義太夫さんの方々も大勢教室を開いてらっしゃいます。
他にも淡路島や長野県、北海道や熊本など、全国各地で浄瑠璃を習えるところはあるのです。
物語を語るというのは、お母さんが子供に絵本を読み聞かせることの延長線上のようなことで、人の根幹のようなものです。
その最たるものである浄瑠璃を堪能する、それが今日の素浄瑠璃。
人形という視覚に頼ることができない、太夫三味線の芸の技術の真骨頂。
先輩方の技量の高さを改めて感じた一日でした。